こんにちは、“事業と暮らしの法務サポーター” 行政書士の高村龍介です。
わたしも、地元の市役所の市民相談員として毎月の相談会に参加したり、最寄駅等で行政書士会が主催する街頭相談会に参加しています。
こういった無料相談会の相談内容のうち、いつも大半を占めるのが、相続に関係するご相談です。
なぜいつも無料相談会では相続のご相談がダントツに多いのか?
「自分もいつかは相続人になるのはわかっているけれど、身内であっても自分以外の人の死に関わる相続について、起こる前から準備するのは難しい。」 とういう気持ちをお持ちではないでしょうか?
なので、突然に相続が発生したときから 「よーいどん」 となり、急いで調べてみたが、異なる答えがいくつも出てきたり、回りから聞いたりして、結局 「とりあえずどうすればいいか無料相談会で専門家に聞いてみよう」 となるのです。
でも、無料相談会で相続のご相談が多いからといって、相続人の方々が皆、専門家に相談しているわけではないようです。
国税庁によると、2010年にお亡くなりになり、相続税の課税対象とされた方の遺産の内訳は、「土地」が48.4%で依然トップですが、10年前と比べると14ポイント減少しているとのことです。
それとは対照的に「現金・預金」の割合は23.2%(前年比0.9ポイント増)を占め、過去20年間で最高だったそうです。
ただ、発生した相続の相続額の平均は3172万円で、相続全体のうち、相続税を納める必要のある割合は4.2%で、95%以上の相続では、相続税はかかってないことになります。
また、さらに興味深い記事がとして、フィデリティ退職・投資教育研究所というところが、5500人の相続人に実施したアンケート結果では、ほとんどの相続人が専門家に相談していないとのことです。
そのアンケートでは、全体の39.3%が「誰にも相談していない」と回答しています。
では、「誰かに相談した」 と回答した人は誰に相談しているのかというと、51.4%が「家族・親族(兄弟姉妹、父母、配偶者の順)」といった身内で、「法律や金融の専門家」に相談したという人は12.7%のみだそうです。(以上、日経新聞より)
要するに、現状、相続の95%以上は相続税がかからないので(もちろんその場合は税務署への申告も、特定の控除を受ける場合以外は不要)、身内で遺産分割して終了となっているのです。
勿論、遺産分割協議を身内で行い、不動産や金融資産等の分割手続も全て専門家の手を借りずに行うことも可能です。
ただ、相続に関する法律や制度は結構難しい。
私が参加した相談会でご相談を受けたケースでは、法定相続や遺留分の規定、相続税及び贈与税関係の諸制度などについて正確に理解されていないことが多々あります。
例えば、ご自分で金融機関の払戻し手続を終了した後に、不動産や自動車の名義変更についてご相談を受け、ご自分で取得された被相続人様の出生から死亡までの戸籍・除籍を拝見すると、完全につながっていなかったりします。(金融機関はなぜかこのつながっていない戸籍で払い戻しをしていますが)
このつながっていない部分の戸籍等に、もし別の相続人が記載されていたとしたら、せっかく時間をかけてまとめた遺産分割協議や手続をやり直すことになるかもしれません。
また、不動産について、代償分割などの選択肢があったのに、とりあえず相続人全員の共有名義にした場合など、次の相続が発生するとなかなか協議がまとまらなくなってしまいます。
昨年から国会では、相続税の基礎控除額を現行の6割に減らすよう、審議しています。(国も財源の確保に必死です)
可決されれば、現在相続人3名の場合、8000万円の基礎控除がありますが、一気に4800万円に引き下げられることになるので、相続税を払わなければならないケースがグンと増えるわけです。
専門家は、“ 転ばぬ先の杖 ”。できれば相続が起こる前から、もし起こってしまったらなるべく早く、専門家の無料相談等を活用してみてはいかがでしょう。
私たちも 「聞いてみて良かった。」 と言ってもらえるよう頑張ります!
“事業と暮らしの法務サポーター ”
行政書士 高村 龍介
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