7/21 イートレード | 20年間で5000万作る資産運用方法を考える・・・>゜)))彡◆

7/21 イートレード

再送:〔アングル〕上場企業の金庫株が増加、保有方針の明確な説明求める声も
06/07/21 07:06


*この記事は20日に配信したものです。

 [東京 20日 ロイター] 上場企業による金庫株の保有金額が増えている。自社株買いの拡大を背景に、買い戻した株式をそのまま金庫株として持ち続けているためだ。グループ再編や合併・買収(M&A)に活用する動きも出始めたが、大半の企業は塩漬けにしたままだ。今後、外国人投資家など機関投資家から資本政策の一環として金庫株の活用方法を明示するよう求める声が強まるとの指摘がでている。

 野村証券金融経済研究所によると、2005年度の上場企業による金庫株の保有額は時価ベースで約13兆円となり、前年度比約47%の大幅増となった。金庫株を、グループ再編の株式交換に活用したり消却処分した企業は18%(金額ベース、前年度は19%)に留まり、82%(前年度は81%)は金庫株として保有し続け、塩漬けのままにしているのが現状だ。

 金庫株は、企業が自社株買いをした後、消却せずにそのまま保有している株式。03年に自社株買いの金額や時期を、株主総会ではなく取締役会の決議で実施できるようになったのを境に自社株買いが活発化。それにともない金庫株も増え続けている。

 自社株買いは本来、株主への利益還元策の一環として、企業が余剰資金を使って株式をマーケットから買い取り、株主資本利益率(ROE)を高める策として実施される。目先のROEの向上は株価には好材料だが、株主がさらなるメリットを享受できるかどうかは、保有した金庫株のその後の使い道次第だ。せっかくの株主資本をM&Aなどに有効利用できないのであれば消却し、売出しによる需給悪化や将来の希薄化リスクを減らす方がメリットは大きくなる。

 7月に過去最大の自社株買い(上限2.5億株、発行済み株数の3.67%)を発表した新日本製鉄 <5401.T> は、過去に自社株をグループ会社の再編に活用したこともある。しかし、今回の自社株買いについては「さまざまな活用法があるだろうが、機動的な資本政策を遂行するためということしかコメントできない」(広報)として、道筋を示していない。  NTTドコモ <9437.T> などは、一定水準以上の金庫株は消却する方針を表明している。

 実際、多くの企業が金庫株保有の理由に、将来のM&Aに備えた柔軟な資本政策の確保を掲げる。しかし、野村証券金融経済研究所の投資調査部・西山賢吾氏は「あまり(M&Aの)実例が出ていないため投資家からの信用が薄い」と指摘する。

 上場企業は株主還元や投資家の意見に敏感になってきてはいるが、西山氏は「外国人投資家の日本企業の資本政策に対する信頼は依然低い。今後はこうした機関投資家から金庫株の使い道に対する方針を具体的に示すべきとのプレッシャーが増えるだろう」と今後を予測する。

 <一部ではM&Aやグループ再編に活用の動き>  一方、グループ内再編やM&Aの際の株式交換で金庫株を使う企業もにわかに増えている。05年度、金庫株をM&Aに使った企業数は72社と前年比6社増加した。

 昨年10月のシチズン時計 <7762.T> によるグループ上場子会社の完全子会社化はその一例。最近では今年5月に、保険大手のミレアホールディングス <8766.T> が日新火災海上保険(東京都千代田区)の完全子会社化で金庫株を活用した。

 事業再編やM&Aで金庫株を使えば、企業にとっては新株発行の事務を省略できるほか、配当負担の増加や株式価値の希薄化を招かずに再編を進められるメリットがある。金庫株と株式交換制度の活用で、不振のグループ会社を少数株主のいない完全子会社にして、事業再構築のスピードを高めることも可能になる。