[ロイター個人投資家6月調査] 6/26 イートレード
[東京 26日 ロイター] ロイター個人投資家6月調査によると、日本株式に対す
る個人投資家の投資スタンスの強さを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から
「弱気」の割合を引いたもの)はプラス4で、前月のプラス24から大幅に低下した。低
下は2カ月連続で、DIのプラス4は今年1月の調査開始、最も低い水準。村上ファンド・
ショックで、含み損も含めて株式の損失を出したとの回答は66%に上った。
この調査は、ロイターが今年1月から毎月発表しているもので、今回の実施期間は6月
12─15日、回答数は全国1106人。個人投資家向けメールマガジン「マルテックス」
の会員15万人とロイターのHP読者が対象となった。
<日本株の強気スタンスが後退>
今回の調査で日本株に「強気」と回答したのは全体の52%で、「弱気」は48%だっ
た。
企業業績や景気は上向きであるにもかかわらず、アンケート期間の14日に日経平均は
年初来安値(ザラ場ベース)となる1万4045円53銭をつけるなど、以前と比べて軟
調な地合いとなっている。
日本株を弱気とみる理由について「損失を抱えた投資家の増加」(50代男性)、「村
上ファンドに続く事件が発覚するのでは」(30代女性)といった不透明感が指摘されて
いた。
村上ファンド・ショックによる株式投資への影響については、全体の57%(629人)
が「損失を出し、いまだ含み損を抱える」と答え、9%(99人)が「損失を出し、そ
れを確定」したと回答した。
この他に弱気な理由として、原油高や米国経済の先行き不安感、世界同時株安、外国人
投資家の日本離れへの懸念、不安定な新興株式市場の動向が挙げられたほか、世界的な金
融引き締めの影響などから「過剰流動性相場が終えんした」(30代男性)との声や、9
月の自民党総裁選に向けて「小泉後の相場を模索中」(40代男性)との意見があった。
強気な理由としては「一部の事件で底割れするほど、実体経済は悪くない」(40代男
性)、「設備投資、企業利益、雇用統計などプラス要因のほうが多い」(70代以上男性)
というように、良好なファンダメンタルズを挙げる声が多かった。
<当局の監督厳格化による株価への中長期的影響、見方分かれる>
中央青山監査法人やアイフルへの行政処分、村上ファンド事件にみられるように、金融
庁など当局による監督姿勢が厳格になっているとの声が、金融市場で強まっている。この
動きが中長期的な株価にどのような影響を与えるかを聞いたところ、回答者の意見は分か
れた。
全体の35%(390人)が中長期的な株価に「影響なし」と答え、34%(381人)
が「株価の上昇圧力になる」と回答、「株価の下落圧力になる」と答えたのは全体の30%
(335人)だった。
中長期的に影響なしと答えた向きからは「自由競争がほどよく引き締められた」(30
代女性)、「市場に不似合いな規制強化・介入と考えるとマイナス要因。規律強化による
透明化促進と考えればプラス要因。差引き中立と考える」(40代男性)といったコメン
トが寄せられた。
株価の上昇圧力とみる向きからは「市場が健全化するための処分なので、一時的に値下
がりしても、中長期的には上昇が見込める」(40代男性)、「うみは早いうちに出して
おけばいい。景気には影響はない」(30代男性)との声があった。エンロン事件など米
国の不祥事以降の米国株価の上昇になぞらえ、相場のアク抜けにつながると期待する向き
もあった。
株価の下落圧力になるとした回答者からは「規制の強化は流動性の阻害、時代の逆行に
なる」(50代男性)、「最近参加した個人投資家の意欲を大きく削いでしまった」(7
0代以上男性)といった厳しい指摘が出ていた。
<割安株や債券への投資意欲が高まる>
業種ごとの投資姿勢(「強気」から「弱気」を引いたDI)は、薬品・健康のみが前月
比で改善し、その他の業種では軒並み悪化し過去最低を更新した。素材、自動車、IT・
ハイテク、金融・保険では、これまでの強気姿勢が一段と後退、サービスは「弱気」超に
転じ、卸小売と建設・不動産では一段と弱気になっている。
「現在、投資したい/投資資金を増やしたい株」(複数回答可)は、割安株が65%で
最も多く、成長株が48%、国際優良株が38%。割安株は前月比で8ポイント上昇する
など人気が高まる一方で、IPOや新規上場株は低下した。
「現在、投資しようとしている/投資金額を増やそうとしている金融商品」(複数回答
可)では、国債や外国債券、国内社債、公社債投信、外為証拠金取引の人気が高まった。
一方で、国内株式、外国株式、株式投信などの株関連が低下したほか、預貯金が前月比で
6ポイント低下した。
「株式投信」への投資を考えている個人投資家の国・地域選好(複数回答可)をみると、
ユーロ圏が8ポイント上昇、グローバル株式投信も人気が高まった。ブラジル、ロシア、
インドなど一部の新興国向けは低下。その他では、ベトナムや南アフリカを選好する声が
あった。
「株式投信」への投資を考えている個人投資家の投信の選好(複数回答可)については、
外国籍投信が33%、国内投信インデックス型が31%、国内投信アクティブ型が27%。
調査を実施した「マルテックス」は、ロイターの個人向け金融専門サイト。会員は、年
収500─799万円が32%と最も多く、1千万円以上が26%。金融資産残高(除く
不動産)は500万円未満が44%と最も多く、3000万円以上は12%。
マルテックス・インベスターには以下のURLからアクセスできます。
調査の詳細は以下の通り。(全回答数:1106人)
1-A.村上ファンド・ショックで、あなたの株式投資の運用成績はどのような影響を受
けましたか。(%)
損失を出し、それを確定 9
損失を出し、いまだ含み損を抱える 57
損失も利益もでなかった 32
利益を得た 2
1-B. 中央青山監査法人やアイフルへの行政処分、村上ファンド事件にみられるように、
金融庁など当局の対応が最近厳しくなっている、との声が聞かれます。こうした流れは、
中長期的な株価にどのような影響を与えそうでしょうか。(%)
株価の上昇圧力になる 34
影響なし 35
株価の下落圧力になる 30
2-A.現在の日本株全般をどうみていますか。強気/弱気のどちらかでお答えください。
強気 弱気 DI(強気─弱気)(%ポイント)
6月 52 48 4
5月 62 38 24
4月 88 12 76
3月 84 16 68
2月 65 35 30
1月 94 6 88
2-B.現在の日本株をセクター別にどうみていますか。強気/弱気のどちらかでお答え
ください。
DI(強気─弱気)(%ポイント)
素材 自動車 IT・ 薬品・ サービス 卸小売 金融・ 建設・
ハイテク 健康 保険 不動産
────────────────────────────
6月 20 34 6 38 -6 -30 8 -24
5月 32 44 16 30 12 -12 26 -4
4月 40 76 62 22 16 18 58 16
3月 52 74 34 18 24 4 56 20
2月 42 80 12 18 2 -8 40 -10
1月 58 64 56 30 32 14 44 22
3.現在、投資したい/投資資金を増やしたい株は何かおしえてください(複数回答可)
(構成比:%)
成長株 国際優良銘柄 割安株 小型株 景気敏感株 IPO 新規上場株 その他
────────────────────────────────────────
6月 48 38 65 24 8 18 7 6
5月 47 38 57 21 9 23 10 3
4月 58 37 58 29 13 26 13 4
3月 57 38 59 28 13 23 10 3
2月 62 37 60 27 9 27 14 3
1月 66 25 63 32 11 29 19 2
4-A. 現在、投資しようとしている、あるいは投資金額を増やそうとしている金融商品
をおしえてください(複数回答可) (構成比:%)
預貯金 国内株式 外国株式 国債 国内社債 外国債券 株式投信 公社債投信
────────────────────────────────────────
6月 17 72 11 10 3 10 27 3
5月 23 78 12 6 1 7 29 1
4月 10 86 16 5 1 9 33 2
3月 12 77 16 5 1 9 29 2
2月 14 84 19 4 2 15 30 3
1月 12 89 13 4 2 10 28 2
上場投信 REIT 不動産 商品相場 外貨預金 変額保険 変額年金 外為証拠 その他
投資商品 保険 金取引
────────────────────────────────────────
6月 4 8 4 7 11 1 1 11 4
5月 3 6 3 7 12 0 2 9 3
4月 3 7 3 7 9 0 1 8 2
3月 3 9 5 8 10 1 1 10 3
2月 4 9 3 7 13 1 4 9 2
1月 2 7 3 7 11 1 1 10 1
4-B. (A.の質問で、7の株式投信と回答した方のみお答えください)
どの国・地域に投資を考えていますか。(複数回答可)(構成比:%)
日本 北米 アジア・ ユーロ圏 ユーロ圏以外 ブラジル ロシア インド 中国 グローバル その他
オセアニア の欧州
────────────────────────────────────────
6月 54 11 22 15 7 14 19 36 23 19 3
5月 51 10 23 7 8 25 21 43 20 11 3
4月 55 9 24 11 10 21 24 57 26 12 4
3月 57 12 24 11 10 19 20 53 25 19 1
2月 51 12 24 15 9 23 25 53 28 14 3
1月 61 11 22 8 6 15 19 50 21 11 1
4-C.(A.の質問で、7の株式投信と回答した方のみお答えください)
どのような種類の投信に投資を考えていますか。(複数回答可)(構成比:%)
国内投信 国内投信 国内投信 定期分配型 リスク軽減型 オルタナティフ 外国籍その他
インデックス型 アクティブ型 バランス型 投信 投信 投信 投信
────────────────────────────────────────
6月 31 27 21 17 11 19 33 1
5月 28 26 22 14 7 20 31 1
4月 23 35 21 20 8 16 35 3
3月 29 32 23 20 11 22 32 2
2月 23 29 23 19 8 23 36 2
1月 27 34 20 18 9 20 30 1