LLP ? | “事業と暮らしの法務サポーター” @行政書士ryu

“事業と暮らしの法務サポーター” @行政書士ryu

アパレル業界出身の脱サラ異色? 行政書士高村龍介が、埼玉のほぼ真ん中桶川市から不定期に発信している公式?! ブログです。

相続・離婚・許認可申請などの行政書士業務や、行政書士の私生活の1コマなどを、思いついたときに思いつくままに深く浅くご紹介していきます。



先日、有限責任事業組合に関してのお問合せをいただきました。

有限責任事業組合とは、欧米ではポピュラーな組織形態であるLLPの日本版です。


と言ってもほとんど知名度はないですよね。


有限責任事業組合は、2005年に経済産業省主導で、民法組合の特例として創設されました。


導入の趣旨は、あくまでも営利追求を目的とする共同事業を、法人と法人、個人と法人、産学連携など、新たな枠組みの中で、志しを同じくするジョイントベンチャーを創設するというものですので、個人または法人が二者以上で1円づつの出資をすれば設立可能です。


有限責任事業組合の特徴は、その名のとおり有限責任 ・ 経営の柔軟性 ・ 構成員課税(パススルー課税)の3つが挙げられます。


営利企業の代表である株式会社と比較すると、有限責任については、出資社(組合員)は、株式会社の株主同様に出資した分のみリスクを負えばよく、持分会社の無限責任社員のような全て背負い込むリスクはありません。


経営の柔軟性とは、株式会社のような代表取締役、取締役会、監査役、会計参与、執行役などが絡み合う複雑な機関設計は必要なく、出資者が経営者(組合員)であり業務執行者であるという面と、株式会社とは異なり、議決権や利益の分配率も出資額に拘束されず、自由に決められるというものです。


有限責任事業組合の目玉と言える構成員課税(パススルー課税)については、やはり株式会社等の法人には無い制度で、組合事業の損益は組合自体には課税されず、損益の分配を受けた組合員に、他事業との損益通算のうえ課税されます。法人税と個人の所得税への二重課税を回避できます。


ところで、組合と名の付く組織は他にもあります。


有限責任事業組合には法人格がありませんが、事業共同組合や企業組合のように、法人格を備えた組合もあります。


法人格という言葉がでましたが、かんたんに言うと法人名で契約ができたり、登記ができたり、許認可がもらえたりするもので、株式会社などの会社(合名、合資、合同)や社団・財団などは、当然法人格があります。


通常、法人は登記をすることによって、世間に、いつ設立して、本店はどこで、どれくらいの規模で、何をして、だれが役員かなど、法人の概要を公表(公示)することになってます。


これは、財務内容の公開(公告)と併せ、法人の素性をオープンにして、取引の安全を図る一助とするものです。


有限責任事業組合は、法人格はありませんが、登記は必要です。

この点は、法人ではありませんが、一般の個人企業(事業主)とは一線を画す部分でしょう。

と、ここまで有限責任事業組合の説明をさせていただきましたが、せっかく苦労して制度構築した割には、法人格が無いことが敬遠されているのか、2009年末での全国の登記件数がやっと4000件を超えたという状況ですので、現在でもそれほど増加していないのは明白です。


ところが、冒頭の今回のお問合せは、詳細をお伺いしたところ、大手企業のアライアンスにより、新たな事業創出をお考えとのこと。


ひょっとすると何年か後には、多くの国民の利便性の向上につながるような事業になっているかも知れません。


ご相談をいただいた件が、大手企業の出資参加+有限責任事業組合+社会貢献事業という新たなスキームの成功事例となる可能性に、わくわくしてきました。


“事業と暮らしの法務サポーター ”
行政書士 高村 龍介
 
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