7/6 ブルームバーグ
【米経済コラム】利上げ休止、そのとき何が起こるのか-C・カリアー
7月5日(ブルームバーグ):2年にわたった米連邦準備制度による利上げは休止間近と見受けられる。
当局は一切公約はしておらず、金融政策は今後発表される情報に基づくとの考えを示している。同様に、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1%から5.25%まで引き上げた後、当局がこの時点で休止に踏み切り、数カ月後になお利上げが必要と判断する可能性もある。
だが詳細を見ると、金融当局が十分な地点に到達するときは近づいてきている。これは金融当局が安定成長と低インフレとの間でのかじ取りを目指す過程で、常に見られるやり方だ。前もって正確に予言することはいかに困難だとしても、今回もまたそれが見られるだろう。
推測不可能なことを推測しないで済むことは、長期投資家にとっての利点だ。長期的見地に立つことで、より遠い先のことに注目することができる。利上げが最近の株式・商品相場下落の元凶と考えるなら、両市場は利上げ休止を好感するだろう。しかし、新たな疑問が浮上することで、そうしたお祭り騒ぎは短命に終わりかねない。金融当局の利上げ休止は早過ぎなかったか、あるいは行き過ぎではなかったか。賢明に行動し、リセッション(景気後退)に陥ることなくインフレを抑制することができたか、といった疑問だ。
歓喜なし
前回、金融当局が利下げサイクルの始まりを発表した際、株式市場はそれを好感して上昇することはなかった。FF金利の誘導目標が6.5%から6%に引き下げられた2001年1月3日にさかのぼってみよう。当時は転換点だった。FF金利の誘導目標はそれに先立つ1年半の間に5%から引き上げられ、その後2年半にわたりさらに12回引き下げられ、1%となった。
01年の最初の週、株式相場は弱気相場の底からほぼ2年が経過していた。ブルームバーグ端末によると、最初の利下げから半年間で、S&P500種は 7.8%、ナスダック総合指数は18%、それぞれ下落した。
これは過去6回の利上げ局面から利下げ局面への転換点でのパターンを逸脱する動きだ。私の大まかな計算では、1984年からの過去7回の利上げから利下げ局面への転換後、S&Pは平均10%余り、ナスダックは13%強上昇している。
問題なのは、最高の上昇は歴史的上昇相場のなかで見られたことだ。投資家は金融当局のインフレ抑制策に敬意を表し、株式相場は82年の半ばから20 世紀末まで大きく上昇した。2000年代初めまでには、市場の関心はデフレに移行した。利上げが米国および世界経済を減速させれば、その新しい恐怖の種はもっと市場に付きまとうことになろう。
政策金利の転換点が、債券市場での長期債利回りの低下を伴うかどうかについても確信が持てない。金融当局は過去2年間で425ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを行ったが、10年物国債の利回りは50-60bpの上昇にとどまっている。利上げ休止後に特に有望なのは大型株か中小型株か、成長株か割安株かについて断言するのは、特に慎重さが必要だ。
矛盾
確かに最近の例を見ると、利下げへの転換後半年については、ナスダック指数が、大型株中心のS&P500種指数を上回る傾向にあるのは事実だ。だが、毎回というわけではない。1989年と95年の転換点後についてS&P指数は2回続けて、ナスダック指数を上回った。市場がある程度戻りを見せるときには、小型の成長株に対する投資意欲が回復し、相場を後押ししているようだ。また、大型の優良株への物色については慎重という特色があるようだ。
こうした留意点をすべて踏まえても、なお米国の金融政策見通しに強気になることは可能だ。第一に、あまりに多くの人がこの問題について否定的な意見を述べていることで、楽観的な見方は逆張りに聞こえるが、市場はしばしば逆張り投資家に軍配を上げるものだ。
金融当局は悪性のインフレを相手にしているのではなく、物価は緩やかに上昇しているにすぎない。厳しいリセッションに直面しているわけでもなく、成長率がやや減速しているだけだ。金融当局が今回の転換点を上手に乗り切るための余地は十分にある。(チェット・カリアー)
(チェット・カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:What Comes Next Once the Fed Stops Raising Rates?: Chet Currier (抜粋) {NXTW NSN J1WWJW0D9L35 <GO>}
更新日時 : 2006/07/06 14:20 JST
米国株時間外:予想下回る売上高でスターバックス下落、PMCも安い
7月6日(ブルームバーグ):米株式市場時間外取引では、コーヒー店チェーン最大手のスターバックスが安い。6月の既存店売上高が一部のアナリスト予想を下回ったのが嫌気された。
スターバックスの株価は、ニューヨーク時間午後5時30分現在、1.13ドル(3%)安の36.75ドル。同社によると、6月の既存店売上高は6%増。UBSのアナリスト、デービッド・パルマー氏は8%増と予想していた。
通信機器用半導体メーカーのPMCシエラは24セント(2.7%)安の8.80 ドル。同社はアラン・クロック最高経営責任者(CEO)が個人的理由で辞任したと発表した。同社はまた、4-6月期の売上高は、5月に買収したパッセーブを含めたベースで約1億1900万ドルになったことを当局への届け出で明らかにした。
指数先物は小動き。S&P500種株価指数先物(9月限)は0.20ポイント高の1283。ナスダック100種先物(同)は0.25ポイント下落し1564.75。ナスダック100種時間外指数は0.77ポイント安の1550.78。
原題:Starbucks Drops on Sales, PMC-Sierra Slips: U.S. After-Hours(抜粋) {NXTW NSN J204HL0D9L35<GO>}
米国株:上昇、利上げ休止観測で買い-アルトリアが上場来高値(3)
7月5日(ブルームバーグ):米国株式相場は上昇。米供給管理協会(ISM)が朝方発表した6月の非製造業景況指数が低下したことを受けて、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを休止する可能性があるとの観測が再び強まった。たばこ大手フィリップ・モリスを傘下に持つアルトリア・グループが上場来の高値を付け、ダウ工業株30種平均の上げを主導した。
フロリダ州最高裁の1450億ドル(約16兆6996億円)にのぼる懲罰的損害賠償請求の却下を受けて、アルトリア・グループが急伸した。
ただ、7日には6月の雇用統計の発表を控えており、また、来週には第2四半期の企業決算発表が始まることから、相場の上値は限られた。さらに、米経済が鈍化する場合でも一段の利上げが必要となる可能性があるとするコーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長のコメントにも、株式相場は打撃を受けた。
ボストン・アドバイザーズで23億ドルの資産運用を監督するマイケル・ボーゲルザン社長兼投資責任者は、「市場はFOMCの利上げ休止を切に願っている」とし、投資家は「FOMCが行き過ぎた利上げを実施し、企業の利益拡大や米経済成長を鈍化させることを懸念している」と指摘した。
ダウ工業株30種平均終値は前日比73.48ドル(0.7%)上昇し、11225.30 ドル。S&P500種株価指数は同3.17ポイント(0.3%)高の1274.08。ナスダック総合指数は同1.75ポイント(0.1%)上げて2155.09。
ISM非製造業景況指数
ISMが午前10時に発表した6月の非製造業景況指数は57.0と、前月の 60.1から低下した。住宅市場の鈍化などが響いたとみられる。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は59.0だった。同景況指数で50は景気の拡大と縮小の境目を示す。
アルトリア・グループは前日比6%高。フロリダ最高裁は、2000年7月のたばこメーカーに対する1450億ドルの懲罰的賠償金の支払いを命じる陪審団評決を却下。これにより、アルトリアによる食品加工大手のクラフト・フーズ部門のスピンオフの道が開ける可能性がある。クラフト株は下げた。
アルトリア・グループはこの損害賠償の支払いを命じる判決となった場合には、経営破たんに陥る可能性があるとしていた。米たばこ2位レイノルズ・アメリカンも上昇。同業のロウズやベクター・グループも上げた。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は約3対2。出来高概算は14億株と3カ月平均を18%下回った。
投資家は米経済の過熱で、FOMCが利上げ局面を継続することになりかねないと懸念しており、7日発表の米雇用統計に注目している。
雇用統計
ブルームバーグがまとめた調査の予想中央値によると、6月の米非農業部門雇用者数は17万人増と、5月の増加分の2倍超となることが見込まれている。
インターネット競売最大手のeベイは、前日比5.3%安。傘下のインターネット決済サービス「ペイパル」のジェフ・ジョーダン社長が年内に辞任すると発表した。一部のアナリストは、eベイが利益拡大を見込むこうした部門での人事変更に懐疑的見方を示した。
アルミニウムメーカー最大手のアルコアは上昇。同社は第2四半期決算発表を10日に控えており、これはダウ平均構成銘柄中で最初の発表となる。
小売り最大手のウォルマート・ストアーズは前日比1.2%高。同社の6月の既存店売上高は前年同月比1.2%増と、過去約1年間で最も低い伸びにとどまった。
小売米2位のターゲットも上昇。同社は6月の既存店売上高が4.8%増になったと発表した。
ダイレクトメール広告会社のアドボは大幅高。割引クーポンや折り込み広告の印刷大手、バラシス・コミュニケーションズは6日、アドボを約11億 2000万ドル(1株当たり37ドル)で買収することで同意したと発表した。これはアドボ株価の5日終値を53%上回る水準。また、バラシスは下げた。
米石炭最大手ピーボディ・エナジーも高い。同社は5日、同業でオーストラリアのエクセル・コールを買収すると発表した。買収額は18億3000万豪ドル。
原題:U.S. Stocks Rise as Interest-Rate Concern Eases; Altria Jumps (抜粋) {NXTW NSN J202PS1A1I4H <GO>}
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
ニューヨーク 鮫島 道子 Michiko Sameshima
msameshima@bloomberg.net
Editor:Yamahiro
記事に関する記者への問い合わせ先:
Nick Baker in New York at nbaker7@bloomberg.net
更新日時 : 2006/07/07 07:35 JST
欧州株:上昇、利上げでも経済成長続くとの観測-HSBC高い
7月6日(ブルームバーグ):欧州株式相場は上昇。欧州で利上げが実施されても、経済成長は持続するとの観測が買いにつながった。HSBCホールディングスとBNPパリバが銀行株の上げを主導した。ドイツ・ポストバンクも高い。
ノルトインベスト(ハンブルク、運用額は10億ドル)のファンドマネジャー、ボリス・ベーム氏は、「政策金利動向をめぐる恐れは何もない。健全な経済成長が示されているためだ」とし、「これまでの懸念は誇張されており、企業利益の成長は順調となろう」との見方を示した。
ダウ欧州株価指数は前日比0.9%高の321.94。ダウ欧州50種株価指数は1.1%高。ユーロ圏の50銘柄で構成するダウ・ユーロ50種株価指数は 1.2%上げた。
ロンドン市場で銅価格が上昇したことを受け、鉱山会社のBHPビリトンとアントファガスタが買われた。経営管理ソフトメーカー大手SAPは、メリルリンチによる株価見通しの上方修正を手掛かりに上げた。
欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁はこの日、定例政策委員会後の記者会見でインフレに対して「強い警戒」が必要だと発言し、来月早々の利上げを示唆したものの、株価は上昇した。ECBとイングランド銀行は同日それぞれ、政策金利を据え置く決定を行っている。
ドイチャー・インベストメント・トラスト(フランクフルト、運用額は 570億ドル)のエコノミスト、ハンス・ヨルグ・ナウマー氏は、「市場では企業利益に対する注目度が増している。傾向は安定的だ」とし、「ECBの決定で何か変化することはないだろう」と述べた。
企業利益成長
英調査会社ファクトセット・リサーチ・システムズがまとめたアナリスト調査によると、ダウ欧州株価指数を構成する企業の1株利益は今年平均で 13%増加する見通し。6月の同調査では同10%の増加が見込まれていた。
ドイツ取引所は上昇。ドイツ取引所のレト・フランシオニ会長は、4日付の社員向け文書で、欧州最大の取引所運営会社、ユーロネクストに対し「経済面で妥当な」買収額を示すとともに、買収合意内容に妥協する用意があるとの考えを示した。
製薬大手シュワルツ・ファーマは高い。同社が買収標的になるとの観測が浮上した。一方で、シュワルツの買い手になると見られたメルクKGaAは下落した。これら観測について、シュワルツとメルク両社の広報担当からのコメントはともに得られていない。
英小売大手ウールワース・グループは上昇。モルガン・スタンレーはウールワースの投資判断カバーを始め、「オーバーウェイト」を付与した。
英独仏の株式指標
英国のFT100指数は前日比63.3ポイント(1.1%)上げ5890.0。FTオール・シェア指数は同28.85ポイント(1%)高い2993.58。
ドイツのDAX指数は同69.84ポイント(1.2%)上げて5695.47。HDAX指数は同35.25ポイント(1.2%)高の2932.71。
フランスのCAC40指数は同45.15ポイント(0.9%)高の4966.45 で終了した。
原題:European Stocks Gain on Growth Outlook; HSBC, BHP Pace Climb(抜粋) {NXTW NSN J1ZP0Y07NBB5 <GO>}
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
ロンドン 吉崎美帆 Miho Yoshizaki
myoshizaki@bloomberg.net
Editor: Yamahiro
記事に関する記者への問い合わせ先:
Chris Fournier in Frankfurt at Cfournier3@bloomberg.net
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更新日時 : 2006/07/07 02:35 JST
訂正:GM取締役会、ワゴナーCEOにゴーン氏との協議を指示か
7月6日(ブルームバーグ):米ゼネラル・モーターズ(GM)の取締役会は7日に、リック・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)に対し、同社大株主のカーク・カーコリアン氏が提案しているルノー・日産自グループとの提携案について協議を開始するよう指示する公算が大きい。同案件に詳しいGM関係者が匿名を条件に伝えた。
同関係者らによると、GMの役員らは日産自とルノーとの提携の利益および、ルノーと日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)の手腕について懐疑的。
JPモルガンのアナリスト、フィリップ・ホウチョイス氏(ロンドン在勤)は、「カーコリアン氏のやり方で賢明なのは、ゴーン氏の関心を公表することで、ワゴナー氏に回答を迫っていることだ」とし、「ワゴナー氏はゴーン氏の発言内容を事前に知らされていないため、必ずしも悪いことだとは言えず、ゴーン氏と会談せざるを得ない状況だ」と指摘した。ホウチョイス氏はGMの株式投資判断を「中立」としている。
原題:GM Board Likely to Tell Wagoner to Discuss Alliance, People Say (抜粋) {NXTW NSN J1ZL4207NBB5 <GO>}