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福田氏が不出馬、安倍氏優位、自民総裁選-麻生、谷垣氏らの対応焦点
  7月22日(ブルームバーグ):福田康夫元官房長官(70)は21日、小泉純一郎首相の退陣に伴い実施される自民党総裁選(9月8日告示、20日投票)への出馬見送りを表明した。国内主要メディアがそろって報道した。福田氏の不出馬確定により、同じ森派に所属し、国内メディアの世論調査で「ポスト小泉」候補として最も高い支持を得ている安倍晋三官房長官(51)が総裁選で優位に立つ構図が鮮明になった。

  「ポスト小泉」を選ぶ自民党総裁選の候補には安倍、福田両氏のほか、旧河野派の麻生太郎外相(65)、谷垣派会長の谷垣禎一財務相(61)の計4人が有力視されており、国内メディアは氏名から1文字ずつをとって「麻垣康三」と総称している。

  7月後半までに国内メディアの世論調査で安倍氏への支持率は軒並み40%を超え、福田氏が20%前後で追随。麻生、谷垣2氏は1けた台にとどまっているため、安倍、福田2氏がしのぎを削る「安福対決」となる公算が大きいとの観測が広がっていた。またその場合には両氏が所属する最大派閥、森派が分裂の可能性もささやかれていた。

  7月20に昭和天皇がA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を示すとともに靖国神社参拝を中止したことが明るみになったことをから、総裁選では、小泉内閣が進めた歳出削減を柱とする財政再建や、そのための消費税率(現行5%)の引き上げ論などに対する候補者の対応もさることながら、日本の為政者の靖国神社参拝問題が最大の争点になる公算が大きい。

  総裁選は9月20日の投開票まで2カ月を切り、福田氏の不出馬表明を契機に、「ポスト小泉」をめぐる政局は本格化した。

          靖国が最大の争点となる公算も

  総裁選への対応をめぐり、同党内は若手を中心とする「親安倍勢力」とベテランを軸とする「非安倍勢力」の2つに大別される。「親安倍勢力」は戦没者追悼と不戦の誓いの観点から首相や閣僚、国会議員の靖国神社参拝を正当化する立場で、その主導的な役割を果たしているのが安倍氏だ。

  「非安倍勢力」は、中韓など近隣諸国との関係改善を重視する観点から指導者の靖国神社参拝に反対。靖国神社からのA級戦犯14人の分祀(ぶんし)や、国立戦没者追悼施設の建設に前向きな立場。福田氏は、かつて「YKK」として小泉首相と盟友関係にあった自民党の山崎拓前副総裁(69)が会長を務め、加藤紘一元幹事長も名を連ねる超党派議員連盟「国立追悼施設を考える会」のメンバーだ。

  山崎氏は6月14日、都内での講演で、総裁選への去就が注目された福田氏について、「わが国のトップリーダーたらんとする者は自ら決心を持つべきだ。(今の時代に)一国の宰相を目指す者が誰かにかつがれるようなことはない。『おれがやる』と手を挙げてしかるべきだ」と述べ、福田氏に出馬表明の決断を強く促していた。

     麻生氏は「適切判断」-「当面控える」と谷垣氏

靖国問題への対応では、福田氏は5月27日、名古屋市内での講演で、「誠に不幸なことだ。トップ同士も国民もお互いに感情的になってしまっているのは最低だ。だれかが冷静にしていなければ、大事な関係を今後、維持するのは難しくなる。中国と話すときには誠意を持って相手の立場を考えて議論することが大事だ」と首相の参拝に反対する姿勢を明確に打ち出した。

  また麻生氏は5月23日、カタール・ドーハで行った李肇星外相との会談で、自身の靖国神社参拝について「個人の信条と公的立場を踏まえて適切に判断する」と伝達。共同通信によると、谷垣氏は7月22日、都内で記者団に、靖国神社参拝について「以前から戦略的あいまいさが必要だと言ってきたが、当面は控える」と述べ、首相に就任した場合には参拝しない考えを表明した。

       「親安倍勢力」、「非安倍勢力」の動き焦点

  もし9月の総裁選で2人以上の立候補者が出ず、安倍氏の無投票当選というような事態になれば、政界の内外から「談合政治」などとかつて飛び交った揶揄(やゆ)があらためて噴出するのは確実だ。また同党の「人材不足」との声も高まりかねない。

  一方、安倍氏の後見人の立場にある森氏は2006年3月、「安倍さんはやる気があるだろうし、ぜひその方向を目指してほしいと思っているが、参院選で(自民党が敗北して安倍氏の)足を引っ張るようなことがあってはならない」と語り、07年夏の参院選で自民党が敗北してその時の首相(自民党総裁)が引責辞任せざるを得ない最悪のシナリオを想定し、総裁選出馬を断念させる「安倍温存論」を公言しており、今後の「親安倍勢力」の動きは見逃せない。

  他方、「非安倍勢力」は、安倍氏に対抗できる統一候補や複数候補の擁立など戦略の練り直しが急務となる。このほか参院選勝利に向けて「ポスト小泉」の高支持率や求心力維持を目指す同党執行部には、透明性を維持しつつ政策論争の場としての総裁選を実施するための努力が求められよう。

  第一生命経済研究所の飯塚尚己・主席エコノミストは「市場は福田氏の煮え切らない態度を見ると、出馬しないのではないかと思っていた。やはりという気はする」と述べ、福田氏の不出馬は想定内だと言明。ただ「(最終的に次期首相が)安倍氏になるかはまだ微妙だ。この先、いわゆる反小泉、反若手の動きがあると指摘されているので、これがどう新しい集約点を見出すかは分からない」と語り、「非安倍勢力」の動向の重要性を指摘する。

       首相「タイミングもある」-福田氏不出馬で

  小泉首相は福田氏の不出馬表明に先立つ7月21日夕、「人の見方はいろいろだから、(出馬を見送るかどうかは福田氏)ご本人に聞いてみてほしい」とかわした。ただ、そのうえで「タイミングというのもある」と語り、福田氏が出馬表明の時機を失ったとの認識をにじませた。福田氏が当初から出馬の意志がなかったとの見方には「分からない」と述べるにとどめた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

  首相は6月28日、カナダでの同行記者団との懇談で、福田氏の不出馬観測に関して「ご本人の自由だ。だれでも出たい人は出た方がいい」と語り、出馬には躊躇(ちゅうちょ)すべきではないとの考えを示していた。また7月15 日にはヨルダンで同行記者団に、「(安倍氏の)支持率が一番高いが、選挙の事前の有利、不利は途中経過、終盤にかけて変化する可能性がある。選挙はやってみないと分からない」と述べ、情勢は急速に変化し得るとの見通しを示していた。

      安倍氏の正式出馬表明が焦点-福田氏不出馬で

  安倍氏は5月24日の講演で、自民党総裁選への対応について、「官房長官の職責をしっかりと務めていくことによって、おのずと道が決まってくる」と出馬への意欲をあらためて示したうえで、「主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)が終わっていずれかの時点で、私の考えをお伝えしなければならない」と語り、7月15-17日のサミット終了後に出馬について最終決断、発表する意向を明らかにしている。福田氏の不出馬表明を受けて、安倍氏がいつ正式に出馬を表明するかが焦点となる。

  麻生氏は7月4日の講演で、総裁選について「国会議員20人の推薦が集まったら出させていただく。5年前も20人集まったので、今回も集まると思っている」と述べ、出馬への強い意欲をあらためて表明。 谷垣氏も5月15日に派閥の会合で、「宏池会(同派)は何代も首相を生んできた。改革を進め、日本を活力と信頼のある国にする。私も、私のグループもきちんとした責任を果たす覚悟を新たにしている」と述べ、出馬に前向きな姿勢を示した。両氏の対応も注目される。

        麻生、谷垣氏らの対応も注目

  このほか麻生氏と同じ旧河野の河野太郎法務副大臣(43)も6月12日、ブルームバーグ・テレビで出馬方針を表明。山崎派会長の山崎拓前副総裁も3月6日の講演であらためて出馬への意欲を示している。

  また森派会長の森喜朗前首相は「ポスト小泉」として同派離脱中の中川秀直政調会長(62)や無派閥の与謝野馨経済財政政策・金融担当相(67)、さらに森派の町村信孝前外相(61)も有力との認識を示している。山崎派離脱中の武部勤幹事長は6月18日、フジテレビの番組で、与謝野氏や二階グループの領袖である二階俊博経済産業相(67)が「ダークホースになるかもしれない」と語り、出馬の可能性に言及している。さらに武部氏は「麻垣康三」について、「最もふさわしい方々」と論評。山崎氏についても「キャリア、見識は抜群だ」と指摘する。