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北朝鮮が核実験強行、「成功」と発表-韓国は緊急安全保障会議開く
10月9日(ブルームバーグ):北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は9日、北朝鮮が「地下核実験を安全に実施し、成功した」と発表した。

KCNAは「核実験は科学的方法と的確な計算の下で行われ、いかなる危険性も生じない」としている。

これを受け、韓国政府は午前11時半から緊急安全保障会議を開いた。政府当局者が明らかにした。

原題North Korea Conducts Nuclear Test, Government News Agency Says(抜粋)

{NXTW NSN J6UM2I1A1I4H <GO>}

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 角田 正美 Masami Kakuta mkakuta@bloomberg.net Editor:okubo 記事に関する記者への問い合わせ先: Heejin Koo in Seoul at hjkoo@bloomberg.net

更新日時 : 2006/10/09 13:04 JST



今週の米経済指標見通し:ガソリン価格低下が小売り売り上げ後押し
10月8日(ブルームバーグ):今週の米経済指標は、ガソリン価格の低下によって小売売上高が3カ月連続で増加したことが示される見込みだ。

  ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査(予想中央値)によると、商務省が13日に発表する9月の小売売上高は、8月と同じ前月比0.2%増が見込まれる。エコノミストらは、ガソリン価格の低下で、9月の小売り売り上げはより堅調だったとみている。

スタンダード・アンド・プアーズのチーフエコノミスト、デービッド・ワイス氏(ニューヨーク在勤)は「消費者はガスリンスタンドでの支払いが減り、ショッピングセンターでの買い物を増やした」と述べ、「労働市場はかなりひっ迫しており」、経済成長に必要な所得を生み出していると語った。

3月初旬以来の低水準となったガソリン価格は、消費者信頼感も改善させたとみられる。これにより、米景気は過度に落ち込みつつあるとの懸念が和らぎ、金融当局が年内、金利を据え置くことが可能になるとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)のコーン副議長とフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は先週、当局は利下げを急ぐ考えのないことを明らかにした。11日には、9月20日開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が発表され、投資家の注目を集めることになろう。

13日に発表される10月のミシガン大学消費者マインド指数(速報)は86.3 と、9月の85.4から上昇する見通し。

エネルギーコストの低下は輸入物価の押し下げにつながり、貿易赤字を縮小させたとみられる。労働省が13日発表する9月の輸入物価指数は前月比 1.5%低下と、低下幅は昨年11月以降で最大となる見込み。8月は同0.8%上昇だった。商務省が12日発表する8月の貿易収支は、667億ドルの赤字と、7月の680億ドルの赤字から縮小すると見込まれる。

ブルームバーグ調査


日付 発表時刻 経済指標 予想 前回実績
********************************************************************
10/10 2:00 9月の財政収支 475億ドル 357億ドル
10/10 8:30 8月の卸売在庫 0.7% 0.8%
10/12 8:30 先週の新規失業保険申請件数 31.2万件 30.2万件
10/12 8:30 8月の貿易収支 -667億ドル -680億ドル
10/13 8:30 8月の企業在庫 0.5% 0.6%
10/13 8:30 9月の輸入物価 -1.5% 0.8%
10/13 8:30 9月の小売売上高 0.2% 0.2%
10/13 8:30 同(自動車を除く) 0.0% 0.2%
10/13 10:00 10月のミ大消費者マインド指数 86.3 85.4
*********************************************************************
(%は前月比増減率)
(発表時間はワシントン時間)

業績が米株投資家のリスク過小評価を示す可能性-決算シーズン始まる
10月9日(ブルームバーグ):米国株への投資家らは、4年間にわたる強気相場が今後も持続すると考えているかのようだが、7-9月(第3四半期)の決算内容が彼らに再考を促すかもしれない。

ネッド・デービス・リサーチ社の指数によると、米株式に対する投資家心理は極めて楽観的な水準に達している。10日から始まる決算シーズンを前に、オプション価格に基づく投資家の不安度は低い状況にある。ピーコット・キャピタル・マネジメント(コネティカット州)のチーフ投資ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏は「投資家は悪化するものは何もないと信じている」とし、「決算内容には幾分か失望する点があるだろう」と語った。

原油相場が下落幅を広げるなかで、米株式相場は上昇した。ダウ工業株30 種平均は先週、2000年1月14日につけた11722.98ドルを上回って過去最高値を記録した後、11850.21ドルで終了。S&P500種株価指数は2001年2月以来の高値となる1349.58で終了。週間では1%上昇だった。ナスダック総合指数は週間で1.8%上昇の2299.99だった。

業績見通し

調査会社トムソン・ファイナンシャルによると、アナリストらは過去1カ月の間に7-9月期の決算見通しについて、S&P500種の10業種のうち金融を除く9業績の予想を下方修正した。S&P500種構成企業の増益率は14%と見込まれており、4-6月期の16.3%を下回る見込みだ。

10日に発表するアルミニウムメーカー最大手、アルコアの決算や、13日発表の時価総額で世界2位のゼネラル・エレクトリック(GE)の決算が、米景気が企業利益にどれほどの影響を与えているのかを示すことになりそうだ。

トムソンによれば、企業利益の伸びは来年半ばにかけて減速する可能性がある。ただ、アナリストらは業績見通しを低く見積もる傾向があり、今回もそうである可能性もある。1992年以降、S&P500種構成企業の57%は、各四半期ごとのアナリスト予想を上回る業績を上げてきた(ブルームバーグ・データ)。

パシフィック・ハイツ・アセット・マネジメント(サンフランシスコ)のマイケル・クジノ氏は「米景気はある程度減速すると考えられているが、大幅な減速にはならないはずだ」と指摘。「企業業績に反映されている良好な経済成長率を株価は織り込んでいない」との見方を示した。

それでも、過度の楽観主義の兆候は、失望的な決算内容によって一部の投資家に保有株のリスクをあらためて見直すきっかけを与えるかもしれない。カンバーランド・アドバイザーズ(ニュージャージー州)のデービッド・コトック会長兼最高投資責任者は「都合のいいことに、投資家らはリスクというものがどんなものであるのかを忘れてしまっている。われわれは金融史を通じて、そのすべてを目の当たりにしてきた。今の状況に何か異なる点があるだろうか」と述べた。


米国株(6日):4日ぶり反落、雇用統計で利下げ不透明感が台頭(2)
  10月6日(ブルームバーグ):米国株式相場は反落。朝方発表された9月の雇用統計で失業率が予想を下回ったことから、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ期待が弱まり、株式相場は4日ぶりに下げに転じた。

  自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)大株主の資産家、カーク・カーコリアン氏の経営する米投資会社トラシンダは、GM株の追加取得計画を撤回した。また、カーコリアン氏のアドバイザー、ジェローム・ヨーク氏が、GMの取締役を辞任した。これを嫌気してGMが下落。半導体株も軟調。半導体メモリー大手のマイクロンが5日の通常取引終了後に公表した2006年6-8月(第4四半期)決算がアナリスト予想平均を下回ったことが悪材料となった。

  週間ベースでは株式相場は続伸。2週連続で上昇したのは8月上旬以来。FOMCが利下げに踏み切る可能性があるとの観測が今週の株式相場堅調の背景。

  カナリー・トラストのティム・ハーゼル最高投資責任者(CFO)は、「投資家は来年1月までに利下げが実施されると予想していた」とし、「この日の失業率をみると、FOMCが金利を据え置く公算が拡大している」と述べた。

  ダウ平均終値は前日比16.48ドル(0.1%)安の11850.21ドル。S&P 500種株価指数は同3.64ポイント(0.3%)下げて1349.58。ナスダック総合指数は6.35ポイント(0.3%)値下がりして2299.99。

  週間ベースでは、ダウ平均は1.5%高、S&P500種は1%上昇、ナスダック総合指数も1.8%上げた。ダウ平均は6月13日に付けた年初来安値からは 13%上昇。FOMCの次回の動きが利下げとなるのに十分なほど米景気拡大が鈍化しているとの観測が背景だった。

          株価の堅調要因に不透明感

  クロナス・フューチャーズ・マネジメント(シカゴ拠点)のチーフ市場ストラテジスト、ケビン・フェリー氏は、「FOMCの利下げ見通しが株式相場堅調の一因だった。それが、疑問視されるに至った」とし、「今度は何が株式相場を支えるのか」と述べた。

  ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は4対9。出来高概算は 15億7000万株と、年初来平均を4.7%下回った。GMは前日比6.3%下げた。

            半導体株、軟調

  半導体メモリー大手のマイクロンは同14%の大幅安。同社が5日の通常取引終了後に公表した06年6-8月(第4四半期)決算によると、1株利益(EPS)は8セントと、アナリスト予想平均の14セントを下回った。売上高も13億7000万ドルにとどまり、市場予想を2.8%下回った。

  半導体株は全般的に軟調。半導体最大手のインテルや、パソコン用プロセッサー世界2位のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)も安い。

  電子機器受託生産で世界2位のソレクトロンも下げた。同社が5日、06年9-11月(第1四半期)の売上高がアナリスト予想を下回る可能性があると明らかにしたことが弱材料。

              雇用統計

  米労働省が午前8時30分に発表した9月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は、前月比5万1000人増加した。増加幅はブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値の12 万人を下回った。一方、8月の増加幅は18万8000人と、速報値の12万8000 人から6万人上方修正された。

  家計調査による9月の失業率は4.6%と、前月の4.7%を下回った。下3桁は4.578%となり、6月の4.598%を下回り、今景気拡大局面で最低を記録した。

  インターネット検索大手のグーグルは前日比2.1%高。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のオンライン版は6日、インターネット検索大手のグーグルが動画共有サイトのユーチューブを約16億ドル(約1900億円)で買収する方向で交渉していると報じた。話し合いに詳しい関係者を引用して伝えた。

  小売業最大手のウォルマート・ストアーズは先月発表したフロリダ州でのジェネリック(後発医薬品)値下げプロジェクトについて、拡大する方針を6日に示した。これを嫌気してCVSなどのドラッグストアチェーンの株価が続落した。


円、韓国ウォン、韓国株が下落―北朝鮮の核実験実施発表を嫌気
  10月9日(ブルームバーグ):日本円、韓国ウォン、韓国株は9日、北朝鮮政府が国際社会の警告を無視して核実験を実施したと発表したことに反応し、下落している。  円は日本時間午後零時19分現在、1ドル=119円13銭と、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が同日、同国が核実験を実施したと発表する前の 118円83銭から下げている。韓国株式市場では、韓国総合指数は前営業日比 2.7%安の1315.41となっている。バークレイズ・キャピタルによれば、ソウルでは、ウォンは1.1%安の1ドル=959.40ウォン。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行の通貨ストラテジスト、トニー・モリス氏(シドニー在勤)は、「これは北東アジアの経済活動にとってマイナスの影響を及ぼす。円にとっては明らかにマイナスだ。北朝鮮が核実験を実施したという事実は、この地域の不透明感を新たな水準にまで高める」と述べ、米ドルが有事の避難先を求める資金動向の恩恵を受けると指摘した。

  国連安全保障理事会は6日、北朝鮮の核実験問題についての声明を全会一致で採択し、同国に核兵器の実験を実施しないよう強く求めるとともに、6カ国協議への復帰を要請していた。


シティグループのゴッティ氏:北朝鮮の核実験実施についてコメント
  10月9日(ブルームバーグ):シティグループ・プライベート・バンクのマネジングディレクター(シンガポール在勤)、ハンス・ゴッティ氏は9日、北朝鮮が核実験を実施したと発表したことを受け、韓国金融市場の見通しについて以下の通り発言した。

  「日本と中国、米国がどのような措置を取るか次第だが、市場のセンチメントにとって悪いものだ」  「こうした全く予期されていなかったわけではない出来事は、市場に対し短期的な効果しかない。長期的には、経済動向が市場をけん引する」  韓国向け「投資が干上がるとは思わない」


米キャンターのゴールドマン氏:雇用統計と米国債見通しでコメント
  10月6日(ブルームバーグ):米キャンター・フィッツジェラルド(ニューヨーク)の債券調査担当グローバル責任者、デービッド・ゴールドマン氏は6日、同日発表された9月の米雇用統計と米国債見通しについて以下の通りコメントした。

  米労働省によると、9月の非農業部門雇用者数は前月比5万1000人増となった。8月は同18万8000人増。失業率は市場予想に反して4.6%に低下し、5年ぶりの低水準となった。8月は4.7%だった。

◎雇用統計による米国債への影響:  「景気は実際よりもはるかに弱いと誤って判断し、利下げという過度に楽観的なシナリオを織り込んでいたヘッジファンドなどの市場参加者が、この日の発表を受けて多くのロングポジション(買い持ち)を整理した」

◎最近の債券相場の上昇:  「ここ2カ月の債券相場の上昇で最も重要なのは、その上昇の8割は原油相場がけん引役だった点だ。つまり、米国債利回りに蓄積されたインフレプレミアムは、原油価格が下落するごとに動いた。インフレ期待は極めて急激に低下した」

◎原油とインフレ、米国債の関係:  「もちろん、米国債市場にとって大きなリスクは、イランや中東諸国での戦略上の問題を理由に原油相場が再び上昇すれば、きょうよりもっと大きな米国債利回りの反転を目にする可能性もあることだ」

◎米国債と金融政策の見通し:  「米国債相場には極めて慎重になるだろう」  「2007年のフェデラルファンド(FF)金利は4 3/4%と予想する」  「07年1-3月(第1四半期)までに利下げが実施される可能性は極めて低い」


米住宅市場の減速が雇用圧迫、個人消費にさらなる脅威―エコノミスト
  10月6日(ブルームバーグ):エコノミストらによると、米住宅市場の減速が雇用を圧迫し始めつつある。住宅価格下落を受けてすでに鈍化している個人消費への脅威が鮮明になっている。

  ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、アンドルー・ティルトン氏によると、5年にわたる住宅ブームの終了の影響で、月間の雇用増加数は 2007年4-6月(第2四半期)まで10万人を下回って推移する見込み。ムーディーズ・ドット・コムのゾルタン・ポズサー氏によると、住宅関連業界の雇用の減少は今後2年で35万人から最高120万人に上る見通しだ。

  ティルトン氏はインタビューで、「過去数年間の雇用の伸びへの貢献を考えると、このセクターは実態以上の影響を与えてきた。雇用の伸びには今後、貢献よりもむしろ足かせになる公算が大きい」と指摘した。

  これまでのところ、労働省の月間雇用者数の大幅減少という形には表れていない。米労働省が6日発表した9月の非農業部門雇用者数は前月比5万1000人増、失業率は5年ぶりの低水準の4.6%となった。9月の雇用の伸びはエコノミスト予想を下回ったものの、8月の雇用者数は同18万8000人増と、速報値から 50%近く上方修正された。

  ただ、住宅関連産業の雇用の伸び鈍化や一部の減少は、一部のデータに反映され始めている。大工や、乾式壁や床の施工業者などの雇用は先月、1万7500 人減となり、過去半年で最大の落ち込みをなった。8月は1900人増だった。

  米住宅建設最大手パルト・ホームズ傘下のディボスタ・ビルディングは9月 19日に135人の従業員解雇を発表。オベラー・レジデンシャル・コンストラクションのロバート・マッキャン最高業務責任者(COO)は電話取材に対し、「将来に極めて慎重な見方」から従業員を2-3%削減した述べ、来年の住宅建設は2006年に比べて25%程度減少する見通しを示した。

  住宅建設関連の鈍化はほかの住宅関連業界にも影響し始めている。労働省によると、家具メーカーなどの雇用は9月に3600人減少した。家電メーカー最大手のワールプールは10月3日にアーカンソー州とインディアナ州で約1200人を削減する計画を発表している。住宅ローン最大手のカントリーワイド・ファイナンシャルは9月19日、一部部門で最大10%削減すると社員に通知した。



GM取締役のヨーク氏が辞任、日産・ルノーとの交渉決裂で-株急落(2)
  10月6日(ブルームバーグ):資産家カーク・カーコリアンのアドバイザー、ジェローム・ヨーク氏(68)は、米ゼネラル・モーター(GM)の取締役を辞任した。カーコリアン氏の経営する米投資会社トラシンダが6日、当局に提出した文書で明らかになった。トラシンダはまた、GM株の追加取得計画を撤回した。これを受けて、GMの株価は6.3%値下がりし、過去3カ月強で最大の値下がりとなった。

  カーコリアン氏はGMに、日産自動車・ルノー連合との提携を提案したが、GMと日産・ルノー連合との提携交渉は4日、決裂に終わった。

  ヨーク氏はGM取締役のジョージ・フィッシャー氏に宛てた書簡で、「取締役会では、経営陣が提供した資料からさらに踏み込んで検討するような前向きな姿勢が見られない」と説明した。

  GMの取締役会は、全員一致で提携交渉の打ち切りを決定、引き続きリック・ワゴナー最高経営責任者(CEO)の下、事業再建策を進めていく方針を示した。ヨーク氏は今年2月にGM取締役に就任、同社の再建促進を図っていた。

  GMはこの日発表した声明で、ヨーク氏の辞任に関する直接的な言及を避けた。GMは日産・ルノー連合との交渉が決裂した背景として、「ルノー・日産連合が求めた提携は、GM株主に不利益をもたらす」ほか、他の自動車メーカーとの資本提携の可能性を封じる構造になっていると取締役は判断したと説明した。

  GMの6日株価終値は前日比2.08ドル(6.3%)安の31.05ドル。1日での値下がり率としては6月27日以来で最大だった。



【ドル円】8%下落も-「変動率」分析でJPモルガン佐々木氏ら(3)
  10月6日(ブルームバーグ):ドル・円相場は、早ければ来週にも、年初来安値に向かって下落に転じる可能性がある。日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)が改善しているにもかかわらず、これまでのドルの円に対する下値が限定的過ぎるとみられているためだ。JPモルガン・チェース銀行東京支店の佐々木融チーフFXストラテジストら市場関係者によると、テクニカル指標はドルが円に対して最大8%下落すると示唆している。

  外国為替市場のドル・円相場では、5月の1ドル=109円ちょうどから、2日に付けた118円40銭まで、10円近くもドル高・円安が進んだ。低金利で調達した円を金利の高いドルなどの通貨に換えて運用する「『円キャリートレード』が活発化したことが主因」(野村証券金融市場部為替課の永谷昌悟課長)との見方が多い。  円キャリートレードには、金利差だけでなく、「為替相場に波乱要因が乏しいことも欠かせない要件」(野村証券の永谷氏)。為替相場が予想外の動きをすれば、高い金利で稼いだ利益も吹き飛び、含み損すら発生する公算もあるためだ。

  このため、市場関係者が将来の値動きにどの程度、不確定要素があると見ているかを示す「予想変動率(ボラティリティ)」が低いことも、円売りが増える背景となった。ボラティリティは足元で6.8%前後と10年ぶりの低水準にあり、波乱要因が少ないと市場が判断していることを示唆している。

  ただ、低いボラティリティは「長続きしない。必ずと言ってよいほど、ボラティリティは急上昇に転じ、相場が大きく動き出す」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木氏)。

          年初来安値の可能性

  佐々木氏は、07年3月に1ドル=120円と中期的にはドル高・円安を予想しているが、「その前にいったん、調整局面入りする可能性が高まっている」と指摘する。  過去の例と同じようにドル安・円高になった場合、調整は5-8%程度。足元の118円台前後から5%下落なら112円ちょうど近辺だが、8%下がったら 108円台半ば。5月につけた109円ちょうどの年初来安値をも更新する可能性がある計算だ。

           三角持ち合い

  チャート分析の観点からは、現在のドル・円相場は、上値と下値の傾向線が先細りになって形成される「三角持ち合い」の状態。三角持ち合いは、相場の流れが行き過ぎることへの警戒感が徐々に広がり、流れを強める材料も、基調を反転させるほどの大きな要因も、ともに見当たらない場合に起こりやすい。

  円安基調ながらドルの上値も重くなってきている背後には、日本の景気回復の持続がある。2日の日銀短観(企業短期経済観測調査)で企業の景況感が高水準を維持していることが示されるなど、景気回復局面は戦後最長を更新する可能性が高まっている。

  日本銀行の武藤敏郎副総裁は5日の講演と記者会見で、「先行きも物価がプラス基調を続けるという判断に変わりはない」と言明。米国のクリスマス商戦の「見極めがないと政策展開できないという考え方を取っているわけではない」とも述べた。  三菱東京UFJ銀行の深谷幸司チーフエコノミストは、「追加利上げは年内にあってもおかしくない」と予測する。

         こう着がエネルギーを蓄積

  アナリストらによると、三角持ち合いに陥った相場は、上下どちらかに大きく動き出すことが多い。動かない相場ほど、「動き出すためのエネルギーを貯めている。全ての材料を織り込んで、何も織り込んでいないのと同じになり、サプライズに敏感になる」(バークレイズ銀行の梅本徹チーフFXストラテジスト)からだ。

  三角持ち合いの典型的な事例の1つが、2000年2月から11月までのドル・円相場。約8カ月かけて値動きが縮小に向かった後、11月からの2カ月半で 11%超もドル高・円安が進んだ。

         ボラティリティが予兆を示す

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木氏は「ボラティリティを注意深く観察すれば、潮目の変化はある程度可能だ」と指摘する。

  ボラティリティの低下は、将来の値動きに対する波乱要因が乏しいという市場の見方を映しているはずだが、過去の例では、8%を下回った後には相場が大きく動いている。  最近2年間では、ボラティリティが8%を継続的に下回ったのは4回。うち、 04年10月と05年11月、06年4月の3回は、その後1-2カ月の間にドル・円相場が急落している。

  佐々木氏は、これらの事例には共通の「予兆」が見られると指摘する。まず ①ある日、ドル・円相場が1%弱下落し、予想変動率が若干持ち直す、次に②翌日から1週間程度は相場がおおむね横ばい圏内で推移する、その後③ドル・円相場が1-2カ月かけて5-8%下落する-といった規則性が読み取れるという。

  ドル・円相場は2日、米供給管理協会(ISM)製造業景況指数の悪化を受けて1%弱下落。9月末に6.6%まで低下した予想変動率は2日、6.9%前後に持ち直した。翌日以降のドル・円相場は、おおむね横ばい圏内にある。