10/24 ブルームバーグ 記事
NY外為:ドル下落、FOMCのインフレ警戒に懐疑的-景気減速を警戒
10月23日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場ではドルがユーロと円に対して下落した。米国の景気減速を背景に、連邦公開市場委員会(FOMC)が声明で、インフレリスクを強調しないとの見方が広がった。
今週27日には、7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)速報値が発表されるが、市場では2005年10-12月以来の低い伸びにとどまるとみられている。ドルは過去2日間でユーロと円に対してそれぞれ1%と0.6%上昇した。トレーダーが年内利下げの観測を後退させ、ドル建て資産の魅力が高まったのが背景。
ゲイン・キャピタル(ニュージャージー州ベッドミンスター)のフォレックス・ドット・コム部門のリサーチ・ディレクター、ブライアン・ドラン氏は、「一部の投資家はFOMCの声明での記述について再考している。市場参加者はFOMCがタカ派的な声明を発表するとの憶測にやや振り回されていた」と語る。
ニューヨーク時間午後4時10分現在、ドルは対円で1ドル=119円32銭、前日遅くは同119円34銭だった。対ユーロでのドルは1ユーロ=1.2561ドルと、前日の1.2552ドルから下落した。
ポールソン米財務長官:企業改革法でビジネス環境が悪化、対応を検討
10月24日(ブルームバーグ):ポールソン米財務長官は24日、2002年に発効したサーベンス・オクスレー法(企業改革法)や集団訴訟、法務執行の強化などで米企業のビジネス環境が悪化しているとの見解を示した。
財務長官はワシントンでのインタビューで、「これらがすべて組み合わさって、企業経営の負担を重くしている」と述べた。
財務長官はその上で、企業改革法のうち規制色の強い部分にどう対応すべきか検討していくと述べた。
ポールソン長官は就任からわずか3カ月間に、企業改革法について露骨な批判を展開。株主集団訴訟や企業に対する刑事訴追の規制を目指す団体に支持を表明している。さらに、国内金融を監督するポストに古巣のゴールドマン・サックス・グループから人材を起用した。
ポールソン長官はインタビューで、「生じた問題に対処する上で米国は他国に遅れを取っていない」と語り、一連の企業不祥事への反省から成立した企業改革法については、「強力かつ前向き」と評価しながらも、「時として振幅が行き過ぎる」と付け加えた。
円金利先物堅調、CPIの下振れ警戒-ソフバンク新料金で憶測(2)
10月24日(ブルームバーグ):東京金融先物取引所のユーロ円金利先物相場は堅調(金利は低下)。株価伸び悩みや債券先物相場の上昇が影響したほか、 27日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前月からやや下振れる可能性があり、買い戻しが入った。日銀の政策判断とCPIを結びつけて考える市場参加者が依然として多く、年内の追加利上げを織り込みきれないでいる。
中心限月2007年3月物は前日終値99.260から徐々に買いが膨らみ、午前に 0.020ポイント高の99.280まで上昇。午後も高値圏でもみ合うなか、日経平均株価が下落に転じたタイミングで99.285(0.715%)まで上昇した。19日には一時99.245(0.755%)まで売られたが、その後はじりじりと買い戻されている。
大手銀行の先物トレーダーは、9月の生鮮食品を除くコアCPIをテクニカルにみた場合、プラス幅が8月の0.3%から0.2%に縮小する可能性が気にされていると指摘。ソフトバンクの携帯料金の値下げに絡むCPIの下振れの話など、市場は依然として「CPIショック」の後遺症が残っているという。
先物トレーダーによると、現状で市場が織り込む追加利上げの可能性は、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)でみた12月の50%、1月の 86%がいいところだと指摘。金利先物も2006年12月の99.400(0.600%)、 2007年3月物の99.250(0.750%)が下値抵抗線となって買い戻しが入っている。
9月のコアCPIについては、ガソリン価格が前年同月に上昇していることで影響が弱まるため、8月に比べるとエネルギー価格の寄与度は下がるという。その他の部分での上昇圧力を見込む向きもあるが、上昇率でみると0.2%と 0.3%で見方が分かれている。
この日はソフトバンクが携帯電話の新料金制度を打ち出すなど、顧客獲得を狙った値下げ競争がCPIの基準改定でも見られたような指数の押し下げ要因として意識されたほか、内閣府が発表したCPIの基準改定に伴う国内総生産(GDP)デフレーターの下方改定幅が予想よりやや大きかったとの指摘もあった。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、追加利上げに対する逆風がまた1つ増えた印象で、日銀は展望リポートで07年度のCPI見通しに高めの数字を置きにくくなったと言えると指摘。そのうえで、「他社の対抗策にもよるが、大なり小なり値下げ競争となる公算が大きい。特に長期契約の見直しが多い3、4月がヤマ場と見ている。香港の事例では結局3-4割の値下げとなった」という。
需要超過による物価上昇圧力
もっとも、「CPIショック」以降、日銀が説明しているのは、量的緩和時と違い、CPIの上昇率だけで物価動向を判断していないというもの。企業部門を中心に力強い景気回復が続くなか、需給ギャップが需要超過方向に推移していることによる物価上昇リスクのほうがはるかに大きいことを警戒しているためだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鹿野達史・主任研究員は、今後のCPIの動向について「原油高による電力料金、航空運賃の値上げが後れて出てくる可能性があり、見極めが必要」と指摘。また、「GDPデフレーターの下方改定が実質GDPの上方改定につながっており、需給ギャップの需要超過による物価上昇の流れは変わらない」とみている。
12月の共通担保オペ横ばい
日銀が午後に実施した本店共通担保資金供給オペは期日が12月27日まで延長され、12月18日、19日の金融政策決定会合を大きく越えたが、落札金利は横ばいだった。コール市場関係者によると、12月の利上げを織り込んで水準を出す向きも少ないという。
この日の本店共通担保オペ8000億円(10月26日-12月27日)では、前回の全店オペ(10月24日-12月15日)に比べて、案分落札金利が横ばいの 0.32%、平均落札金利は0.001%低い0.322%だった。3兆9090億円の応札が集まり、8007億円を落札。応札倍率は4.88倍と前回(5.64倍)を下回った。
翌日物は小幅上昇、日銀が連日の資金吸収
無担保コール翌日物は、午前は0.25-0.27%で取引。午後に国内銀行の調達が0.22%まで低下しているが、加重平均金利は前日の0.244%を上回りそうだ。足元資金に余剰感が広がる中、日銀が2日連続で即日資金吸収を実施して翌日物金利を下支えしたためだ。
日銀は朝の調節で6000億円の即日吸収を実施。当座預金残高を前日比4000 億円減少の9兆6000億円程度とした。準備預金残高も2000億円減少の5兆 2000億円程度。ただ、準備預金の積み上げが進ちょくし、残り要積立額(1日平均)が4兆4200億円まで縮小しているため、引き続き多めの資金が残されていた。
26日に始まる翌日物のレポ(現金担保付債券貸借)金利も0.30%付近と、 20日の国債発行日以降、落ち着いた展開が続いている。
足元金利が落ち着いている背景については、早期利上げ観測に伴う短期国債相場の急落で足元に資金が退避しているとの見方があるほか、日銀がオペの期日到来や資金不足日を埋めるために潤沢な資金供給オペを実施している影響が指摘されている。
クレディ・スイスのデリバティブ損失、利益に打撃与えず-メリル報告
10月24日(ブルームバーグ):スイスの大手銀行、クレディ・スイス・グループが韓国の株式デリバティブ(金融派生商品)取引で被った損失が、同社のトレーディング益を圧迫することになる可能性は低い。米証券大手、メリルリンチのアナリストが24日、リポートで見解を示した。
メリルリンチのアナリスト、スチュワート・グラハム氏のリポートによると、クレディ・スイスのオズワルド・グルーベル最高経営責任者(CEO)は、今月4日にロンドンで開かれた非公開の会議で、同期のデリバティブ関連での損失については懸念の必要なはいと投資家に述べた。
グラハム氏はリポートで、「したがってわれわれは、クレディ・スイスはデリバティブ関連の損失を被ったものの、他分野の収入は良好で、損失分を十分相殺できると予想している」と指摘した。
関係者2人が今月、匿名を条件に明らかにしていたところによると、クレディ・スイスは韓国の株式デリバティブ取引で、2006年7-9月期に約1億 2000万ドル(約140億円)の損失を被った。
米国株:上昇、石油関連やGMに買い-ダウは再び最高値を更新
10月24日(ブルームバーグ):米国株式相場は上昇。原油相場の続伸で石油株が高い。また、ゼネラル・モーターズ(GM)は元子会社の自動車部品メーカー、デルファイ従業員の退職金支払いコスト見通しの引き下げ検討を手掛かりに買われた。
鉄鋼大手のニューコアは、2006年7-9月(第3四半期)の大幅増益発表を受けて急伸。S&P500種構成銘柄で値上がりトップとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表を翌日に控えて投資家が模様眺めの姿勢となったことや、テクノロジー株が下落したことから、相場の上値は限られた。
キャピタル・バリュー・アンド・グロース・ファンド(テキサス州オースティン)で8000万ドルの資産運用に当たるマーク・コフェルト氏は、「市場が今後も堅調に推移するとわれわれは楽観的になっている」と述べた。さらに、企業利益の伸びや、FOMCの利上げはないとの見方から「株式市場には非常に良好な環境となっている」と指摘した。
ニューヨーク時間午後4時過ぎ現在の暫定値によると、ダウ工業株30種平均は前日比10.97ドル(0.1%)高の12127.88ドル。25日に決算を発表するGM株価の上げが主導した。S&P500種株価指数は同0.36ポイント上げて 1377.38。
ナスダック総合指数は同10.72ポイント(0.5%)下落して2344.84で終了した。携帯電話向け半導体メーカー最大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)が23日発表した2006年7-9月(第3四半期)決算は、調査会社トムソン・ファイナンシャルがまとめたアナリストの予想平均に届かなかった。これが嫌気されTI株が売り込まれたことから、テクノロジー株が全般に下落した。
原油相場の下落や、米経済のソフトランディングの兆候を受けて、株式相場は今月押し上げられてきた。S&P500種平均は2000年以来の高値圏に上昇し、ダウ平均も1万2100ドル台を付けている。
欧州株:ほぼ変わらず‐原油反発でBP上げる、銀行株は安い
10月24日(ブルームバーグ):欧州株式市場は、ほぼ変わらずで取引を終えたが、原油相場の反発から、過去3カ月間伸び悩んだエネルギー株は買いを集めた。
クレジット・アンドラで53億ドルの資産運用に携わるサージ・マーティン氏は、「最近の石油相場は調整が見られるが、当社の石油株見通しは引き続き明るい。石油株はまだ割安だ。原油価格はこれ以上落ち込まないだろう」と語った。
スウェーデンの銀行、スベンスカ・ハンデルスバンケンは四半期利益がアナリスト予想を下回り、売られた。その他金融株も値下がりした。一方、仏通信機器大手アルカテルは上昇。同社への買収が決定している米ルーセント・テクノロジーズの四半期利益が予想を上回ったことが強材料だった。家庭用洗剤メーカーで世界最大手の英レキット・ベンカイザーは、通期の利益見通し引き上げたことから買いが膨らんだ。
ダウ欧州株価指数は、前日比0.1%未満の上昇でほぼ変わらずの354.904。ダウ欧州50種株価指数は同0.1%下落。ユーロ圏の50銘柄で構成するダウ・ユーロ50種株価指数も0.1%値下がりした。
BPなどエネルギー株や銀行株
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場12月限は、前日比 0.9%高のバレル当たり59.35ドルで終了した。
原油高を背景に石油の英BPは上昇。2006年7-9月(第3四半期)が減益だったほか、アラスカ州での減産を理由に生産目標を引き下げたにも関わらず、 1.1%の値上がり。英・オランダ系メジャー(国際石油資本)、ロイヤル・ダッチ・シェルも0.6%高だった。
スベンスカ・ハンデルスバンケンは4.5%安。同行の7-9月期の純利益は前年同期比27%減の21億2000万クローナと、アナリスト予想を下回ったのが嫌気された。同じくスウェーデンに本社を置く銀行のSEB、ノルディア・バンクもそれぞれ1%と0.6%下落した。
アルカテルは7.2%高。ルーセントが発表した7-9月(第4四半期)の純利益は、前年同期比ほぼ変わらずの3億7100万ドル。米シティグループのアナリストは純利益の減少を予想していた。
レキット・ベンカイザーは5.6%上昇。英ドラッグストア・チェーン最大手ブーツ・グループから買収したヘルスケア部門が、予想を上回る経費節減効果を上げたことから、2006年通期の売上高・利益見通しを引き上げたのが好感された。
テクノロジー銘柄では、半導体のSTマイクロエレクトロニクスの独インフィニオン・テクノロジーズがそれぞれ2.7%と0.4%下落した。
英独仏の株式指標
英国のFT100指数は前日比16.40ポイント(0.27%)上げて6182.50。FTオール・シェア指数は同9.11ポイント(0.29%)高い3164.23。
ドイツのDAX指数は同4.61ポイント(0.07%)上げて6247.52。HDAX指数は同3.49ポイント(0.11%)高の3211.23。
フランスのCAC40指数は同7.27ポイント(0.13%)安の5404.54で終了した。
10月24日の海外金融・株式・為替市場
○米国株:上昇。原油相場の続伸で石油株が高い。また、ゼネラル・モーターズ(GM)は元子会社の自動車部品メーカー、デルファイ従業員の退職金支払いコスト見通しの引き下げ検討を手掛かりに買われた。
鉄鋼大手のニューコアは、2006年7-9月(第3四半期)の大幅増益発表を受けて急伸。S&P500種構成銘柄で値上がりトップとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表を翌日に控えて投資家が模様眺めの姿勢となったことや、テクノロジー株が下落したことから、相場の上値は限られた。
キャピタル・バリュー・アンド・グロース・ファンド(テキサス州オースティン)で8000万ドルの資産運用に当たるマーク・コフェルト氏は、「市場が今後も堅調に推移するとわれわれは楽観的になっている」と述べた。さらに、企業利益の伸びや、FOMCの利上げはないとの見方から「株式市場には非常に良好な環境となっている」と指摘した。
ニューヨーク時間午後4時過ぎ現在の暫定値によると、ダウ工業株30種平均は前日比10.97ドル(0.1%)高の12127.88ドル。25日に決算を発表するGM株価の上げが主導した。S&P500種株価指数は同0.36ポイント上げて1377.38。
ナスダック総合指数は同10.72ポイント(0.5%)下落して2344.84で終了した。携帯電話向け半導体メーカー最大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)が23日発表した2006年7-9月(第3四半期)決算は、調査会社トムソン・ファイナンシャルがまとめたアナリストの予想平均に届かなかった。これが嫌気されTI株が売り込まれたことから、テクノロジー株が全般に下落した。
原油相場の下落や、米経済のソフトランディングの兆候を受けて、株式相場は今月押し上げられてきた。S&P500種平均は2000年以来の高値圏に上昇し、ダウ平均も1万2100ドル台を付けている。
○米国債:ほぼ変わらず。2年債利回りは8月以来の高水準で推移した。
連邦公開市場委員会(FOMC)の2日間にわたる会合が始まったが、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は5.25%で据え置かれるとの予想が優勢。ブルームバーグがエコノミスト106人を対象に実施した調査では、全員が金利据え置きを予想している。米金融当局からインフレ警戒発言が相次いだことを受けて、来年の利下げ観測が後退し、米国債利回りは上昇傾向にある。
みずほ証券USAの米国債トレーディング共同責任者、テッド・エーク氏(ニューヨーク在勤)は、「FOMC声明が債券市場にとってマイナスな内容になる可能性を相場はすでに織り込んでいる」と話した。
キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時17 分現在、2年債利回りは前日比ほぼ変わらずの4.91%。同利回りは前日、8月 29日以来の高水準を付けた。24日の2年債(表面利率4.625%、2008年9月償還)の価格はほぼ変わらずの99 15/32。
ICAPを通じた米国債取引は約1530億ドルとなり、この6カ月間の1日当たり平均である2490億ドルを下回った。
2年債入札
午後1時に判明した2年債入札結果によると、最高落札利回りは4.894%と、前回入札(9月27日)の4.660%を上回った。入札直前の市場予想は4.901%だった。また、投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.91倍と、前回の2.77倍を上回り、2000年11月以来の最高となった。
2年債入札を参加者別に見ると、海外中央銀行を含む間接入札比率は30.8%と、9月入札の36.8%を下回った。ディーラーの比率は69%だった。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)証券の債券ストラテジスト、ジョージ・ゴンカルベス氏(ニューヨーク在勤)は、「応札倍率は高かったが、買いの中心はディーラーであり、地合いが良くなったわけではない。今回の入札結果は誤解を招きやすい。短期債はあすのFOMCを前に敏感になっている」と話した。
10年債利回りは1bp未満下げて4.82%。同利回りは前日、一時4.84%を付け、9月18日以来の高水準となった。
2年債利回りはFF金利を34bp下回る水準。同差は今月4日に66bpと、利下げ局面にあった2001年4月以来で最大だった。
前日の米国債は3営業日連続安。FOMC声明で、インフレに対する警戒が表明されるとの観測が相場を押し下げた。
インフレ警戒
メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズで運用に携わるスティーブン・ミラー氏(シドニー在勤)は、「インフレに関して言えばおそらく、まだ安心できる状況にない。利回りをみると債券は割高に思われる」と話した。同氏は 0年債利回りが年末までに5%に上昇すると予想している。
FOMCは8、9月の両会合で、金利据え置きを決めた。声明では、「エネルギー価格による影響低下とインフレ期待の抑制、金融政策の累積的効果、その他総需要を抑制する複数の要因を反映し、インフレ圧力は時間をかけて落ち着く可能性が高い」と指摘した。
金利先物相場は2月までに利上げが実施される確率を18%織り込んだ水準。9月25日の時点では、2月までに利下げが実施される確率が46%織り込まれていた。
リッチモンド連銀が午前10時に発表した10月の同地区製造業景況指数が予想を大幅に下回ったものの、債券市場への影響は限定的だった。同指数はマイナス2と、前月の9からマイナスに転じた。エコノミスト予想中央値は8だった。
○NY外為:ドルがユーロと円に対して下落した。米国の景気減速を背景に、連邦公開市場委員会(FOMC)が声明で、インフレリスクを強調しないとの見方が広がった。
今週27日には、7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)速報値が発表されるが、市場では2005年10-12月以来の低い伸びにとどまるとみられている。ドルは過去2日間でユーロと円に対してそれぞれ1%と0.6%上昇した。トレーダーが年内利下げの観測を後退させ、ドル建て資産の魅力が高まったのが背景。
ゲイン・キャピタル(ニュージャージー州ベッドミンスター)のフォレックス・ドット・コム部門のリサーチ・ディレクター、ブライアン・ドラン氏は、「一部の投資家はFOMCの声明での記述について再考している。市場参加者はFOMCがタカ派的な声明を発表するとの憶測にやや振り回されていた」と語る。
ニューヨーク時間午後4時10分現在、ドルは対円で1ドル=119円32銭、前日遅くは同119円34銭だった。対ユーロでのドルは1ユーロ=1.2561ドルと、前日の1.2552ドルから下落した。
○英国債:2年国債相場は小幅安、利回りが2004年6月以来の高水準となった。イングランド銀行はインフレ抑制のため、利上げを継続するとの観測が広がった。
20日発表された2006年7-9月(第3四半期)の英国内総生産(GDP)成長率が予想を上回った後、2年国債利回りは3営業日連続で上昇。先週発表の9月のインフレ率も英中銀の目標(2%)を5カ月連続で上回ったことから、来年にかけて利上げが続くとの観測が強まった。
4キャストの債券ストラテジスト、エリック・ワン氏(ロンドン在勤)は、短期債相場には「依然として、英中銀利上げの予想で下押し圧力がかかっている」と指摘する。
英2年国債の利回りはロンドン時間午後4時15分現在、前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し5.07%。同国債(2008年3月償還、表面利率5%)の価格は0.01ポイント下落し、99.90だった。一方、英10年国債利回りは4.70%で、前日とほぼ変わらず。
○欧州債:10年国債相場は小幅高。フランスとイタリア、ベルギー3カ国で発表された経済データで、ユーロ圏景気が鈍化する兆候が示され、利上げの可能性が低くなったためだ。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)がこの日発表した9月の製品対象の個人消費は、前月比で2.7%減と、予想以上の下げとなった。マイナス幅は過去10年で最大。また、ベルギーで発表された10月の企業景況感指数は3.8と、前月の4.5から予想(4.0)以上に低下した。さらに、10月のイタリア消費者信頼感指数も108.6と、前月の110.1を下回った。
カリヨン(ロンドン在勤)の債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏は、これら経済指標について「市場参加者が予想していた以上に下振れしたは意外だった」と語る。
ドイツ10年国債の利回りはロンドン時間午後5時現在、前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し3.87%となった。同国債(2016年7月償還、表面利率4%)の価格は0.02ポイント上昇し101だった。またドイツ2年国債の利回りは3.72%で、前日とほぼ変わらず。一時は3.74%を付けた