10/17 ブルームバーグ 記事
ソニー:自社PC搭載の充電池回収へ-当初は日本、中国の9万台(3)
10月17日(ブルームバーグ):ソニーは17日、同社製パソコンVAIO(バイオ)に搭載した充電池を回収すると発表した。広報センターの山藤大地氏によると、当初は日本の6万台、中国の3万台が対象。交換受付開始については、11月7日に同社ホームページであらためて案内する。
また、共同通信によると、これを含め、全世界での回収対象台数は25万台に上る。この数字について山藤氏は、「当社から出たものではない」としながらも、明確に否定はしていない。
ソニーは同日午前、ノートパソコン向けのリチウムイオン電池の回収問題などにからみ、同社が2007年3月期の連結業績予想を下方修正する見込みとなったと17 日付の日本経済新聞朝刊が報じたことを受け「さまざまな要素を勘案のうえ、年間業績見通しの変更が必要か否かを検討している」とのコメントを発表していた。
回収対象は800万超える
電池回収問題をめぐっては、米パソコンメーカーのデルとアップルコンピュータのほか、中国のレノボ、東芝、富士通、日立製作所、シャープが自主回収を表明。回収対象数は約800万個に上っている。回収費用についてソニーは、デルとアップルの分、計約600万個で200億-300億円と試算しているため、単純計算すれば400 億円程度が必要とみられる。これに、共同通信の報道が正しいと仮定すればソニー自社のVAIO25万台分が上乗せさせる計算だ。
また、電池回収をめぐって東芝がソニーに損害賠償の請求を検討、他社にこの動きが波及する可能性がある。ソニーはさらに、次世代ゲーム機「プレイステーション3」について、11月の発売前に値下げを表明している。
山藤氏は、こうした状況について17日午後、業績予想修正の先行きについて「午前中に発表したコメントの通り、修正の必要があると判断した場合は速やかに情報開示する」と述べている。また、回収費用の総額については引き続き精査中としている。
ゲームの方が読みにくい
みずほ証券の張谷幸一アナリストはソニーについて、「第1四半期(4-6月)の業績が上振れし、第2四半期(7-9月)以降はユーロ高もあり、全体でいえば悪くない」としたうえで、「ここに電池とゲームの問題が加わったわけだが、電池に問題が生じたからといってソニー製品が売れなくなっているわけでもない。回収コストも、デルとアップルの約600万個で200億-300億円だと言っていたことからすれば計算しやすいし、損害賠償も裁判に勝つか負けるかは分からない」と述べた。
そのうえで張谷氏は、「むしろ問題はゲーム事業。欧州での販売時期延期は青色レーザーの調達遅れが原因ということだったが、これで部品のコストが上昇しているとも推測できる。こちらの方が、影響が読めない」と懸念を示した。
ソニーの株価は前日比80円(1.6%)安の4800円(午後2時19分現在)。
中国の7-9月GDP:前年同期比10.4%増に成長鈍化か-19日発表
10月17日(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト27人の調査によると、中国の2006年7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比10.4%増(中央値)と、成長が鈍化したと見込まれている。中国政府は投資ブームの抑制策を強化している。
4-6月(第2四半期)の成長率は10年余りで最高の11.3%だった。第3四半期の成長率が予想通りならば、1年ぶりの成長鈍化となる。GDP統計は北京時間19日午前10時(日本時間同11時)に発表される。
過去最大規模の貿易黒字を背景とした投資ブームの抑制は難航し、中国の景気減速は一時的にとどまる可能性がある。中国が人民元高を容認するのをちゅうちょしていることも、投資ブームの再燃につながる恐れがある。
マッコーリー銀行の香港在勤エコノミスト、ポール・キャビー氏は「短期的な成長減速が見られる」が、当局は「流動性に対しても、経済の基本的な不均衡についても何の手も打っていない」と指摘した。
中国人民銀行は今年4月以来2回の利上げや預金準備率引き上げで流動性の抑制を図っている。銀行に与信制限も命じた。これらの政策の影響で、マネーサプライ(通貨供給量)や投資、鉱工業生産の伸びは6月以降、鈍化している。
調査によると、1-9月の都市部の固定資産投資の伸びは28.4%と、1-8月の29.1%から鈍化した見込み。固定資産投資はGDP統計とともに発表される。
調査の結果は以下の通り。
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7-9月 10-12月 2006年 07年
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中央値 10.4% 10.0% 10.5% 9.5%
平均値 10.3% 9.9% 10.4% 9.5%
最高 11.0% 10.7% 10.8% 10.5%
最低 9.0% 9.0% 9.5% 8.0%
回答数 27 24 32 28
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Action Economics 10.2% 10.2% 10.5% n/a
ANZ Bank 10.3% 9.9% 10.5% 9.6%
Asian Development Bank n/a n/a 10.4% 9.5%
Bank of America 10.5% 10.0% 10.5% 9.5%
Bank of China (Hong Kong) 10.5% 10.3% 10.5% 9.5%
Bank of East Asia 10.2% 9.6% 10.4% 9.5%
Capital Economics 10.5% 10.0% 10.5% 9.0%
CFC Seymour 11.0% 10.0% 10.6% 9.8%
China Galaxy Securities 10.5% 10.3% 10.5% 10.0%
CIMB-GK Securities 10.8% 10.4% 10.7% 10.5%
China Investment Capital n/a n/a 10.5% 10.0%
Citic Securities 10.3% 10.0% 10.4% 9.9%
Citigroup 10.5% n/a 10.3% n/a
Core Pacific-Yamaichi 10.1% 10.2% 10.5% 9.2%
DBS Group 10.0% 9.5% 9.5% n/a
Deutsche Bank 10.4% n/a 10.4% 8.9%
Economist Intelligence Unit n/a n/a 10.7% 9.8%
Forecast Ltd. 10.8% 10.7% 10.8% 10.0%
Hang Seng Bank 9.8% 9.7% 10.3% n/a
HSBC 10.7% 10.2% 10.6% 8.5%
International Monetary Fund n/a n/a 10.0% 10.0%
ING Groep NV 10.5% 10.0% 10.5% 9.5%
JPMorgan Chase 9.8% 9.0% 10.0% 9.0%
Lehman Brothers 10.0% n/a 10.0% 10.0%
Macquarie Securities 10.5% 10.2% 10.6% 9.5%
Mitsubishi UFJ Securities 10.4% 9.7% 10.5% 9.7%
Nomura Securities 10.3% 9.5% 10.4% 8.9%
Royal Bank of Scotland 9.0% 9.0% 10.6% 9.0%
Societe Generale 9.0% 9.0% 9.8% 8.0%
Taiwan Securities Investment 10.8% 10.2% 10.6% 9.8%
Thomson IFR 10.5% 10.1% 10.5% 9.5%
World Bank Group n/a n/a 10.4% 9.3%
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米ヤフーの7―9月期、増収率は過去4年で最低か―17日発表
10月17日(ブルームバーグ):ポータル(玄関)サイト大手の米ヤフーのテリー・セメル最高経営責任者(CEO)は、先月のゴールドマン・サックス主催の会議で、一部産業の広告需要が鈍化しているという悪い知らせを伝えた。
その後スーザン・デッカー最高財務責任者(CFO)は、7-9月(第3四半期)決算が予想範囲の下限になるという寝耳に水の発表を行った。これを受け、同社の株価は数分以内に13%の急落を演じた。
UBSのアナリスト、ベン・シャクター氏は、「これは全く予想外だった」と述べ、投資家は両方のニュースに「明らかに失望したし」、その伝え方は唐突だったと指摘した。
ジェフリーズのアナリスト、ユーセフ・スクワリ氏の予想では、ヤフーが 17日発表する第3四半期純利益は、ストックオプション(自社株購入権)費用の計上が響き、前年同期比40%減の1億5340万ドル(1株当たり10セント)となる見込み。売上高は同18%増の15億7000万ドルとなり、増収率は過去約4年で最低となる見通し。
ヤフーはネット検索広告用の新ソフトが遅れた上に、ソーシャル・ネットワーキング・サイト「マイスペース」に検索・広告サービスを提供する権利をグーグルに奪われた。グーグルは動画共有サイトの米ユーチューブを買収しており、ヤフーのメディアサイトにとって直接対抗するものとなる。
ヤフーが市場競争に後れを取っているとの懸念が広がり、同社の株価は第3四半期に23%下落し、過去17四半期で最大の下げを記録した。RCMキャピタル・マネジメントの運用担当者、ウォルター・プライス氏は、「ヤフーに欠けているのは、切迫感やスピード感だ」と述べ、「ヤフーは勢いを失いつつある」と述べた。
首相:「日米同盟の抑止力揺るぎない」-北朝鮮の宣戦布告声明けん制
10月17日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は17日夜、首相官邸で記者団に対し、北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁決議を「宣戦布告以外のものとみなすことは不可能だ」などとする声明を発表したことについて、「国際社会の連携は揺るぎない、日米同盟の抑止力も揺るぎないということをしっかり示していく必要がある」と述べ、強くけん制した。
19日に予定されているライス米国務長官との会談については「北朝鮮の核実験の発表、国連決議を受けてどう対応していくか、よく協議したい」と述べた。
自民党の中川昭一政調会長が日本の核保有について「議論は当然あってもいいと思う」などと発言したことについては、「もうこれは終わった話だ」との認識を示した。
韓国政府:北朝鮮で2回目の核実験準備の兆候を認識-当局者(3)
10月17日(ブルームバーグ):韓国政府は、北朝鮮が2回目の核実験を準備している可能性を示唆する兆候を認識している。米ABC放送はアジア時間17日、北朝鮮が先週核実験を行ったとみられる場所の近くで、米偵察衛星が車両の動きをとらえたと報じていた。
韓国政府当局者はソウルから電話で、ABC放送の報道に関する質問に対して匿名を条件に、同国は活動の兆候を認識していると語った。
ABCは複数の米情報当局者の話を基に、車両の動きについて報じた。国連安全保障理事会は14日に北朝鮮制裁決議を採択し、北朝鮮に対し2回目の核実験は行わず6カ国協議に復帰するよう求めた。米国は16日に、1回目の爆発が核実験であったことを確認した。
ライス米国務長官は16日、アジア歴訪を前にした国務省での会見で2回目の核実験についての質問に対し、「監視している」とした上で、北朝鮮が「そのような挑発的な行動を取らないことを望む」と述べていた。
米国は北朝鮮の核実験実施を確認するとともに、爆発の威力はTNT火薬換算で1キロトン未満だったとの見方を示した。
ロシアと中国
訪韓中のロシアのフラトコフ首相は17日、韓国政府当局者との会談後にソウルで記者団に対し、「われわれは北朝鮮が2回目の核実験を実施するとは考えていない。北朝鮮は実施すべきではない。もし実施に踏み切れば、状況をより悪くする」と語った。同首相によれば、ロシア政府は9日の核実験の前に北朝鮮側から通知は受けなかった。
中国外務省の劉建超報道官はこの日、北京での記者会見で、北朝鮮への安保理決議を「貨物検査」も含め支持すると表明、「中国はこの決議履行の一端を担っている」と言明した。中国の王光亜国連大使は14日の制裁決議採択後、「中国は北朝鮮を出入りする船舶に対する検査を認めていない」と述べていた。
共同通信は17日、匿名の銀行関係者の話として、中国2位の商業銀行、中国銀行が少なくとも一部の支店で16日以降、北朝鮮への送金を停止していると報じた。
ラッセル運用機関調査:日本株に強気の見方継続-エネルギー株は弱気
10月17日(ブルームバーグ):米国の資産運用サービス会社、ラッセル・インベストメント・グループが行った日本株運用機関の投資展望調査(10 月度)によると、8割の運用機関が今後1年間の日本株に対して強気の見方を示した。前回6月、前々回3月調査と一貫して8割以上を保っており、国内景気の先行きに対する楽観的な見方と、株価の相対的な出遅れ感や割安感を背景に、長期投資家の間では上昇期待が根強い。
ラッセルの資産運用ソリューション担当である木口愛友執行役は、米国景気の減速による影響を懸念する声はあるものの、「堅調な設備投資と雇用の改善を背景とした日本経済の安定成長や、企業業績に対する期待が強気の見通しを支えている」と話した。
4-6月期の実質国内総生産(GDP)は年率で1.0%成長したが、来年同期のGDPが今年度実績を上回る伸びを想定する運用機関は8割強に上る。不動産株に対する強気の割合が前回の4割から6割に高まったことも、景気に対する自信の表れを示すと言え、こうした日本の経済に対する強気の見方が株高期待を支えている。
業績発表が焦点、国内勢中心に小型株強気増える
しかし日本の株式市場は、米国を始めとする世界の主要な株式市場が7月中旬以降上昇基調をたどるなか、相対的な戻りの鈍さが指摘されている。東証株価指数(TOPIX)の直近3カ月の上昇率は8.2%と、米ナスダックの 16%、独DAX指数の14%と比べて劣る。発表された経済指標で事前予想を下回るものがあったことが要因とみられる。
それでも、安定した国内景気の拡大を想定する運用機関が多く、日本の株式市場の現水準が割安との見方も全体の6割に達している。木口氏は、「今後本格化する中間期決算の発表や通期業績見通しの上方修正などで好調な企業業績が確認できれば、割安感も手伝って相場の上昇に弾みが付くだろう」との見方だ。
小型株は夏場以降、大型株と比較してパフォーマンスが劣っているが、むしろ強気の割合が増加傾向にある。今回の強気割合は前回より5ポイント上昇して61%になった。ただ、内訳を見ると、国内運用機関の強気の割合が7割であるのに対し、海外は4割弱にとどまり、温度差がある。
エネルギーセクターの強気割合は半減
エネルギーセクターに対する強気の割合は22%と、前回の41%から半減した。エマージング(新興経済)諸国を中心に原油に対する需要は底堅いものの、イスラエルとレバノンの停戦合意をきっかけに、原油価格は8月以降下げに転じた。ハリケーンなどによる供給トラブルが起きなかったことや、米国景気に減速感が出始めたことから、「目先のピークアウト感が高まった」(木口氏)。
株式市場の調整が一巡して下値不安が後退したためか、前回調査で高まったヘルスケアや生活必需品といったディフェンシブセクターへの選好度も低下した。
外債と新興国株式の強気増える、米金利高一巡
資産別にみると、外債で強気の割合が37%と、前回の15%から大幅に上昇したことが目立った。米連邦準備制度理事会(FRB)は8月、2年に及んだ利上げを休止し、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも住宅市場の減速と原油価格の下落によるインフレ懸念の後退を指摘して金利を据え置いた。利上げ再開の可能性は残るものの、「米国景気のソフトランディング(軟着陸)シナリオが高まっていることが背景」(木口氏)として挙げられる。
前回6月調査で慎重な見方が増えた新興国株式は、強気の割合が53%と、3月調査の水準まで回復した。米の利上げ休止で世界的な金利上昇懸念が後退したことや、順調な景気拡大期待を背景に、「再び新興国株式に触手を伸ばそうという意欲が高まっているようだ」と、木口氏はみている。
今回の調査は、主に日本株式を運用している50の運用機関を対象に、9月の自民党総裁選の直後から約1週間にわたって実施した。
信用買い残は3週連続の減少、先高観広がり売り残は3週ぶり減少に
10月17日(ブルームバーグ):東京証券取引所が17日に発表した前週末 13日時点の信用買い残(制度信用と一般信用の合計)は、東京、大阪、名古屋3市場の1・2部合計で3兆6202億円となった。前の週より1232億円減り、減少は3週連続。
10月第2週は、日経平均株価が週間ベースで0.6%高となり、3週連続の上昇。原油価格が年初来安値を更新したことで米国の景気に対する楽観的な見方が広がり、米ダウ工業株30種平均が史上最高値を更新すると、日本株相場も時価総額の大きい大型の国際優良株を中心に買いが先行した。日経平均は週末13日に、終値では5月12日以来、およそ5カ月ぶりに節目の1万6500円台を回復。相場全般が戻り歩調を強める中で、個人投資家の売り圧力が高まった格好だ。
一方、売り残は3週間ぶりに減少して1兆6453億円と、前の週から158 億円減った。世界的な株高を受けて日本株の先高期待も広がりを見せ、先行きを弱気に見て売り持ち高を増やしていた向きも、決済の買い戻しを強いられたようだ。
岡三証券証券情報部の黒田一賢ストラテジストは、相場全般の下値不安が薄らいだ状況について「VIX指数、いわゆる恐怖指数が5月末来の10%台に落ち込んでいる。これは米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待、企業業績期待の強いことを示す」と、指摘していた。 VIX指数はシカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)が算出している指数で、直近では過去半年の単純平均である14倍を下回り、6月のピーク23倍からの低下傾向が続いている。