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米国株(29日):反落、経済指標で利下げ期待後退-四半期では堅調(2)
9月29日(ブルームバーグ):米国株式相場は反落。この日発表された経済指標で、米連邦公開市場委員会(FOMC)がすぐには利下げを実施しないとの見方が台頭し、続伸は4日で終了した。
パルト・ホームズなどの住宅建設株が3日連続で下落した。FOMCが政策を変更しないとの懸念が弱材料。また、8月の個人消費支出(PCE)の増加率が昨年11月以来で最小となったことが嫌気され、住宅関連用品小売り最大手のホーム・デポや高級百貨店チェーンのノードストロムが下げるなど、小売関連が軟調。
リサーチ・アフィリエーツ(カリフォルニア州)の調査・投資管理部門ディレクター、ジェーソン・フュ氏は、「FOMCが利下げを始めるというのは既定の結論ではない」とし、インフレが「株式相場にとって恐らく最大のリスク要因だろう」と述べた。
ダウ工業株30種平均はこの日は下落したものの、この日も前日に続いて 2000年1月14日に付けた終値ベースでの過去最高値を一時上抜けた。また第3四半期としては、1995年以来最大の上げとなった。
ダウ工業株30種平均終値は前日比39.38ドル(0.3%)安の11679.07ドル。朝方に一時、11741.99ドルまで買い進まれ、終値ベースの過去最高値 11722.98ドルを上抜けた。S&P500種株価指数は、前日比3.3ポイント(0.3%)下げて1335.85。ナスダック総合指数は同11.59ポイント(0.5%)値下がりして2258.43。
利下げ見通しに不透明感
バンク・ジュリアス・ベアで420億ドル以上の資産運用に携わる世界株式担当共同責任者、ブレット・ギャラガー氏は、「株式相場堅調の主因はFOMCが利下げに踏み切るという期待だ」と語った。
原油価格の下落やインフレが抑制されている兆候を受けて、株式相場は過去3カ月間上昇している。
S&P500種指数は四半期ベースでは5.2%上昇。ダウ平均は4.7%高、ナスダックは同4%上げた。
週間ベースでは、S&P500種は1.6%高、ダウは1.5%上昇した。ナスダックは1.8%の上げ。
シカゴ購買部協会が午前10時に発表した9月のシカゴ地区の米製造業景況指数(季節調整済み)は62.1と、前月の57.1から上昇した。新規受注がけん引した。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では55.7(予想中央値)への低下が見込まれていた。同指数で50は景況活動の拡大と縮小の境目を示す。
個人消費支出
米商務省が朝方発表した8月の個人消費支出(PCE)は前月比0.1%増加し、前月の0.8%増から伸びが鈍化した。増加率はブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値(0.2%増)を下回り、昨年11月以来(0.1%増)で最小だった。
また、金融政策担当者が重視する食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は8月に前月比0.2%上昇と前月の同0.1%上昇から伸びが加速。同指数のエコノミスト予想は0.2%上昇だった。
米銀最大手のシティグループは、景気拡大の鈍化でインフレ圧力が弱まるなか、FOMCは3月までに金利を5%に下げるとの見通しを示した。シティはこれまでは、6月まで金利は据え置かれるとの見方を示していた。
S&P500種採用の小売企業で構成する指数は1.4%下げ、業種別24指数のうち下げ幅が最大となった。ホーム・デポは前日比1.2%安、ノードストロムも下げた。
パルト・ホームズ軟調
パルト・ホームズは下落。S&P500種採用の住宅建設企業で構成する指数は2.3%下げた。
携帯電子メール端末「ブラックベリー」を製造・販売するカナダのリサーチ・イン・モーションは大幅高。同社が28日に発表した2006年6-8月(第2四半期)決算が予想を上回ったことや、需要増をけん引に第3四半期業績も予想を上回るとの見通しを示したことが好感された。
半導体メーカーのテキサス・インスツルンツ(TI)は下落。シンクエクイティ・パートナーズのアナリスト、ロバート・バールソン氏は、TIの株式投資判断を「売り」に引き下げた。同氏はTIの06年10-12月(第4四半期)売上高は「現在の見通しを大幅に下回る可能性がある」と指摘した
米国市場のアジア株:下落-電池リコール拡大でソニー安い
9月28日(ブルームバーグ):米国市場のアジア株は下落。ソニー(SNE US)の下落が株価全体に悪影響を与えた。米パソコン大手デルや東芝がソニー製リチウム電池のリコール(回収・無償交換)を発表し、同社製電池のリコール対象は700万個を上回った。
バンク・オブ・ニューヨークが集計しているアジア企業のADR(米国預託証券)指数は、前日比0.45ポイント(0.3%)安の141.12。日本企業のADR指数は同0.32ポイント(0.3%)安の113.64だった。
ミシガン大学の消費者信頼感指数など一連の経済指標で、米連邦準備制度がすぐには利下げを実施しないとの見方が広がったことも弱材料。
ソニーのADRは前日比80セント安の40.36ドル。ソニーはリコールに関係する可能性のある他のメーカーの名前は明らかにしていない。
シカゴ商業取引所(CME)の日経平均先物(12月限)は前日比15円高の1万6110円。大阪証券取引所の終値は1万6100円、シンガポール取引所は1万6105円だった。
NY原油(29日):ほぼ変わらず、減産と景気減速が綱引き-62.91ドル
9月29日(ブルームバーグ):ニューヨーク原油先物はほぼ変わらず。石油輸出国機構(OPEC)による協調減産の観測と米景気減速に伴う石油需要抑制への懸念が綱引き状態となった。
米商務省が発表した8月の個人消費支出(PCE)は前月比0.1%増加し、前月の0.8%増から伸びが鈍化した。増加率はエコノミスト予想中央値(0.2%増)を下回り、昨年11月以来(0.1%増)で最小だった。前日に発表された4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)確定値は、改定値から下方修正された。一方で、OPEC加盟国のネズエラとナイジェリアが減産を決め、他の加盟国による協調減産への観測が浮上した。
フィマットUSA(ニューヨーク)のリスク管理担当バイスプレジデント、ジョン・キルダフ氏は、「PCEとGDPの両統計は、エネルギー需要の減退を示唆し、原油相場は支えを失っている。OPEC当局者の発言に対して市場は十分に反応してきた。今後は彼らの言葉が実の伴ったものか確認する必要がある」と話した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限終値は前日比 0.15ドル高の1バレル=62.91ドル。週間では3.9%値上がりした。
欧州株(29日):ほぼ変わらず、ダウ欧州株価指数は5年ぶりの高値に迫る
9月29日(ブルームバーグ):欧州株式相場はほぼ変わらず。週間ベースでは上昇した。企業利益は拡大し、欧州地域でますます多くの企業合併・買収(M&A)案件がみられることになろうとの観測を受けて、ダウ欧州株価指数は5年ぶりの高値に近づいた。
ABNの欧州戦略責任者、ロルフ・エルゲティ氏は「われわれは引き続き強気だ」とし、「企業業績や魅力的なバリュエーション、M&A案件が株式相場をけん引するだろう」と述べた。同氏は欧州の主要株価指数が今後12カ月間で8%以上上昇する可能性があるとの予想を示した。
スイスの保険大手、バロイズ・ホールディングは、4年ぶりの高値を付けた。同社の身売り観測が高まっている。欧州最大の格安航空会社、アイルランドのライアンエアーは、利益見通しを上方修正したことが好感されて大幅高。一方、時価総額で欧州最大の石油会社、英BPは原油相場の下落を受けて下げた。他のエネルギー株も安い。
ダウ欧州株価指数は前日比ほぼ変わらずの341.43。5月に付けた5年ぶりの高値に3ポイントに迫った。四半期ベースでは6.5%上昇、週間ベースでは 1.9%上げた。ダウ欧州50種株価指数は同0.1%下落。ユーロ圏の50銘柄で構成するダウ・ユーロ50種株価指数は同0.1%高。
欧州の主要な輸出先である米国でこの日発表された8月の米個人消費支出(PCE)の増加が鈍化したことを受けて、欧州株価の上値は限られた。米商務省が発表した8月のPCEは前月比0.1%増加し、前月の0.8%増から伸びが鈍化した。
ダウ・ユーロ50種株価指数構成銘柄中で37社が発表した直近の決算が、アナリスト予想を上回った。これは少なくとも過去11四半期で最も良い実績。年初来これまでに、欧州での買収額は過去最高の1兆2200億ドル相当に達している。前年同期は7500億ドルだった。
バロイズ・ホールディングは前日比4.8%高。スイスを拠点とするルガノで約20億ドル相当の資産運用に携わるサーシャ・キーバー氏は、「ロンドンのトレーダーから、同社が買収の標的とみられているとの声が聞こえている」と述べた。バロイズの広報担当者、フィリップ・セン氏はこれについて否定も確認もしなかった。
ライアンエアーは1.9%高。同社は通期利益見通しを上方修正した。また、米ボーイングに32機の航空機を発注した。
BPは0.9%下落。ノルウェーの石油・天然ガス会社スタトイルは年内と来年の石油・ガス生産目標を引き下げた。
英スタンダード・チャータード銀行は2.1%安。台湾の新竹国際商業銀行買収で合意したことが弱材料となった。
上場ヘッジファンドで世界最大手の英マン・グループは1.1%上昇。2006 年4-9月(上期)の利益がアナリスト予想を上回る見込みだと発表したことが好感された。
英独仏の株式指標
英国のFT100指数は前日比10.50ポイント(0・18%)下げて5960.80。FTオール・シェア指数は同3.23ポイント(0.11%)安の3050.44。
ドイツのDAX指数は同15.17ポイント(0.25%)上げて6004.33。HDAX指数は同9.39ポイント(0.30%)高の3094.93。
フランスのCAC40指数は変わらずの5250.01で終了した。