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9/29 ブルームバーグ コラム

【米経済コラム】GMとゴーン氏が提携できない訳-D・レビン


9月28日(ブルームバーグ):米国の富豪ロス・ペロー氏はかつて、「助けを求めていない者を助けることはできない」と不満をぶちまけた。1984年、米ゼネラル・モーターズ(GM)の取締役として、トヨタ自動車やホンダなどの当時の新興メーカーに対する競争力を高めることをGMに促していた時だ。

  仏ルノー、日産自動車両社の最高経営責任者(CEO)を兼ねるカルロス・ゴーン氏は今、ペロー氏がGMの本質を見抜いていたことを認識している。昨年106億ドル(約1兆2500億円)の純損失を計上し、かつてない苦境に陥っているGMは今でも、ルノー・日産と提携してまで助けは必要ないとシグナルを送っている。

  ゴーン氏とGMのリック・ワゴナーCEOは恐らく10月15日までに提携の可能性についての話し合いを終えるだろう。そのときゴーン氏はGMと提携をしなかった幸運に感謝するに違いない。GMは自ら描いた再生計画が成功すると信じ切っている。

  中途半端でぎこちない形でのGMとの提携は、ゴーン氏がルノーと日産で懸命に築き上げた壊れやすい親和力を希薄にするだけだ。米国に加え欧州でも、ルノーと日産は、トヨタとの厳しい市場競争に直面している。

  ゴーン氏の指導力の下、ルノーと日産は、両社の独立性を尊重しつつ、互いを支えあう見事な提携関係をつくるのに7年間を費やした。両社は、エンジンと車体の設計を共通化し、互いの購買手法を学び、経費削減を徹底している。

提携の中心

  ルノーと日産の提携を支える中心は、同じ仕事や出費を両社で重複させないことだ。ルノーの専務取締役、加藤和正氏は、両社が生産するエンジンの種類を29から17に減らした。同氏は理想的な数が8種類で、4種類まで減らしてもいいと話す。

  両社が現在共有しているエンジンは3種類にすぎないが、日産からルノーに移籍した多くの幹部の1人である加藤氏によれば、両社の提携が始まった99 年以降で、数億ドル単位の経費削減につながっているという。

  加藤氏は99年、経営戦略の誤りから低迷していた日産でエンジン担当の幹部として働いていた。「日産の従業員は、何らかの支援がなければ、会社が倒産することを認識していた」と当時を振り返る。

  当時の日産の会長は米フォード・モーターとの提携を模索したが、フォードはこれを断った。その後、独ダイムラークライスラーが日産と提携することでいったんは合意したが、直前になりその合意を取り消した。日産にとってルノーは3番目の選択肢であり、沈みかけた船とともに歩む意思のある唯一の自動車メーカーだった。

  救済を必要としていた日産の経営陣は、ゴーン氏に協力する心構えができており、来日したゴーン氏は、情報の共有と、どちらのメーカーの設計や仕事のやり方であれ最良のものを採用することで効率を高めることを説き続けた。

  ゴーン氏は今、販売を伸ばし利益を増やすことの重要性を声高に述べている。規模の拡大と効率的な投資が、新興のアジアの自動車メーカーに対抗して生き残る唯一の可能性だという。

かつての方針

  GMのワゴナーCEOは、ゴーン氏とは対象的だ。GMは規模を縮小することで利益を上げることができるとしている。こうしたGMの方針は以前も耳にした。1990年代初め、破たんしかけたGMは、米市場向けに大型スポーツ型多目的車(SUV)とピックアップトラックに力を注いだ。モデルチェンジを増やし、巨額の資金をトラック生産に投じた戦略は、ガソリン価格が急騰し、消費者がより燃費の良い自動車を求めるようになるまではうまくいっていた。

  GM株9.9%を保有する資産家カーク・カーコリアン氏の同僚で、現在GM取締役に就いているジェリー・ヨーク氏は、現代版のロス・ペロー氏だ。ヨーク、カーコリアン両氏は、GMの株価を支えるためルノーと日産との提携をGMに提案した。だが、GMはルノー、日産のみならず、どのメーカーとも提携の必要はないと考えている。GM自らが支援を必要と思うまで、救済できる保証はない。(ドロン・レビン)

(ドロン・レビン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)