キラリと光るそれは、投げナイフであった。
![光魚短刀1](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/fa/41/j/o0400030015379613298.jpg?caw=800)
といっても、暗殺用に作られたようなものではない。
どちらかというと、見せ物て使う、出し物の道具。
でも、ナイフには違いない。
持ち主は手入れの合間に、よくリンゴをむいた。
手入れはよく行き届いている。
持ち主は、練習の時も
このナイフを使った。
使った後は、必ず手入れをした。
本番の時も、練習の時も。
![光魚短刀2](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/2b/e5/j/o0400030015379613302.jpg?caw=800)
道具には、いつしか心が宿って、
持ち主と一緒に仕事をするのが好きになった。
沢山の刃物の中、
誰かを傷付ける事をしない仕事が好きだった。
自分が、頭の上のリンゴに当たる度、
人々が喜ぶのが嬉しかった。
その日はちょっと違った。
持ち主はちょっと体調が悪かった。
だからちょっとだけ狙いがはずれてしまった。
僕は。。。
僕は。。。ナイフであることを辞めた。
![光魚短刀3](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/96/7a/j/o0400030015379613310.jpg?caw=800)
空気を切り進んで近づいていく、いつもと違う軌道に
僕は精一杯あらがった。
上に向かって飛び上がった。
キラリ
刃が魚の鱗のように輝き
僕はサーカスの空中ブランコよりも高く飛び上がっていた。
そして見えなくなった。
満員のお客さんは、見たことのないパフォーマンスだと思ったようで、拍手喝采だった。
誰も怪我はなかったけれど
彼は僕を失った。
でも。
僕は居るよ。
だってこの人が大好きなんだもん。
部屋の隅で、キラリキラリ
鱗が輝いている。
光魚短刀
![光魚短刀1](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/fa/41/j/o0400030015379613298.jpg?caw=800)
といっても、暗殺用に作られたようなものではない。
どちらかというと、見せ物て使う、出し物の道具。
でも、ナイフには違いない。
持ち主は手入れの合間に、よくリンゴをむいた。
手入れはよく行き届いている。
持ち主は、練習の時も
このナイフを使った。
使った後は、必ず手入れをした。
本番の時も、練習の時も。
![光魚短刀2](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/2b/e5/j/o0400030015379613302.jpg?caw=800)
道具には、いつしか心が宿って、
持ち主と一緒に仕事をするのが好きになった。
沢山の刃物の中、
誰かを傷付ける事をしない仕事が好きだった。
自分が、頭の上のリンゴに当たる度、
人々が喜ぶのが嬉しかった。
その日はちょっと違った。
持ち主はちょっと体調が悪かった。
だからちょっとだけ狙いがはずれてしまった。
僕は。。。
僕は。。。ナイフであることを辞めた。
![光魚短刀3](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/96/7a/j/o0400030015379613310.jpg?caw=800)
空気を切り進んで近づいていく、いつもと違う軌道に
僕は精一杯あらがった。
上に向かって飛び上がった。
キラリ
刃が魚の鱗のように輝き
僕はサーカスの空中ブランコよりも高く飛び上がっていた。
そして見えなくなった。
満員のお客さんは、見たことのないパフォーマンスだと思ったようで、拍手喝采だった。
誰も怪我はなかったけれど
彼は僕を失った。
でも。
僕は居るよ。
だってこの人が大好きなんだもん。
部屋の隅で、キラリキラリ
鱗が輝いている。
光魚短刀