10/11 ブルームバーグ 記事
日本株は反落、金融中心に午後じり安-景況感の揺れと為替(終了)
10月11日(ブルームバーグ):東京株式相場は反落。日経平均株価は続伸して始まったものの、午後の取引で徐々に下落傾向を強め、この日の安値圏で終了した。みずほフィナンシャルグループなどの銀行株、武富士やオリックスなどのその他金融株、イオンなどの小売株が下げ、相対的に内需株の下げが目立った。新日本製鉄などの鉄鋼株、信越化学工業などの化学株も安い。東証1部の騰落状況は値下がり1467、値上がり192。
前日発表され、内容が事前予想を下回った機械受注などから国内景況感の楽観ムードが揺らぎ、北朝鮮の地下核実験を機に強まっているドル・円相場の円安傾向も重なり、内需株を避けて輸出関連株に資金をシフトさせる動きが広がっている。
日経平均株価の終値は、前日比76円68銭(0.5%)安の1万6400円57銭。TOPIXは同12.76ポイント(0.8%)安の1622.07。東証1部の売買高は概算で19億106万株。
ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行運用部長は、「コア30を中心に主力株は強いが、全体的には売り買いが交錯している。内需株がじわじわと弱い。機械受注が市場予想を大きく下振れ、景気拡大のイメージは崩れていないものの、踊り場を挟むのではという懸念が出ている。過去の景気拡大局面でも踊り場を挟んできた。こうした中、米株高、為替の影響を受けやすい輸出株のみが買われる展開だ」と話していた。
ただ、景気指標に関しては、前日の取引終了後に明らかになった内閣府の景気ウオッチャー調査は上方修正されており、「今後の経済指標を1つ1つ確認しなくてはいけなくなった」(水戸証券投資情報部の近藤将人氏)と、投資家も判断しにくい状況となっているようだ。
悪材料の出た業種や銘柄で下げがきつかったのは、消費者金融やリースなどその他金融株だ。ブルームバーグ・プロフェショナルで52週安値更新銘柄を見ると、プロミスやオリコ、武富士、アイフル、ジャックスなどが並んだ。日本公認会計士協会(JICPA)による同引当金基準が厳格化されることなどへの警戒感が強まった。
新興市場が総崩れ
また、ジャスダック市場などの新興3市場が総崩れとなり、個人投資家の投資余力に対する懸念も出た。新興市場では、業績を下方修正する銘柄が相次いでおり、業績不安が高まっている。ジャスダック指数は前日比2.5%安の83.39、東証マザーズ指数は同4.6%安の1073.38、大証ヘラクレス指数は同5.8%安の 1725.96。ジャスダック指数は連日の年初来安値を更新し、マザーズ、ヘラクレス指数は7月に付けた安値を割り込んだ。
ジャスダック市場では、中小型株を主に運用するスパークス・グループがストップ安。楽天は03年11月25日以来の4万円割れとなった。9月の月次売上高が悪化したことを受け、バックスグループが52週安値を更新。
東証マザーズ市場では、この日の業績軟調の代表銘柄となったラクーンがストップ安。07年4月通期業績予想を下方修正し、通期の単独経常損益は3億 7000万円の赤字(従来予想は2億円の黒字)に転落する見通し。また、6日に今期業績予想を大幅増収増益から減収大幅減益に変更したブイ・テクノロジーも連日のストップ安。外注費の発生などで赤字幅が拡大したコネクトテクノロジーズもストップ安。
大証ヘラクレス市場では、デジタルアーツが連日のストップ安。アセット・マネジャーズ、シンワアートオークション、リスクモンスターなども大幅安となった。
北朝鮮の2回目核実験報道、米政府は否定
北朝鮮の地下核実験の情報に神経質になる場面もあった。日本テレビやNHKは、午前7時40分に北朝鮮が2回目の地下核実験を実施したと報じた。米政府は11日午前、実験は行われていないとの見解を示した。スノー米大統領報道官は、報道について、「これは誤った情報だ。韓国も米国も、新たな地震活動を観測していない」と指摘した。
日本テレビは午前11時30分ごろ、同日午前8時半前に北朝鮮が2回目の地下核実験を実施したと字幕速報を流したことについて、昼のニュース番組内で「北朝鮮が2回目の核実験を行ったという事実の確認に至っていない。内容を訂正し、おわびする」とするコメントを発表した。現在、情報を収集中であるとしている。
コア30指数に買い続くも午後失速
内需株が軟調に推移する一方で、輸出株が好調だった。米景気の減速懸念を背景に、直近の相場では、「輸出売り、内需買い」の動きが続いてきた。もっともここに来て、原油価格の下落傾向などを受け、「米国株が高値となるなど米経済軟着陸の可能性が高まり、再び輸出関連株に乗り換える動きが出ている」(富士投信投資顧問の岡本佳久執行役員)という。10日のニューヨーク原油先物相場は1バレル=58.52ドルと、今年2月以来の安値となっており、米景気の足かせ役だった原油価格は下落傾向を鮮明にしている。
TOPIXニューインデックスシリーズの動きを見ると、コア30指数のみが上昇する場面が多かった。トヨタ自動車は今年4月21日に付けていた上場来高値をおよそ半年ぶりに更新、キヤノンやスズキ、オリンパスも52週高値を更新した。市場では、「米株式相場の時価総額が増えており、世界的なアロケーションを調整する動きから、出遅れ感のある日本株が買われている」(立花証券の平野憲一執行役員)という。もっとも、午後に失速してマイナス圏で終了した。
さらにこの日は、外国為替市場での一段の円安傾向も追い風となった。東京時間午前のドル・円相場は1ドル=119円70銭付近と、10カ月ぶりの円安・ドル高圏で推移。採算好転への期待で外需依存度の高い業種が注目されている。為替市場では、9日に北朝鮮が地下核実験を実施したと発表してから円売りが続いており、前週末までは118円前後で取引されていた。
1万6500円の攻防
需給面では、日経平均が節目の1万6500円に差し掛かっていた上、オプションの特別清算値(SQ)算出を今週末に控えているだけに、同水準での強気派と弱気派の攻防となりやすかった。ブルームバーグ・プロフェッショナルで、オプション取引の状況を見ると、1万6500円プット(売る権利)とコール(買う権利)の売買高が多くなった。
好決算の鹿島が大幅高、クラリオンはストップ高
中間決算発表の本格化を控え、個別では業績面で好材料を出した銘柄は素直に買われた。代表例が鹿島。株価は大幅反発となり、東証1部の値上がり上位に入った。10日、9月中間期決算の上方修正を発表。連結純利益は従来予想を65 億円上回る185億円の見通しだ。前年同期比で4.9倍となる。英子会社の業績は悪化するが、単体やその他海外子会社の業績好調などが寄与する。
日立製作所からTOB(株式公開買い付け)での買収を受けることを発表したクラリオンがストップ高比例配分となり、東証1部の値上がり1位。TOB価格にさや寄せする動きとなった。また、高単価品堅調で8月中間期業績が会社計画を上振れたABCマートが大幅反発となった。
バイズFRB理事:金融は安定、住宅市場の変動を吸収する基盤に
10月11日(ブルームバーグ):バイズ米連邦準備制度理事会(FRB)理事は11日、米住宅市場の減速や金融の安定について以下の通り発言した。同理事は、英ロンドンでの講演後、記者団に対し語った。なお、バイズ理事は金融政策に直接関連する質問には返答を控えた。
「バランスシートは堅調な内容を示しており、心地良く思っている。これは住宅市場が変化しても、その変化を吸収できる十分な基盤となる。しかし、米国内では調整が続いている」 「現時点では(調整は)引き続き、秩序をしっかりと保っていると考える」 この変化が無秩序化する「リスクがまったくないとは言えないが、市場は現段階で、変動を非常に上手く管理している」
米MBA住宅ローン申請指数:5.5%低下-購入指数も5.3%マイナス
10月11日(ブルームバーグ):全米抵当貸付銀行協会(MBA)が11日発表した10月6日までの1週間の住宅ローン申請指数(季節調整済み)は、前週比5.5%低下し599.1だった。低下率は6月以降で最大となった。
MBAによれば、購入指数は5.3%低下し383.3だった。住宅ローン30年物固定金利は平均6.27%と前週の6.24%から若干、上昇した。今年6月には年初来高水準の6.86%を記録している。
エコノミストらは、今の不動産市況の低迷は来年初めにかけて米国内総生産(GDP)の押し下げ要因だとみる。
4キャスト・ドット・コム(ニューヨーク)の米市場担当チーフエコノミスト、デービッド・スローン氏は、「住宅市場は引き続き減速している。現実的な復調の兆しはまだない。住宅在庫はかなり積み上がっており、購入を促進させるにはさらに価格を引き下げる必要がある」と語った。
OPEC、減産の具体的実施方法を協議-カタール・エネルギー相
10月11日(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)は3カ月間にわたる原油相場の下落に歯止めをかけることを目指し、日量100万バレルの減産に向けた協定締結に近づいているという。カタールのエネルギー・産業相ならびにナイジェリア関係者が明らかにした。
カタールのアティーヤ・エネルギー・産業相は11日の電話インタビューで、OPECは産油枠上限の引き下げではなく、「実際の産油量」削減による減産に踏み切るかどうかについて協議していると述べた。9月11日開催のOPEC総会では生産枠は日量2800万バレルに据え置かれたが、ブルームバーグがまとめた調査によると、実際の産油量はこの上限枠に達しなかった。
同相は、「実際の生産量を削減するのか、上限を引き下げるのかが引き続き協議の焦点だ」とし、「われわれは上限枠ではなく、現在の産油量の削減を希望している」と語った。
サウジアラビアの石油相は、同国が減産に加わるかどうかについてコメントを避けた。
OPECのダウコル議長の報道官、レビ・アジュオヌマ氏はナイジェリアからの11日の電話インタビューで、減産は「自発的」なものであり、加盟国ごとの対応になると述べた。また、同報道官によると、加盟国のうち少なくとも6カ国が減産に踏み切る見通しで、この減産は11月1日から開始される見込み。
10日の原油相場はほぼ8カ月ぶりの安値に下落した。石油生産で世界最大手のサウジアラビア国営石油会社、サウジアラムコが同日、アジアと地中海地域の顧客に対し、11月も10月と同等量の原油を供給する見通しを伝えたことが嫌気された。
原題:OPEC Debates How to Implement Agreed
OPEC、日量100万バレル減産で最終合意-議長報道官が表明
10月11日(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)は日量100万バレルの減産で最終的に合意した。ダウコルOPEC議長のレビ・アジュオヌマ報道官が11日、明らかにした。
同報道官は電話取材に対し、減産は「自発的」なものであり、加盟国ごとの対応になると述べた。9月11日開催のOPEC総会では、生産枠は日量 2800万バレルに据え置かれていた。
9月の欧州乗用車販売:前年比2.5%減、燃料値上がり響く-ACEA
10月11日(ブルームバーグ):欧州自動車工業会(ACEA)が11日発表した9月の欧州市場での乗用車販売台数は、前年同月比2.5%減の135万台と、4カ月連続でのマイナスとなった。燃料値上がりと雇用情勢の悪化が響いた。
ACEAが電子メールで配布した資料によれば、1-9月期の販売台数は前年同期比0.1%増の1130万台。
フランスのルノーと日産自動車の販売は、イタリアのフィアットやトヨタ自動車など競合メーカーの新型モデル投入の影響で落ち込んでいる。ガソリンや軽油の小売価格上昇は需要全体に悪影響を与えた。ブルームバーグのデータによれば、ロンドン市場の原油相場は7-9月期に前年同期比で14%上昇した。
米ゼネラル・モーターズ(GM)が9月に欧州市場で販売した乗用車とライトトラックは合わせて18万5045台。前年同月比4.8%減となった。同社の1-9月期販売台数は前年同期比0.2%減の153万台。独ダイムラークライスラーの「メルセデス・カー・グループ」の9月販売台数は前年同月比7.8%減。
フランスでは9月の乗用車とライトトラック販売台数が13%減となった。8月の失業者数増加が影響した。主要市場で販売が増えたのはドイツのみだった。
住宅減速で米成長鈍化、金融当局は07年に利下げへ-月間調査
10月11日(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ニュースが11日までにまとめた月間エコノミスト調査では、住宅市場の減速による米成長率鈍化が1カ月前の予想よりも大幅となり、米金融当局は2007年6月までに利下げをするとの予想が示された。
10月2-10日にかけエコノミスト79人を対象に実施した調査によると、 06年7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)の伸びは2.5%、10-12 月(第4四半期)も同水準となる見込み。両四半期とも、予想は前回調査から引き下げられた。
グローバル・インサイトのチーフエコノミスト、ナリマン・ベーラベシュ氏は、「皆が成長率予想を下方修正しているのは住宅減速が理由だ」と話した。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、住宅市場の「大幅な調整」が7-12月(下期)の成長率を1ポイント引き下げるとの見通しを示した。
調査に答えたエコノミストは景気減速とともに、07年の利下げを予想した。ただ、年内利下げや07年のリセッション(景気後退)入りの可能性はないだろうとの見通しを示している。ダラス連銀のフィッシャー総裁は10日、「経済の他の部分は出力全開だ」と述べ、「住宅以外にも目を転じることが重要」と指摘した。
07年通年の成長率についてのエコノミスト予想は2.6%。06年は3.3%成長が見込まれている。予想通りならば、07年は03年以来の低成長となる。
バンク・オブ・アメリカのシニアエコノミスト、ピーター・クレッツマー氏は「鍵を握るのは住宅だ」と指摘。「住宅市場の落ち込みは今年加速している。他の分野で成長が堅調でも、住宅だけで十分な押し下げ効果がある」と話した。同氏は第3四半期の住宅建設が年率20%のペースで減少したとみている。同氏ら複数のエコノミストは、向こう数四半期に3%未満の成長を予想している。
調査では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が07年4-6月(第2四半期)に5%に引き下げられ、7-9月(第3四半期)にさらに0.25ポイント引き下げられるとの予想が示された。
政策金利が6%に達すると予想していたギャリー・シュロスバーグ氏(ウェルズ・キャピタル・マネジメントのシニアエコノミスト)はこの予想を撤回し、「細かい事象が幾つも重なって、当局が安心して利下げできるところまで成長を鈍化させる」と話した。
原油とガソリン価格低下と所得の伸びを原動力に、今年下期の個人消費は3%の伸びが予想され、第2四半期の2.6%から回復する見通し。過去10年の平均である3.7%は下回る。
政府:安保会議を開催、北朝鮮の核実験発表受け追加制裁決定へ(2)
10月11日(ブルームバーグ):政府は11日午後9時から首相官邸で安全保障会議を開く。北朝鮮の核実験を実施したとの発表を受け、追加制裁など当面の対応を協議する。会議終了後に塩崎恭久官房長官が記者会見し、制裁措置の内容などを発表する見通し。
これと関連して、NHKは11日夕、政府が同日夜開く安保会議で、すべての北朝鮮船舶の入港禁止を盛り込んだ独自の制裁措置の発動を決めると報じた。一方、共同通信は同日、政府が船舶入港の全面禁止に加え、水産物の輸入制限措置を検討しており、13日にこうした追加制裁措置を閣議決定すると報じた。
日本政府は7月5日、北朝鮮が同日早朝に長距離弾道ミサイル「テポドン」1発を含む合計7発のミサイルを日本海に向けて発射したことを受け、特定船舶入港禁止特別措置法に基づき、半年間にわたって貨客船「万景峰号」など北朝鮮船舶の入港を禁止する制裁の発動を正式決定した。
さらに、9月19日には、7月15日の国連安全保障理事会の決議を受け、外国為替・外国貿易法(外為法)に基づく金融制裁措置の発動を閣議了解。北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連するとみられる15団体・1個人を対象に、日本国内の金融機関の口座からの預金引き出しや海外送金を許可制とし、事実上の監視下に置いた。
米MBA住宅ローン申請指数:5.5%低下-購入指数も5.3%マイナス
10月11日(ブルームバーグ):全米抵当貸付銀行協会(MBA)が11日発表した10月6日までの1週間の住宅ローン申請指数(季節調整済み)は、前週比5.5%低下し599.1だった。低下率は6月以降で最大となった。
MBAによれば、購入指数は5.3%低下し383.3だった。住宅ローン30年物固定金利は平均6.27%と前週の6.24%から若干、上昇した。今年6月には年初来高水準の6.86%を記録している。
エコノミストらは、今の不動産市況の低迷は来年初めにかけて米国内総生産(GDP)の押し下げ要因だとみる。
4キャスト・ドット・コム(ニューヨーク)の米市場担当チーフエコノミスト、デービッド・スローン氏は、「住宅市場は引き続き減速している。現実的な復調の兆しはまだない。住宅在庫はかなり積み上がっており、購入を促進させるにはさらに価格を引き下げる必要がある」と語った。