10/11 イートレード
〔クロスマーケット〕主力優良株に外国人買い、背景に米景気軟着陸の観測
06/10/11 16:53
<東京市場・11日>
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日経平均 |国債先物12月限| 国債282回債 |ドル/円(16:37) |
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16,400.57円 | 134.20円 | 1.740% | 119.49/52円 |
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─76.68円 | ─0.31円 | + 0.025% | 119.68/71円 |
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注:日経平均、国債先物は大引け、現物の価格は15時現在。
下段は前日終値比。為替は前日NY終値。
水野 文也記者
[東京 11日 ロイター] 東京株式市場では、主力優良株に外国人投資家の買いが
目立っている。少し前まで米国景気の減速懸念から日本の輸出産業に対する不安が台頭し
ていたが、ここにきて米景気のソフトランディング予想が浮上。先行きを悪く見過ぎてい
たとの修正論が広がり、日本の輸出型優良株にも海外からマネーが流入しているという。
先物主導の相場展開が続き、実質的な地合いは悪化しているとの声があるものの、株価は
日本をリードする企業の底力が評価する動きとなっている。
<米復調気配で不安感が後退>
住宅市場の失速など不透明要因を抱えつつ、米国の個人消費は底堅い。市場では「ダウ
が最高値を更新中の株高や、原油価格の急落を受けて消費マインドは落ち込んでおらず、
米景気は粘りを感じさせる。これまでが過小評価だったのではないか」(UBS証券・チ
ーフストラテジストの道家映二氏)との指摘もあり、株式市場を覆っていた国内輸出産業
に対する不安、企業業績の低下懸念を後退させた格好だ。
最近の米国経済のソフトランディング観測の台頭で、早期利下げ懸念が後退。さらに北
朝鮮の核実験実施声明に伴う地政学リスクの高まりを背景に、外為市場でドル高/円安の
動きが加速した。円安は「輸出産業の採算を改善させ国内景気を支える一方、輸入物価の
上昇を通じCPIを引き上げるため、円債市場にはネガティブになる」(UBS証券の道
家氏)が、それ以上に企業収益を押し上げる要因との見方に市場が傾きやすくなり、株式
市場にとっては理想的な上昇シナリオを展望できるようになった。
エース証券・専務の子幡健二氏は「金利の現状は一服状態。その一報で企業は利益増加
が期待できる状況となっており、株価にとって良好な環境が続きそうだ」とコメントして
いた。
実際、市場では「債券先物売り/株式先物買いのオペレーションも観測されている。3
月期企業の中間決算発表を控え、業績向上期待が大きい一方、いずれ利上げもあるとの読
みから、こうしたオペレーションには無理が感じられない」(欧州系証券トレーダー)と
いう。
<外需好調で輸出関連に注目集まる>
国内の消費動向について現場からは「回復していると思うが、消費が完全にプラスの状
況になったとは言い難い。強い回復を実感できる状況ではない」(高島屋の鈴木社長)と
いった声も出ており、内需に関しては依然として不安視する向きが少なくない。
しかし、外需に関して米景気の底堅さを踏まえれば「自動車や電機など国外で稼いでい
るのが現状。米国にしても、悪いと言われるGM <GM.N> やキャタピラー <CAT.N> は海外では
好調であり、世界景気の範ちゅうで相場を語るべきだ」(エース証券の子幡氏)との指摘
もある。
インデックス主導の相場によるとの見方も出ているが、最近の相場をリードするのは1
1日に上場来高値を更新したトヨタ自動車 <7203.T> をはじめ、ホンダ <7267.T> 、キヤノン
<7751.T> など輸出型の国際優良株だ。
北朝鮮の核実験実施の声明で注目度が落ちたが、日中関係の改善も好材料として挙げら
れている。みずほインベスターズ証券・調査部部長の一尾仁司氏は「羽田─上海のシャト
ル便のニュースが飛び出したように、日中関係の改善により、今後は急速に中国での投資
案件などが増えるとみられる。重電や機械から自動車まで輸出型企業にとっては朗報であ
り、株高シナリオに加えうる材料になりそうだ」とコメントしていた。
<カギ握るファンド勢>
ただ、足元の東京株式市場は、CTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー
)と呼ばれるヘッジファンドからの注文とみられる先物主導の展開が続いており、日経平
均が見た目ほどに安定していないとの見方も少なくない。
市場では「指数は強いながら、現物市場は一部の主力株や仕手系株を除くと厳しい状況
。ヘッジファンドの動向次第では崩れても不思議はない」(東海東京証券・マーケットア
ナリストの鈴木誠一氏)という。
CTAは上げ下げの方向性よりも値幅に着目して動くとみられるだけに「風向きが変わ
った場合、株価が崩れるリスクがある。その際、押し目買いを誘えるように、企業収益の
向上期待が保たれているか否かが、株価の先を読む上での注目点になる」(欧州系証券ト
レーダー)との見方が出ていた。