6/23 ブルームバーグⅡ
NY外為(23日):ドル、対ユーロで8週ぶり高値-利上げ継続観測(2)
6月23日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場ではドルが上昇。ユーロに対して8週間ぶり高値に上昇した。連邦準備制度が今年、少なくとも2度の利上げを実施するとの観測がドルを押し上げた。
新興市場債の下落で、ドル需要が高まった。ドルは英ポンドやカナダ・ドル、南アフリカ・ランド、スイス・フランに対しても値上がりした。
ジョン・ハンコック・ストラテジック・インカム・ファンド(ボストン)で 21億ドルの資産運用に携わるダニエル・ジャニス氏は、「ドルには質への逃避がみられる。連邦準備制度は予想されているよりも、積極的になる可能性がある」と話した。
ニューヨーク時間午後3時58分現在、ドルはユーロに対して、1ユーロ= 1.2510ドルと、前日遅くの1.2580ドルから上昇し、4月27日以来の高値を付けた。1ユーロ=約1.2530ドルを抜けてドル高が進行したところで、ドルの上げが加速した。ユーロは過去1週間のうち3営業日で、同水準付近まで下げた後、値を戻していた。ドルは今週1%値上がりした。
ドルは円に対して、1ドル=116円58銭。週間では1.2%上昇した。一時は 116円60銭と、4月21日以来の高値となった。
来週のFOMCに注目
連邦準備制度は2004年以降、16度にわたって利上げを実施。現在フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を5.25%で設定している。金利先物によると、市場関係者は6月28、29両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施されることを確実視している。同先物は、8月8日の会合での追加利上げの確率を88%織り込んだ水準。1週間前には67%だった。
マン・グローバル・リサーチの上席通貨アナリスト、マイケル・マルピード氏は、「相場は主に金利に左右されている。市場では利上げ幅で0.5ポイントの可能性も指摘されている」と話した。
新興市場債は急落。ドル建てのJPモルガン・エマージング市場債券指数(EMBI+)は、昨年11月以来の低水準に落ち込んだ。南アフリカのランドは33カ月ぶり安値に下落した。
INGグループの通貨調査責任者、クリス・ターナー氏は、「市場参加者は明らかに米利上げに飛びついている。連邦準備制度はさらなる利上げを示唆する可能性がある」と話した。
利上げ幅、0.5ポイントの予想も
市場参加者は、6月と8月のFOMCでそれぞれ0.25ポイントの利上げが実施されると予想している。また、一部では、6月FOMCでの利上げ幅は0.5 ポイントになるとの観測も出ている。
10年物米国債利回りは約5.22%と、2002年5月以来の最高に接近している。同年の日本国債との利回り格差は3.35%ポイントと、過去2年間で最大になっている。
バンク・オブ・モントリオール(ニューヨーク)の外国為替部門のバイスプレジデント、トーマス・ベンファー氏は、「米国と日欧の金利差は拡大するだろう。0.50ポイントの利上げ観測がドルを押し上げている」と話した。
ユーロは欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、アクセル・ウェーバー独連銀総裁の発言を受けて、下げ渋った。同総裁はマンハイムで講演し、「われわれのシナリオ通りの経済成長とインフレ動向が確認されるなら、金融上の刺激を引き続き減らすことが適切だ」と指摘した。
メドレーリポート
また、円は調査会社、メドレー・グローバル・アドバイザーズのリポートが下支え材料。メドレーはリポートで、日本の金融市場が安定し、景気が力強さを維持することを条件に、日本銀行は第3四半期(7-9月)、おそらく7月にも利上げを実施する公算が大きいとの見通しを示した。
また、中国人民銀行貨幣政策委員会の余永定委員は23日、中国は過剰流動性と投資の伸びを抑制するため、人民元の上昇加速を容認する可能性があるとの見解を表明、このことも円を支援した。
原題:Dollar at 8-Week High Versus Euro as Fed May Lift Rates Twice (抜粋) {NXTW NSN J1BWXS0YHQ0X <GO>}
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: ニューヨーク 高井夕起子 Yukiko Takai ytakai@bloomberg.net Editor:Nishimae(ymh) 記事に関する記者への問い合わせ先: Michael McDonald in New York at mmcdonald10@bloomberg.net; Min Zeng in New York at mzeng2@bloomberg.net.
米国債(23日):8営業日連続安、84年以来最長-利上げ加速を懸念(2)
6月23日(ブルームバーグ):米国債相場は8日続落。この20年以上で最長の下落局面となっている。債券利回りは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月と8月にフェデラルファンド(FF)金利を引き上げると予想される水準に、接近している。
10年債利回りは8営業日連続上昇となり、1984年5月以来の最長となった。10年債利回りは5.22%と、過去4年間で最高水準に達した。6月FOMCで最大50ベーシスポイントの利上げが実施されるとの観測が高まってきていることが背景にある。
米RBSグリニッチ・キャピタルの金利ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は、取引には「明らかに、FOMCの見通しにもっとうまく合うように市場の調整が進んでいる感がある」と述べた。
キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し5.22%。10年債価格(表面利率5.125%、2016年5月償還)は約1/8下げて、99 7/32。
10年債相場がこれまで最後に8営業続落したのは、ボルカー元連邦準備制度理事会(FRB)議長の時代までさかのぼる。当時の10年債利回りは13%で、FF金利誘導目標は10.5%だった。
2年債利回りは前日比2bp上昇の5.25%。これは2000年12月以来の高水準に近い。
米商務省が午前8時30分に発表した5月の製造業耐久財受注額は、変動の大きい航空機受注の落ち込みを背景に、前月比0.3%減少した。前月比での減少は2カ月連続。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は0.4%増だった。4月は同4.7%減と、第1次改定値の4.4%減から下方修正された。
50bpの利上げ見通しも強まる
金利先物相場は、6月FOMCでの5.25%への利上げが既に確実視されていることを示しており、50ベーシスポイントの利上げ見通しも強まっている。
シカゴ商品取引所(CBT)で取引されるFF金利先物7月限の利回りは 5.28%となっており、50bpの利上げ確率を12%と示唆している。さらに、8月FOMCで5.5%に利上げされる確率は約88%を示している。
ステート・ストリート(ボストン)のチーフストラテジスト、ビル・ストラッツーロ氏は、「ますます多くの市場参加者が、バーナンキFRB議長は世界に対し、自分はタフで軟弱者ではないと示したがっていると考えているということだ」と述べた。
一段の引き締め
CIBCワールド・マーケッツの米国債市場ストラテジスト、アラン・デローズ氏(ニューヨーク在勤)は、「統計を見ると米経済は引き続きまずまず堅調のようだ。われわれは一段の引き締めを織り込みつつある」と語った。
同氏は、10年債利回りが8月8日のFOMCまでには5.4%に上昇する可能性があるとの見方を示した。
テクニカル指標を用いるトレーダーが、相場の反転を予想していることから、債券相場の下落は限られた可能性がある。
利回り曲線
2年債利回りは10年債利回りを約3bp上回った。短期債券の利回りが長期債利回りを上回る利回りの逆転は12営業日連続。
RBSの為替ストラテジスト、クレイグ・チャン氏は、「利回り曲線は当面、逆転が持続する見通しだ。曲線のスティープ化に向けたポジションを作りたいと思っている投資家は、FOMC後まで待つ必要があるかもしれない」と述べた。
米財務省は22日に、来週、220億ドル相当の2年債と140億ドル相当の5年債を発行すると発表したが、新発2年債利回りは入札前の取引で5.25%となり、2000年11月以来最高の利回りで発行されるとの見通しを示唆している。
原題:Treasuries Post Worst Slump Since 1984 on Fed Rate Concern (抜粋) {NXTW NSN J1BX9B076GHT <GO>}
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: ニューヨーク 鮫島 道子 Michiko Sameshima msameshima@bloomberg.net Editor:Nishimae(ymh) 記事に関する記者への問い合わせ先: Daniel Kruger in New York at druger1@bloomberg.net; Shamim Adam in Singapore at sadam2@bloomberg.net