アマランス(米ヘッジファンド)巨額損失に関する記事
アマランス崩壊させたトレーダーが「復活」-新ファンド設立、資金募集
3月23日(ブルームバーグ):天然ガス取引の失敗でヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズを崩壊に導いたトレーダーのブライアン・ハンター氏は、新たな商品ファンドに資金を募集している。同ファンドが投資家に送った資料から分かった。
ハンター氏はソレンゴ・キャピタル・アドバイザーズを設立し、ションデル・サバド氏やシェーン・リー氏などの元同僚を雇用した。ソレンゴ・キャピタルはハンター氏の地元であるカナダのカルガリーとアマランスの拠点だった米コネティカット州グリニッチにオフィスを開き、「数十億ドル規模の商品投資ファンド」となることを目指す。
アマランスは半年前に、ハンター氏の天然ガス取引から66億ドル(約7800 億円)の損失を出し、閉鎖に追い込まれた。
JPモルガンやシティグループで原油トレーダーを務め、現在はエネルギーコンサルティング会社リスク・リミテッドを経営するシャノン・バーチェット氏は、「最近の実績を考えると」ハンター氏の新ファンド設立は「驚きだ」として、「失敗したファンドマネジャーがよみがえって、再び資金を集められるという不思議な現象が起こっている」と話した。
ハンター氏とサバド氏のコメントは得られていない。
ファンドの販売資料によると、ソレンゴは原油や非鉄金属など特定の市場に合わせて設計したファンドを販売する。資料によるとソレンゴの運用手数料は投資資産の2%、成功報酬は投資収益の20%。
バーチェット氏は22日のインタビューで、「投資家は過去の経緯を知り」、大損失を出したのと「同じ運営チームに資金を預けることをためらうと思うのだが」と語った。
リー氏と、もう1人のアマランス出身者のマシュー・カルフーン氏が天然ガスポートフォリオを運用する。ソレンゴの資料には、「最高のポートフォリオマネジャーを起用したいと考えている」と書かれている。
ゴールドマン:ヘッジファンドのアマランスからトレーダー17人採用
12月11日(ブルームバーグ):米証券大手、ゴールドマン・サックス・グループはエネルギー取引の失敗で9月に破たんしたヘッジファンド、アマランス・アドバイザーズからトレーダー17人を採用した。事情に詳しい匿名の人物が11日までに説明したもので、債券市場向け投資の拡大が目的だという。
同関係者によれば、採用されたのはニューヨークを拠点とする信用関連のスペシャリスト14人とシンガポール拠点の3人で、アマランスで債券投資を担当していたグレッグ・フェルトン氏が率いる。何人かは既にゴールドマンでの勤務を開始したという。
ゴールドマンは、100億ドル(約1兆1669億円)相当の旗艦ヘッジファンド、「グローバル・アルファ・ファンド」の運用成績が今年1-11月にマイナス 11.6%となり、ばん回に向けて、リスクの高い投資に資金を注力している。
カボット・マネー・マネジメント(マサチューセッツ州セーラム)で3億 8000万ドル相当の運用に携わるレス・サトロウ氏は、ゴールドマンの動きについて、「長期的にヘッジファンドにかかわっていく決定をしたことを意味する」と指摘。「資本は当然あり、それで才能を適正価格で手に入れられるのなら、そうするだろう」と語った。
ゴールドマンの広報担当、ピーター・ローズ氏はアマランスからのトレーダー採用についても、アルファの運用成績についてもコメントを差し控えた。
米モルガン・スタンレーのファンド、アマランス絡みの損失53億円超
11月30日(ブルームバーグ):米証券大手、モルガン・スタンレーは 30日までに、複数のヘッジファンドに投資する同社のファンドが2007年7-9月(第3四半期)に、ヘッジファンド、アマランス・アドバイザーズへの投資により合計で4600万ドル(約53億2500万円)余りを失ったことを明らかにした。モルガン・スタンレーの3本のファンドは合計で、9800万ドルをアマランスに投資していた。
モルガン・スタンレーの今週の米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、損失が最大だったのはモルガン・スタンレー・インスティチューショナル・ファンド・オブ・ヘッジファンズ(運用資産26億ドル)で、同ファンドのアマランス投資9200万ドルの評価額は9月30日時点で、46%低下の5010 万ドルとなっていた。
アマランスはエネルギー取引の失敗で66億ドル余りの損失を出し、清算に向けた処理を進めている。モルガン・スタンレーは従来、アマランス投資による損失の「影響は大きくない」としていた。広報担当のアンドレア・スラタリー氏はコメントを控えた。
モルガン・スタンレーのファンド3本のうち、投資資産全体の価値が目減りしたのはモルガン・スタンレー・インスティチューショナル・ファンド・オブ・ヘッジファンズⅡのみだった。同ファンドが7月1日にアマランスに投資した200万ドルは3カ月以内に68%の価値を失った。
運用資産1億ドルのオルタナティブ・インベストメント・パートナーズ・アブソルート・リターン・ファンドはアマランスに430万ドルを投資し、9月末時点の評価額は66%低下の145万ドルとなっていた。
ゴールドマン・サックス・グループやクレディ・スイス・グループ、ドイツ銀行、スイスのユニオン・バンケ・プリベなども、アマランス投資による損失を報告している。
モルガン・スタンレーは10月に、アベニュー・キャピタル・グループとランズダウン・パートナーズの一部やフロントポイント・パートナーズを買収し、ヘッジファンド投資を増やした。
米ヘッジファンドのアマランス、天然ガス価格下落で巨額の運用損
[ニューヨーク 18日 ロイター] 米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズは18日、天然ガス価格が下落した影響で同社のファンドに巨額の損失がでていることを明らかにした。今年に入ってからの不安定なエネルギー相場変動で、運用につまづいたヘッジファンドが増えている。
90億ドルを超える運用資産を抱えるアマランスは。天然ガスのポジションを手じまうことにより、年初来で35%を超える損失に陥るおそれがある、としている。
同社は、ロイターが入手した投資家への手紙で「当社のマルチ戦略型ファンドは先週、天然ガス価格が急変動した影響でエネルギー関連投資で巨額の損失を出した」と明らかにした上で、投資家資本を守るために天然ガスのエクスポージャー(投融資残高)を「積極的に減らしている」と表明した。
エネルギー関連の先物相場は、米の原油・天然ガス在庫懸念の後退で過去1カ月間で大幅に下落。
米天然ガス先物は昨年、ハリケーン襲来による供給途絶を受けて大幅に上昇したが、今年8月以降、40%以上も下落している。
あるニューヨークのエネルギー先物ブローカーは、アマランスがハリケーンに絡んだ天然ガスの供給問題に着目した投資戦略をとっていたようだ、と指摘している。
(ロイター) - 9月19日9時35分更新
米ヘッジファンドのアマランス、天然ガス価格下落で巨額の運用損
2006年09月19日09時45分
[ニューヨーク 18日 ロイター] 米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズは18日、天然ガス価格が下落した影響で同社のファンドに巨額の損失がでていることを明らかにした。今年に入ってからの不安定なエネルギー相場変動で、運用につまづいたヘッジファンドが増えている。
90億ドルを超える運用資産を抱えるアマランスは。天然ガスのポジションを手じまうことにより、年初来で35%を超える損失に陥るおそれがある、としている。
同社は、ロイターが入手した投資家への手紙で「当社のマルチ戦略型ファンドは先週、天然ガス価格が急変動した影響でエネルギー関連投資で巨額の損失を出した」と明らかにした上で、投資家資本を守るために天然ガスのエクスポージャー(投融資残高)を「積極的に減らしている」と表明した。
エネルギー関連の先物相場は、米の原油・天然ガス在庫懸念の後退で過去1カ月間で大幅に下落。
米天然ガス先物は昨年、ハリケーン襲来による供給途絶を受けて大幅に上昇したが、今年8月以降、40%以上も下落している。
あるニューヨークのエネルギー先物ブローカーは、アマランスがハリケーンに絡んだ天然ガスの供給問題に着目した投資戦略をとっていたようだ、と指摘している。
英マン・グループ傘下のファンド、アマランスに多額の投資
ロンドン(ウォール・ストリート・ジャーナル)天然ガス取引で多額の損失を出した米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズに対し、英マン・グループ(EMG.LN)が大きなエクスポージャーを抱えていることが、証券当局への報告や関係者の話から明らかになった。マンは世界最大の”ファンド・オブ・ヘッジファンズ”運用会社。
事情に詳しい筋によると、マン傘下の米グレンウッド・キャピタル・インベストメンツが、数百万ドルをアマランスに投資していたという。グレンウッドはシカゴを本拠とするファンド・オブ・ヘッジファンズ。
ファンド・オブ・ヘッジファンズとは、複数のヘッジファンドに分散投資するファンド。
証券取引委員会(SEC)に8月に提出された書類によると、グレンウッドの傘下部門の1つであるマン・グレンウッド・レキシントン・アソシエーツ・ポートフォリオは6月末時点で1000万ドルをアマランスに投資していた。この書類によると、同ファンドの総資産は2億ドル強。
グレンウッドが投資の助言を提供している、上場ヘッジファンド運用会社のマン・オルタナティブ・インベストメンツ(MAIL.LN)は19日、アマランスへの投資により、年初からのリターンが25%近く押し下げられる可能性があるとの見通しを明らかにした。8月31日までのリターンは5.93%だったが、アマランスの損失により、このうちの1.44ポイント分を18日までに失ったと推計される。
事情に詳しい筋によると、これら2つのファンドによる投資は、グレンウッド全体によるアマランスへの投資の小さな部分にすぎないという。グレンウッドの運用資産は約50億ドル。マン・グループは540億ドルに上るヘッジファンド資産を運用している。
マンの広報担当者は個別のファンドのポジションについては通常、開示しないと述べた。グレンウッドの関係者からはコメントを得られなかった。
コネティカット州を本拠とするアマランスは18日、投資家にあてた書簡の中で、9月にエネルギー取引デスクが約1週間で50億ドルの損失を出したことを報告した。これにより、アマランスの運用資産は9月初めの90億ドルから45億ドルに急減した。
(NIKEEINET)
JPモルガンとシタデル、アマランスのエネルギー資産を買収
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米銀行大手JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)とヘッジファンドのシタデル・インベストメント・グループが、ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズのエネルギー投資資産を買収し、難しい市場へのリスクを拡大させた。このヘッジファンドは天然ガス取引で失敗し数十億ドルの損失を出している。
JPモルガンとシタデルがこの投資を引き取ったのは、アマランスの操業停止を防ぐためだ。今後は両社が利益と損失を分け合うことになる。
アマランスは、解約を求める投資家や追加担保を求めるブローカーからの要求に応えるため、このほかにも非エネルギー投資資産15億ドルの売却を進めてきた。これらの投資資産は転換証券、株式などだが、多くが融資や他の投資で使用されており、割引せずに処分するのは難しい。
アマランスはこの措置を、規制当局と話し合った後、投資家に対し昨日説明した。ただ、JPモルガンやシタデルなどの特定の名前はあげておらず、それ以上のコメントを差し控えた。損失を出した取引に責任を持っているブライアン・ハンター氏に電話をしたが、電話に出た同僚という人物は、ハンター氏は大変なときには「1日23時間働く」と答えたが、ハンター氏からの電話は返ってこなかった。
アマランスはエネルギー投資の処分について、この一週間いろいろな会社との接触を開始した。情報筋によるとそれらの会社は、シティグループ、ゴールドマン・サックス・グループなどだが合意には至らなかったという。続いて18日になるとアマランスは、年初来の損失が35%になったことを明らかにし、引き続き買い取り手を探すと発表した。
JPモルガンとシタデルは、アマランスに支払うより、むしろアマランスが取引をするために担保として差し出していた最大20億ドルの担保を受け取ることになるかもしれない。アマランスが担保、あるいは、証拠金を取り戻せるかどうかは分からないといわれる。アマランスの損失は合計でおよそ50億-60億ドルになるとみられる。
JPモルガンはアマランスの先物取引の決済を担当しており、アマランスが義務を果たせないときには、代行して義務を遂行していた。情報筋の話では、アマランスはJPモルガンの追い証の請求にはすべて応じてきたという。
問題の投資資産のリスクは依然として高い。評価額はさらに落ちるかもしれないからだ。アマランスの天然ガスの先物取引契約はさらに悪化した。JPモルガンは既にその一部を今週売却したという。
JPモルガンのエネルギー取引の責任者は、2005年にモルガン・スタンレーを退社したジョージ・テーラー氏(35)だ。JPモルガンのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、株式・債券トレーディング業務の利益を伸ばすために、この動きを支持した。
シタデルはシカゴに本社を置きケン・グリッフィン氏が経営する、運用資産およそ120億ドルのヘッジファンド。昨年のハリケーンでは、エネルギー取引で巨額損失を出した。しかし、2005年で終わりにした。今年は、同ファンドは12%上昇した。アマランスの経営幹部でこの取引をしているチャールズ・ウィンクラー氏は、元のシタデル経営幹部でグリッフィン氏とは親密だ。
アマランスがどれくらいの圧力を受けているかが伺えるものがある。ジュネーブにあるプライベート・バンクのユニオン・バンケール・プリベ(UBP)の昨日開催された会議だ。UBPはアマランスなどのヘッジファンドにおよそ290億ドルを投資しているが、投資家に対して、アマランスに保有している財産をなるべく早く清算したいと考えていると話した。さらにアマランスはファンドの全体を清算する可能性があるとの見方を示した。
UBPの幹部は、アマランスの昨年と今年のほとんどの部分の成績の80%はエネルギー投資でもたらされたものだと述べ、他の取引などはそれほどなかったことを示唆した。アマランスが4月におよそ12%増加したと報告したが、投資家に対する説明ではこのうちの2%がエネルギーによるものだったという。
たいがいのヘッジファンドと同様、資産売却を強いられることによって資産の評価額があっかすることを避けるため、解約に制限を設けている。ある投資家は、月当たりの解約額は最大8%とすることに合意したという。過去のヘッジファンドの破綻では、そのようなルールを強制することは困難だった。
(9月21日付Heard On The Streetより)(NIKKEINET)
再送:米ヘッジファンドのアマランスが強制破産回避、純資産価値65%低下=書簡 (ロイター)
本文を一部追加・補正し再送します。
[ニューヨーク 21日 ロイター] 米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズは20日午後、投資家向け書簡の中で、資産売却等により債権者による強制清算を回避したことを明らかにした。
最近の報告によると、資産は90億ドル超とされていたが、同社は純資産価値(NAV)について9月に約65%低下、1月からは55%低下したとしている。
ロイターが入手した書簡によると、アマランスは、資産売却等が「信用供与の終了およびそれに伴う債権者による強制清算リスクの回避につながった。引き続き追加担保の差し入れに応じており、主要取引先金融機関はポートフォリオおよび全体的な流動性ポジションに満足していることを確認した」としている。
アマランスは損失が出ている残りのエネルギー関連ポートフォリオを売却。買い手は明らかにしていないが、関係者によると「シタデル・インベストメントグループ」と「JPモルガンチェース」<JPM.N>とみられている。
アマランスからのコメントは得られていない。22日には投資家向け説明会が予定されている。
[ 2006年9月22日7時32分 ]
米ヘッジファンド、天然ガス相場急落で巨額損失
米国で天然ガス相場が急落し、米ヘッジファンド「アマランス・アドバイザーズ」の巨額損失が判明した。
米メディアによるとアマランスは9月に入り60億ドル(約7000億円)の損失を計上。米金融市場の混乱につながりかねないヘッジファンドの危機を受けて、登録や運用状況の開示義務付けなど、ファンド規制の強化を求める声が再燃している。
21日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、アマランスは昨夏、ハリケーン被害で天然ガス相場が高騰した際、巨額の利益を計上。若手トレーダーが中心となり、強気の取引を続けていたが、最近になって天然ガス相場が急落し、今回の巨額損失につながった。アマランスはエネルギー関連の運用資産を米金融大手JPモルガン・チェースや他のヘッジファンドに売却し、エネルギー取引から事実上撤退した模様だ。運用資産はピーク時の92億ドルから35億ドルに激減したとされる。
金融市場の混乱は表面化していないが、アマランスには米大手証券ゴールドマン・サックス、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループのほか事業会社の年金基金も投資していた。今年8月には別のヘッジファンド「マザーロック」も天然ガス相場の下落に伴う損失で解散した。原油相場も1バレル=60ドル台前半に急落した中で、エネルギー関連投資を増やしてきた他のファンドへの影響が懸念されている。
今回の巨額損失を契機に、ヘッジファンドに対する規制強化を求める声が高まっている。ヘッジファンドの運用資産は1990年以降で約30倍に急増した。
米国では98年にロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が巨額の損失を計上、金融システムへの影響が懸念されて以来、規制論議が繰り返されてきた。米証券取引委員会(SEC)は今年2月に一定規模のヘッジファンドの登録、定期検査などを柱とする規制を導入したが、この規制について6月に米連邦高裁が違法と判断し、撤回された。(ニューヨーク・北山文裕、ワシントン・矢田俊彦)
(2006年9月22日13時58分 読売新聞)
米ファンド7000億円損失 規制強化論が再燃
米国で天然ガス相場が急落し、米ヘッジファンド「アマランス・アドバイザーズ」の巨額損失が判明した。米メディアによるとアマランスは9月に入り60億ドル(約7000億円)の損失を計上した。米金融市場の混乱につながりかねないヘッジファンドの危機を受けて、登録や運用状況の開示義務付けなど、ファンド規制の強化を求める声が再燃している。(ニューヨーク・北山文裕、ワシントン・矢田俊彦)
米メディアによると、アマランスは昨夏、ハリケーン被害で天然ガス相場が高騰した際に、巨額の利益を計上した。若手トレーダーが中心となり、今年に入っても強気の取引を続けていたが、最近になって天然ガス相場が急落し、今回の巨額損失につながった。
アマランスはエネルギー関連の運用資産を米金融大手JPモルガン・チェースや他のヘッジファンドに売却し、エネルギー取引から事実上撤退した模様だ。これに伴い運用資産はピーク時の92億ドルから35億ドルに激減したとされる。
金融市場の混乱は表面化していないが、アマランスには米大手証券ゴールドマン・サックス、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループのほか事業会社の年金基金も投資していた。今年8月には別のヘッジファンド「マザーロック」も天然ガス相場の下落に伴う損失で解散した。原油相場も1バレル=60ドル台前半に急落した中で、エネルギー関連投資を増やしてきた他のファンドへの影響が懸念されている。
今回の巨額損失を契機に、ヘッジファンドに対する規制強化を求める声が高まっている。ヘッジファンドの運用資産は1990年以降で約30倍に急増し、年金基金などの投資も目立っている。
米国では98年にロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が巨額の損失を計上、金融システムへの影響が懸念されて以来、規制論議が繰り返されてきた。米証券取引委員会(SEC)は今年2月に一定規模のヘッジファンドの登録、定期検査などを柱とする規制を導入したが、この規制について6月に米連邦高裁が違法と判断し、撤回された。今後の議論では、ファンド規制の法制化も焦点になると見られる。
ヘッジファンド
投資家から集めた資金を株式や債券、通貨、原油など幅広い市場で運用し、最先端の数学・経済学理論や金融手法を駆使して損失の回避(ヘッジ)に努めながら高収益を狙うファンド。1990年代を中心に、ジョージ・ソロス氏が運営した「クォンタム・ファンド」などが世界の為替市場で大きな影響力を持った。
(2006年9月22日 読売新聞)
米アマランスは業務継続、ファンド清算は計画せず
2006年09月23日09時24分
[ニューヨーク 22日 ロイター] 米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズは22日、ファンドを清算する計画はないことを明らかにした。
アマランスを設立したニコラス・マオーニス氏は投資家向け説明会で、「われわれは業務継続を固く決意している。投資家の信頼回復に向け、あらゆる措置を取る準備が万端整っている」と語った。
同氏は、投資家から資金返還要求がかなり来ているとした上で、投資家にとっての最善策を評価するよう弁護士に依頼したことを明らかにした。
ヘッジファンドの米アマランス、シティグループと交渉打ち切り-関係者
9月29日(ブルームバーグ):天然ガス投資で60億ドルの損失を出したへッジファンド、米アマランス・アドバイザーズは、シティグループと進めていた資産売却に関する交渉を打ち切った。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によると、アマランスとシティは1週間以上にわたって話し合いを続けたが、合意に至らなかった。ただ、今後交渉を再開する可能性はあると言う。
アマランスは今週、一部または全体に買い手が見つからなければ、会社を清算する可能性があると投資家に伝えた。アマランスはエネルギー取引のポジションをヘッジファンドのシタデル・インベストメント・グループと銀行大手のJPモルガン・チェースに移管。さらに業務停止を免れるため、他の資産を処分した。
アマランスの創業者、ニコラス・マオウニス氏は22日の電話会議で、業務継続の意志を表明している。
アマランスの広報担当者、スティーブ・ブルース氏はコメントを避けた。シティグループの広報担当者、ジョン・ディアト氏もコメントしなかった。
金融専門局CNBCはこれより先に、アマランスとシティグループの交渉打ち切りを報じていた。
米アマランス、投資家への償還停止-損失拡大続く
9月29日(ブルームバーグ):天然ガス投資で損失を出したへッジファンド、米アマランス・アドバイザーズは29日、過去1週間に損失の拡大が続いており、残りの資産を売却するため、投資家への資金償還を停止することを明らかにした。
9月30日と10月31日に予定されていた投資家からの資金償還の要求は受理されない。同社は8月まで95億ドルの資産を運用していたが、現在の損失額は65億ドル(約7680億円)に達している。
アマランスの創業者、ニコラス・マオウニス氏が29日に投資家向けに書簡を送付したもので、「わが社のファンドに対し、多くの資金償還の要求があった。当社は残っている資産で最大限の売却代金を得て、投資家に定期的に資金を分配する方針だ」と述べた。
アマランスは資産売却に関して、シティグループと1週間以上にわたって話し合いを続けていたが、交渉は打ち切られた
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今のところ、1998 年の「ロング・ターム・キャピタル・マネジメント」(Long Term Capital Management)が破綻した時ほどの影響はないみたいですね。規模も違うので、こんなものかという感じのようです。落ち着きすぎているというみかたもあるみたいですが。さてさて余波はあるのかないのか。
2006.10.10追記
米ヘッジファンドのアマランス、投資ポジションをすべて解消へ
2006年10月02日09時04分
[ニューヨーク 29日 ロイター] エネルギー取引をめぐり巨額損失を計上した米ヘッジファンドのアマランスは、引受資産の払い戻しを一時停止した上で、残りの投資ポジションをすべて解消する方針となった。ロイターが29日入手したアマランスの書簡で明らかになった。
9月にはネットベースの運用資産が65─70%減少したとされる。
アマランスは、同書簡で、戦略的提携を引き続き模索する方針を示した。9月30日と10月31日の払い戻しを停止することについては、手元流動性を高めることができ、出資者の利益にかなう、としている。
アマランス、ポートフォリオの清算でフォートレスに支援求める
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)天然ガス先物取引で多額の損失を出した米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズが、非エネルギー投資資産を清算するため、有力ヘッジファンドのフォートレス・インベストメント・グループに支援を求めている。
清算の対象となるアマランスの多戦略型ポートフォリオの規模は不明だが、銀行融資、社債、住宅ローン証券など幅広い投資資産が含まれている。
アマランスのニック・マオウニス最高経営責任者(CEO)は、「フォートレスは投資業界では高く評価されている」と指摘、アマランスのチームに「戦略的な支援の可能性」と「独自の視点」を示してくれると述べた。
この数日前、アマランスは投資家にあてた書簡の中で、多戦略型ファンドの解約に応じることを一時的に中断すると伝えた。これにより、「秩序ある方法で投資家への流動性確保」に努めることができるとした。アマランスはすでに、問題のエネルギー投資資産をJPモルガン・チェースとシカゴを拠点とするヘッジファンド、シタデルに売却している。
アマランスの運用資産は今年のピーク時には95億ドルだったものの、変動の激しい天然ガス先物市場でのヘッジなしの取引で失敗し、その約60%を失った。投資家が原因をまだよく把握できていない中、マオウニスCEOは、エネルギーへのエクスポージャーの偏重はよく知られていたことだとした。
マオウニスCEOは、スタッフが流出しはじめると見込まれる時に、フォートレスに支援を求める、守りの行動を取ったといえる。
フォートレスは、多戦略型運用では最も有力なヘッジファンドのひとつで、運用資産は240億ドル。フォートレスのプリンシパル、ピーター・ブリガー氏は、投資家の価値を最大限に高めるため、適切な戦略アドバイスをアマランスに提供していく見込み、と述べている。
米ヘッジファンドのアマランス、約半数の従業員を削減
2006年10月07日09時24分
[ニューヨーク 6日 ロイター] 米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズは、経費削減に向け、約半数の従業員削減を実施していると発表した。
アマランスのチャーリー・ウィンクラー最高執行責任者(COO)は5日遅くに出した声明で、400人以上の全従業員のうち約200─250人の削減を開始する方針を明らかにした。
商品ブローカーが恐れる「次のアマランス」-踏みつぶされない用心必要
10月10日(ブルームバーグ):午前7時55分。ニューヨーク商品取引所(NYBOT)の取引開始を5分後に控え、アントニー・コンパニーノ氏とマイケル・ラガゾ氏は取引所でココア取引について作戦を練っている。イースト・コースト・オプションズ・サービシズの商品ブローカー、ラガゾ氏は「爆弾処理のように、ストレスの低い職業を選べばよかった」と話す。
5年の上昇を経て、商品相場は壁に突き当たっている。ココア価格が15%下落するなかで、ラガゾ氏と上司のコンパニーノ氏は2日間、ココアを売り続けていた。商品相場上昇の流れに乗っていたヘッジファンドが、一斉にココアを売ったのだ。
3日目の7月19日、2人はココア売りの最悪期は過ぎたと考えながら、電話を耳に当て取引所ピットに立った。取引開始のベルが鳴ると同時に、売りや買いの声が錯綜する。予想よりも価格水準が低いことを感じとったコンパニーノ氏は、急きょ戦略を変更し、売りに出た。
商品先物19品目で構成するロイター・ジェフリーズCRB指数は10月3日、295.13と2005年3月9日以来の水準に下落した。原油や金の下げが響き、同指数は今年5月に比べ約12%下落している。下落は2001年以来で初の相場反転を意味する。この5年間、商品相場は中国の需要とヘッジファンドの投資を背景に上昇を続けた。問題は、このところの下落がまだ何年か続く上昇相場のなかの一服なのか、商品暴落の始まりなのかだ。
モルガン・スタンレーの世界チーフエコノミスト、スティーブン・ローチ氏ら弱気派は、商品相場の暴落は既に始まっているとして、「大型上昇相場は終わった」との見方を示した。利上げなど中国の景気抑制策が需要を減退させるというのが同氏の予想だ。
一方、ジョージ・ソロス氏とともにクオンタム・ファンドを設立したジム・ロジャーズ氏ら強気派は、商品相場にはまだ勢いがあるとみる。前回の上昇は 1968-82年まで14年間続いたと同氏は指摘した。同氏は、最近の下落は短期的調整にすぎないとして、「商品相場がバブルだというのはばかげた考えだ」と述べた。
トレーダーは板ばさみに
こうした議論の板ばさみになっているのが、コンパニーノ氏らトレーダーだ。商品ブームはトレーダーらにとって恩恵だった。NYBOTの標準的ブローカーは年約20万ドル(約2380万円)を稼ぐ。コンパニーノ氏は「ここ数年間のような稼ぎができるとは思わなかった」と話す。
しかし、商品取引所のピットは危険な場所でもある。トレーダーらはヘッジファンドや投資銀行に押しつぶされないように用心が必要だ。
JPモルガン・チェースの世界通貨・商品・債券ストラテジスト、ジョン・ノーマンド氏によると、ヘッジファンドや銀行は約500億ドルを商品市場に注ぎ込んだ。へッジファンドは銅、天然ガス、ココアなどの相場を押し上げた。メリルリンチの投資責任者、リチャード・バーンスタイン氏は、こうした投機資金によって6、7月は多くの商品の価格が適正な水準よりも20-50%高くなったと指摘する。
ベテラントレーダーで商品ブローカー、サクデン(ロンドン)の共同創業者マイケル・オーバーランダー氏は「200枚を大きな取引だと思ったものだが、ヘッジファンドは2000枚の取引をする」と話す。ヘッジファンドは「強気のときは相場を押し上げ続けるが、ヘッジファンドが方向を変えると大きな動きにつながる」と同氏は述べた。
ヘッジファンドの中にも、最近の相場変動で痛手を被ったところがある。アマランス・グループは天然ガス取引で約65億ドルを失い清算に追い込まれた。ニューヨークに拠点を置くヘッジファンドのマザーロックも6、7月に、天然ガスで1億9000万ドルの損失を出し、8月には投資家に解散を伝えた。
次につまずくのは誰か
天然ガス市場でつまずいたのは恐らく、この2ファンドばかりではないだろう。エネルギー市場のニュースレターを編集するアナリストのスティーブン・ショーク氏は、「未決済建玉の規模を見ると、恐らく第2、第3のマザーロックがいるだろう」と話した。
変動の激しい商品市場で、トレーダーは大きな利益を上げることができる。しかし、それは予想が当たった場合だ。アマランスやマザーロックの損失は、予想が外れた場合に何が待っているかを示している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の金トレーダー、エド・シリアー氏は「大きな値動きのなかでは常に、大もうけをする者とつぶされる者がいる」と話す。商品相場がぐらつき始めた今、トレーダーらは、こぞって市場に参入した投機家らが一斉に出口を目指すなかで、踏みつぶされないことを祈るばかりだ。
2006.10.15 追記
2006/10/06(金)09:49
大手ファンド破綻からの教訓
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90億ドルの資産を抱える大手ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズが天然ガスのトレードによる損
失により、1週間の内に資産の65%を失ったという事件が大きなニュースとなっている。
今回の損失が発覚するまでは、アマランスはヘッジファンド業界で尊敬を集めるファンドの一つであっ
た。2002年1月の設立以来、年平均20%以上のリターンを上げており、大手の年金基金やファンド・オブ・
ファンズなども多額の投資を行なっていた。また、同ファンドはリスクマネジメントにも力を入れていたとさ
れており、少なくとも10人以上の人員がフルタイムでリスク管理業務に従事していたと言われている。
今回のケースでは、アマランスのリスクな大きなトレードへの過度の依存と、それを防ぐはずのチェック
機能が働いていなかった訳だが、投資家は未然に今回の破綻を予見する事は出来なかったのだろう
か。実は、下記の様なシグナルが出ていた事が分かっている。
1.スタイル・ドリフト
アマランスは、設立当初は転換社債裁定戦略を中心としたファンドであったが、ファンドの規模が大きく
なるにつれて、複数の戦略を走らせるマルチ・ストラテジー戦略へとファンドの姿を変化させて来た。今回
損失を出したエネルギー戦略の取引は2004年4月より開始されている。当初はわずか2%のアロケーショ
ンであったエネルギー戦略への配分は、2004年の年末までに14%に上昇、2005年末までにファンド全
体の35%まで増加していた。マルチ・ストラテジー戦略における、戦略配分の大胆な変更は必ずしも悪い
ことではないが、やはりもともと知見のない分野の戦略への急激な配分の増加に対しては、注意が必
要だったと言えるだろう。
2.主要トレーダーの離脱
アマランスでは、エネルギー戦略のヘッドが2006年の春先に辞任し、今回損失を出したトレーダーが後
をつぐ形となった。同トレーダーはアマランスの本拠地であるコネチカットではなく故郷のカルガリーに専
用オフィスを置くことを許されて、独自のチームでの運用を行なっていた。個人の能力への依存度の高い
ヘッジファンド投資において主要トレーダーの離脱というのは、最も注意を喚起しなければならない事項
の一つである。また、後を継いだトレーダーが、本部から遠く離れたカルガリーで、ファンド全体の3分の1
以上の配分に対するトレードを行っていたというのは、ファンドとしてのリスク管理が十分だったとは言え
ない状況であったと考えられる。
3.ボラティリティの上昇
アマランス・ファンドの2006年8月末までの年初来のリターンは、10%以上のプラスだった。しかしながら、
過去と比較して月次でのリターンのアップ・ダウンが激しくなって来ていた。これは全体のリターンがボラ
ティリティの高いエネルギー取引に過度に依存していた為と考えられる。通常、ヘッジファンドは年間の
目標リターンと、予想ボラティリティを設定している。予期していたボラティリティ以上のリターンの振れを
発見した場合、例えそれがプラス方向のリターンであっても、注意が必要だったと言えよう。
上記の問題の他に、アマランスの資産の巨大さそのものも、今回の損失に少なからず影響したと見られ
ている。何十億ドルにも上る資産に対し、毎年20%のリターンを上げる為には、裁定取引だけではなく、
大きくダイレクションを取るトレードに賭けざるを得なくなっていた可能性も考えられる。
今回のアマランスのケースは、投資家に取っては、著名な大手ファンドと言っても任せきりにせず、常に
ファンドの動向をモニターし、疑問点があれば解約を含めた迅速な処置を取る必要があることをあらため
て示唆した事件だったと言えるだろう。