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9/27 ブルームバーグ コラム

【米経済コラム】経済に自己調整機能あるなら中銀は不要-C・ボーム
  

9月27日(ブルームバーグ):先週の米国債市場では、景気減速の気配が初めて本格的に感じられ、短期債・長期債ともに利回りは急低下した。インフレ懸念が後退した一方、リセッション(景気後退)への恐怖がじわりと高まり、 2007年1-3月(第1四半期)の利下げへの確信は深まった。

  この雰囲気をかもし出した主因は、米フィラデルフィア連銀の9月の製造業景況指数だ。同指数は3年余りで初めてマイナスに転じ、ほころびが出始めているのが住宅部門ばかりではないことを示した。

  債券利回りとともに原油相場も下落し、この強力な組み合わせがさまざまな需要を喚起して米経済に息を吹き返させるとの期待を生じさせた。つまり、経済には自己調整のメカニズムが埋め込まれているというわけだ。

  エコノミストや投資家が口々に、市場が中央銀行に代わって仕事をしてくれると話し、景気を動かす要因として当局者が長期金利に注目するということは、過去にもあった。しかしどういうわけか、本当に必要になると人々は金融当局に利下げを期待し、当局も長期金利への信仰を捨てて、自らの裁量下にある短期金利を引き下げる。

  これには過去に幾つもの例がある。

              3つの事例

  事例1:ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥り、ヘッジファンド、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が事実上破たんした後の1998年8月、10年物米国債の利回りは約150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し4.1%となった。にもかかわらず米金融当局は景気を刺激するため、2カ月足らずの間に3回の利下げでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75ポイント引き下げた。

  事例2:米金融当局は2003年初めに、デフレについて懸念し始めた。さらに、翌日物金利がゼロになった場合は長期債を購入すると言い始めた。トレーダーと投資家は待つ理由はないと考え、安心して長期の米国債を購入した。おかげで10年債と30年債の利回りは2カ月の間に約100bp下がり、03年6月半ばには過去最低の3.07%と4.1%となった。

  FF金利は既に、わずか1.25%となっていた。それでも当局は6月25日に最後の1回の利下げを実施して、誘導目標を1%とした。当局は景気回復に向けた最後のほんのわずかな一押しすら、長期金利に頼ろうとはしなかった。少しでも不安があれば、短期金利を引き下げるという鉄則に従った。

  事例3:1986年の最初の4カ月に、原油価格は1バレル当たり25ドルから 10ドルへと急落した。30年物米国債の利回りもこれに伴って250bp下がり、7%をわずかに上回る水準となった。

  米金融当局が原油下落と長期金利低下に仕事を任せたかというと、決してそんなことはなかった。当局は1986年1-6月(上期)に公定歩合を150bp引き下げ6%とした。この間に、4月に逆転していたイールドカーブは正常に戻り、景気は回復した。

             なぜ中銀があるのか

  多くの人が主張するように経済に自己調整機能があるならば、なぜ中央銀行というものが存在するのか、そしてなぜわれわれは明けても暮れても中銀の次の動きについて考えているのかという疑問がわいてくる。

  銀行が準備預金の要件を満たし、資金ニーズを満足させるために必要な資金をやり取りする際の銀行間金利を中央銀行が設定している限り、つまり中央銀行がマネーを生み出す機能を有する限り、長期金利が中銀の代わりを務めることはできない。

  長期金利は景気循環に沿って動く。つまり、景気のサイクルに従って、上昇したり低下したりする。425bpの利上げの後の長期金利低下は、与信への需要後退を反映しているのであって、将来の需要を促進する原動力ではない。

              外部委託は無理

  「紙幣を刷る(信用創造)」という中央銀行の主機能を市場が果たせるなら、中銀は業務の外部委託も考えることだろう。それができない限り、何かに中銀の代わりが務まるというのはばかげた考えだ。(キャロリン・ボーム)

(キャロリン・ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)