10/14 ブルームバーグ 記事
9月米小売売上高は0.4%減、除ガソリン0.6%増-値下がりが影響(2)
10月13日(ブルームバーグ):米商務省が13日に発表した9月の小売売上高(速報、季節調整済み)は前月比0.4%減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめた9月小売売上高のエコノミスト予想中央値は0.2%の増加だった。8月は0.1%増と速報値(0.2%増)から下方修正された。
9月の小売売上高はガソリンを除いたベースで前月比0.6%増加した。ファースト・トラスト・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ブライアン・ウェズベリー氏は、「ガソリンを除くと、小売売上高は非常に堅調なようだ。低水準の失業率や加速する賃金の伸びを背景に、消費者の購買意欲は高まっている」と語った。
9月の小売売上高を項目別で見ると、国内総生産(GDP)の個人消費支出部門の算定に用いられるガソリンと自動車、建築資材を除く売上高は0.8%増加と、今年1月以来最大の増加幅だった。前月からは2倍の伸びが加速した。
変動の大きい自動車を除いたベースでは前月比0.5%減少した。8月は同 0.2%増加だった。
自動車や自動車部品販売は前月比横ばい。8月は0.4%の減少だった。ガソリンの売上高は9月に9.3%減少(前月は1.3%減)と、1992年の集計開始以来最大の落ち込みを記録した。米国自動車協会(AAA)によると、10月11日時点のガソリン平均小売価格(スタンド価格、レギュラー)はガロン当たり2.25 ドルと、今年2月28日以来最低だった。ガソリン価格は8月末から19%下落している。
建築資材や園芸用品の売上高は前月に引き続き0.6%増加した。電気製品の販売は0.2%増(前月は0.1%増)だった。
9月のオンライン上やカタログ販売など、店舗を介しない小売売上高はと 1.1%増と前月の0.2%減少から改善した。総合小売店での売上高は1%増だった。
9月米輸入物価指数:2.1%低下、原油下落が主因-石油除く0.1%上昇(3)
10月13日(ブルームバーグ):米労働省が13日に発表した9月の輸入物価指数は前月比2.1%低下した。前月の0.8%上昇(速報値から修正なし)から前月比マイナスに転じた。前月比マイナスとなったのは6カ月ぶり。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値(1.3%低下)も下回った。原油価格が2004年12月以来最大の下落となったことが主因。
9月の石油を除く輸入物価は前月比0.1%上昇。8月は0.5%上昇だった。
石油の輸入価格が10.3%下落したことが、輸入物価指数の2003年4月ぶり最大の低下につながるとともに、消費者にとっても企業にとっても価格圧力の緩和に寄与した。来週17日と18日には9月の生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)が発表されるが、エネルギーコストの低下を受けて、いずれも低下が予想されている。
JPモルガン・プライベート・クライアント・サービシズのチーフエコノミスト、アンソニー・チャン氏は、「原油価格の下落からやや落ち着きを取り戻しており、最終的にはこれが消費者物価に波及しよう」とし、「政策決定者が指摘してきた物価圧力をめぐる懸念は、今後緩和する見通しだ」と述べた。
9月の輸入物価は前年同月比で2.0%上昇(8月は6.3%上昇)した。石油を除くベースでは、前年同月比2.0%上昇。
石油価格の下落
9月の輸入物価を項目別でみると、石油と石油製品が10.3%低下(前月 2.1%上昇)と、項目別で最大の低下率だった。同項目は前年同月比で2.9%上昇。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)原油先物相場のバレル当たり平均価格は9月には63.90ドルと、8月の73.08ドルや7月14日に付けた過去最高値の78.40ドルから下落。原油相場は10月に入っても引き続き下落している。
石油を除く産業資材は9月に前月比5.5%低下、前年比では4.1%上昇した。資本財は2カ月連続で前月比変わらず。前年比では0.2%低下した。
天然ガスは前月比5.2%低下。自動車を除く消費財は0.1%上昇。自動車・同部品・エンジンも0.1%上昇だった。
米ウォルマートに94億円支払い命じる陪審評決-休憩時間めぐり裁判
10月13日(ブルームバーグ):小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズに対し、ペンシルベニア州の従業員に休憩時間を与えず通常の勤務時間以外で働かせたとして、7850万ドル(約94億円)の支払いを命じる陪審評決が13 日、フィラデルフィアの裁判所で示された。
陪審は6週間に及んだこの裁判で、1998年からの従業員への支払いについて賠償金の必要性を認める判断を下した。従業員グループが賃金をめぐり起こした訴訟で、ウォルマートが数百万ドルの支払いを命じられたのはここ10カ月間で2度目。
昨年12月には、カリフォルニア州の従業員が昼食を取る休憩時間を与えられなかったとして、ウォルマートに1億7230万ドルの支払いを命じる陪審評決が出された。同社に対しては70件以上の同様の訴えがなされている。
ウォルマート側は、従業員側の主張を否定しており、同社幹部らは従業員には決められた休憩を取るように求め、従業員からの苦情を無視していないと証言した。
ウォルマート広報担当のジョン・シムリー氏は電子メールで、「多くの従業員が休憩時間を取らなかったり、短縮したのは自らの判断によるものだと証言した。ウォルマートはこうしたことがないよう強く促しており、従業員が自らの裁量で休憩時間を取らなかったことで罰則を受けるべきではない」とするコメントを発表した。
ソフトバンクのボーダフォン買収資金調達、担保付案件として最大規模
10月13日(ブルームバーグ):ソフトバンクは、携帯電話サービス会社ボーダフォン日本法人買収のために借り入れた1兆2800億円を、ボーダフォンの資産を担保とした融資や債券で借り換える。担保付の調達としては、過去最大規模となる。
ソフトバンクは、ボーダフォンの資産や収入、株式のすべてを、11月にボーダフォン名義の融資と債券で調達する120億ドル(約1兆4320億円)の担保とする。同社はこの資金で、先に受けた短期融資を返済する。ソフトバンクの調達額は、同種の調達として今まで最高だった2002年の英水道会社アングリアン・ウォーター(当時)の34億ポンド(約7540億円)を上回る。
ソフトバンク創業者の孫正義社長は、投資適格級の格付けを取得し利払いコストを抑えるため、担保付きの調達を選択した。ブルームバーグ・データによると、無担保の場合に比べ年間金利負担は少なくとも1ポイント低くなる。米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、ソフトバンクは売上高目標の達成や携帯電話事業からの多角化の制限などの条件も受け入れる。
プルデンシャル・アセット・マネジメント・アジア(シンガポール)で運用に携わるライ・シアム・ウイ氏は「ソフトバンクにはこの方法しかなかった」として、「ソフトバンクが今の同社の格付けで、無担保社債で120億ドルを調達しようとしたならば、同社の財務の重しとなっていただろう」と話した。
ソフトバンクは、英ボーダフォン・グループの日本事業を150億ドルで買収した。このため借り入れた1兆2800億円の短期融資の金利は、9月30日までに長期資金に借り換えることができなかったため、TIBOR(東京銀行間貸出金利)に300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上乗せの水準に引き上げられていた。当初の上乗せ幅は250bp。年末までに借り換えができない場合は350bpに上昇することになっている。3カ月物TIBORは現在約 0.44%。50bpのプレミアム上昇は年間64億円の利払い負担増につながる。
ドイツ証券の江川由紀雄・証券化商品調査部長は、このようなタイプの資金調達では、最終的に債権者が会社をコントロールすることになるとして、十分なキャッシュフローを生み出せなければ、債権者は経営陣の交代や事業方針の変更、会社売却を迫ることができると指摘した。
案件にかかわる銀行関係者4人によると、今回の調達の最大部分は6000億円の融資で、金利はTIBORに100-150bp上乗せとなる。150-250bp上乗せの3500億円の融資も含まれる。
ボーダフォン名義の融資と社債の大半は格付けが、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「A3」、S&Pが「A」で投資適格となる。ソフトバンクの債務格付けはムーディーズが「Ba2」、S&Pが「BB-」と、ジャンク級(投機的格付け)だ。
他の4行とともに短期融資を取りまとめたシティグループやドイツ銀行、みずほフィナンシャルグループが、借り換えも手掛ける。融資にはさらにWestLBやカリヨン、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループなど15 行も参加する。
米国株(13日):ダウ平均高値更新、小売り統計好感-エクソン高い(2)
10月13日(ブルームバーグ):米国株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均は前日に続き、過去最高値を更新した。9月の小売売上高と10月の消費者マインド指数が、ガソリン価格の低下による消費の持ち直しを示したことが好感された。主要株価指数は今週、3週間連続で上昇した。
原油相場の上昇を手掛かりに、エクソンモービルなどエネルギー株が堅調だった。テクノロジー株が高く、IBMは、ダウ平均を構成する銘柄のなかで値上がり率トップ。一方、来年にも利下げが実施されるとの懸念が後退したことが、株式全体の上値を抑えた。企業の第3四半期決算に対する懸念も弱材料だった。
D.A.デービッドソン(運用資産170億ドル)のチーフ市場ストラテジスト、フレデリック・ディクソン氏は、「経済指標は景気が穏やかに拡大し、ソフトランディングに向かっていることを示唆した。来週、第3四半期決算について慎重な見方を示す企業が相次ぐとの懸念が重石になった」と話した。
ダウ平均終値は前日比12.81ドル(0.1%)高の11960.51ドル。S&P500 種株価指数は同2.79ポイント(0.2%)上げて1365.62。ナスダック総合指数は同11.11ポイント(0.5%)値上がりの2357.29。
週間パフォーマンス
週間ベースで、ダウ平均は0.9%高。S&P500種は1.2%値上がりした。ナスダックは2.5%上昇。S&Pは4カ月前に年初来安値を付けて以降、12%上昇した。ダウ平均は同期間に12%上げた。
今週の株式市場は、ファストフードのマクドナルドの暫定決算が予想を上回ったことや、景気がインフレ加速を引き起こしたり、リセッション(景気後退)入りすることなく、減速していることを示す指標が発表されたことを手掛かりに買い進まれた。
13日の株式市場では、エネルギー株が堅調。エクソンのほか、コノコフィリップスが上昇。S&P500種に採用されるエネルギー株で構成する指数は 1.4%上昇し、産業別10指数のなかで値上がり率トップだった。
ニューヨーク原油先物相場は上昇。ノルウェー国内2カ所の海上プラットフォームが安全上の理由から閉鎖されたほか、米国からの需要が強まったのが背景。原油先物11月限終値は前日比71セント(1.2%)高の1バレル=58.57ドル。
米商務省によると、9月の小売売上高はガソリンを除いたベースで前月比 0.6%増加した。一方、小売売上高は全体で前月比0.4%減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめた9月小売売上高のエコノミスト予想中央値は0.2%の増加だった。
また、ミシガン大学が調査した10月の消費者マインド指数(速報値)は 92.3と、前月の85.4(確報値)から上昇し、2005年7月以来の高水準になった。エコノミスト予想中央値は86.5だった。ガソリン価格の低下と株式市場の上昇で、消費者マインドが改善していることが示された。
ユナムプロビデントが大幅高
傷害保険ユナムプロビデントは買収観測から急伸し、ここ1年強で最大の値上がり率となった。S&P500種採用企業のなかで上昇率トップだった。
マイクロソフトが高く、テクノロジー株の上げを主導した。同社は、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の新バージョン「ビスタ」の法人向け販売を11 月に開始すると発表した。小売り向け販売は来年1月に開始する。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した防衛関係の請負業者、SAICは急伸。同社は上場に先立ち、新規株式公開(IPO)を実施し、7500万株を1株当たり15ドルで売却した。市場からの資金吸収額は11億3000万ドル。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の出来高は概算14億7000万株と、過去3カ月平均を5.1%下回った。騰落比率は9対5。
GEに売り
複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)は下落。同社が発表した7-9月(第3四半期)決算は、1株当たり利益が49セントと、調査会社トムソン・ファイナンシャルのまとめたアナリスト予想と一致。ただ、プラスチック部門は23%減益、商業金融部門は6%増益と、いずれも7月時点での自社予想(それぞれ横ばい、10%増益)を下回った。
小売株は軟調。プルデンシャル・エクイティ・グループは、今年の年末商戦が低調になるとの見通しを示した。住宅関連小売りのホーム・デポが下げ、ダウ平均構成銘柄のなかで値下がり率トップ。プルデンシャルはホーム・デポの投資判断を「アンダーウエイト」とした。会員制小売りのコストコ・ホールセールも安い。
住宅建設株も軟調。住宅市場の減速が収益を抑えると懸念された。センテックスが安く、S&P500種を構成する銘柄のなかで値下がり率2位。同社は、 2006年7-9月(第2四半期)決算暫定集計で、継続事業ベースの1株利益が 65-75セントとなったと発表した。同社は7月に1.40ドルの1株利益を予想していた。調査会社トムソン・ファイナンシャルがまとめたアナリスト予想平均は 1.33ドルだった。
KBホームも下げ、S&P500種採用銘柄のなかで値下がり率1位。パルト・ホームズも下げた。
政府・与党:市場好況受け株式譲渡益の軽減税率延長しない方針-東京
10月14日(ブルームバーグ):2007年末で優遇期限が切れる株式譲渡益への課税について、政府・与党が延長しないことを前提に来年度税制改正論議を進める方針を固めたと14日付けの東京新聞朝刊が報じた。
それによると、同制度は株式市場の活況化やデフレ対策の一環として2003 年に導入されたが、当時の平均株価が8000円を割り込む水準だったのに対し、現在は1万6000円を大きく超えているうえ、個人投資家の割合も増勢傾向が定着しているため、優遇を続ける理由が失われたと判断したと記事では伝えている。