上を見上げれば、雲の隙間から
青い空と、白く光る塔。
それから、機械と魔導で動く乗り物が、縦横無尽に動いている。

刻々と刻まれる夢と現1

僕らは、それと対比するように、
重い空気が漂う中、地面を歩いている。

でも今日はいい方だ。
なぜなら、昨日。この区域の一斉浄化があったから。
今日の空気は少し軽い。

僕のばーさんも、今日は咳が出ないから、友達と買い物に行けるって言ってたしね。

母さんも、今日はお布団が干せるって喜んでたし、
父さんも、今日はゆっくり仕事に行けるって言ってた。
こういう日に父さんの仕事を手伝いたかったんだけど、
父さんも母さんも、こういう日こそ、学校に行きなさいって言うんだ。
僕、宿題やってないから、ちょっと嫌なんだけどな。

刻々と刻まれる夢と現2

学校は、街から離れた森の奥にある。
森の中に魔法使いが住んでいるんだ。
そこは結界が張ってあるから、咳が出る霧が来てもそんなに入ってこない。
ええと、森の自浄作用?と、魔法使いの結界の両方で、きれいにしているんだよって、言ってた確か。

人が、空へ空へ迫り出して行ってから、森に住んでいた魔法使いたちは、地上に住んでいる人たちと仲良くなった。

塔に住んでいる人たちが当たり前にしている暮らし。は、僕にはわからないんだけど、
空飛ぶ船とか。速く走る車とか、
手に入らないものを、魔法使いたちは凄く手に入れやすくしてくれたんだって。

なんか、それが原因で、はくがい?が起こったんだけど、たくさんの街の人たちが凄く怒って、大丈夫になったって、いってたかな・・・ああ、もう!忘れちゃったよ!また先生に立たされちゃうよ!

刻々と刻まれる夢と現3

僕は早くこれを作りたいんだよね。
この間、父さんの仕事場に遊びに行ったらさ、すっごい石を見つけたんだ。
あの塔の外側みたいにきらきら光っている石なんだ。

先生に見せたら、
魔力がいっぱい入っているから、僕が魔法の勉強をするか、じーさんの仕事を教えてもらうかしたら、素敵なものができるよって言っていたんだ。

刻々と刻まれる夢と現4

僕のじーさんは、時計技師をしているんだよね。
なんで、時計技師と魔法の勉強が同じなのか、よくわかんないんだけど、
まほーじんの組み立て方が似ているんだよ
しか言ってることわかんなかったな。

教えてもらいたいんだけど、
じーさんは遠くに住んでて、ほとんど帰ってこないから、教えてもらいようがないんだよね。
でも、その話をしたら、父さんが、じーさんの部屋を開けてくれて、
汚さなかったら本を読んでもいいって言うから読んでみたんだけど・・・全然わっかんないんだよね。
そしたら母さんが、じゃあしっかり学校に行きなさいって言うんだよ
ちぇっ。結局そうなるんじゃないか

刻々と刻まれる夢と現5

ま、学校には行くけどさ。
僕はこれを作っているんだ。

ほら、じーさんの本と魔法の本は似ているって言ってたじゃない?
だから、教科書の絵と似たような本を見つけて、
そんな感じに歯車を合わせてみたんだ。

何回も失敗したんだけど、
でもこれだけは動いてる。

先生に見せたらすっごいびっくりしてたよ。

こういうのを、機械魔導具って言うんだって言ってた。

刻々と刻まれる夢と現6

これは核になる形なんだって。

この外に、またいろんな形を組み合わせて、
組み合わせが合っていたら、こういう風に、何にもしなくても、石の力で動くんだって!

刻々と刻まれる夢と現7

すっごいなぁ!
何作ろうかな。

先生が、なんでも作れるんだよって言ってたから、きっとなんでも作れるんだよね。

お布団が干した日みたいにふわふわになる道具とか?
父さんの職場から役に立つ石を見つけられる道具とか?

でもやっぱり、僕は空が飛びたいな。

あのキラキラ光っている塔の隙間をびゅんびゅんって飛ぶんだ!

それで、いつかあの塔のてっぺんを見てみたいな
だって、てっぺんが見えないんだもん。あの塔はさ

刻々と刻まれる夢と現8

先生や母さんに言ったら

じゃあきちんと勉強しないとね

って
笑うんだよ。

結局そうなっちゃうんじゃないか

あーあ。
今日も宿題やらないといけないなぁ。


機械魔導具・刻々と刻まれる夢と現