紫の日傘を差し、
紫のドレスを着て、
出逢ったその人は驚いたようにこちらを見た。
![紫の貴婦人1](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/c0/41/j/o0400030015379613232.jpg?caw=800)
「まあ!人なんて久しぶりだわ!」
日傘から覗いた瞳も
結い上げた髪も紫色
「ようこそ。私の庭へ」
ドレスの端をついと摘んで、貴婦人は軽く会釈をした。
![紫の貴婦人2](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/82/1f/j/o0400030015379613239.jpg?caw=800)
「さあ、中へ。お茶はいかが?
甘い物はお好きかしら?
ああ、今日は久しぶりのお茶会だわ」
ほとんど、押し込めるように家の中へ入れられ、
椅子に座らされる。
椅子に座って、大急ぎで出してきた水を飲み干して。
ふうっ。
と息を吐いて人心地する
貴婦人は小さな鞄を置いて、慣れない手つきでお茶を作っていた。
![紫の貴婦人3](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/fe/d4/j/o0400030015379613249.jpg?caw=800)
「確か、頂き物のクッキーがあったの。
あ、そうだ、パウンドケーキも焼いたのよ。
私が焼いたから、味の方は自信か無いのだけれども」
独り言をいいながら、
どれから手を付けて良いのやら。
ああ、二人居ればいいのに。
という風に落ち着かない。
それを見ながら、ぼそりと呟いた。
「貴女は、いつまでここにいるおつもりですか?」
途端。
貴婦人のウキウキは止まってしまった
「あら…やっぱり、知っていたんですねぇー・・・」
![紫の貴婦人4](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/04/47/j/o0400030015379613259.jpg?caw=800)
「みんな、探しておいでですよ。貴女を」
お茶を入れるのを止めてしまった貴婦人に代わって
彼は椅子から立ち上がり、温めてあるカップ二つにお茶を注ぎ込む
ふてくされた子供のように立ち尽くしている貴婦人の前に、
彼は入れたお茶を置いて、
どうぞ。
と勧めた。
「もう、帰らないといけないかしら…」
「貴女がこんなところで、一人で。
慣れないことをするのもいいですが、その姿で一人で居るのでしたら、すぐバレますよ」
しょんぼりとする貴婦人に、
彼は溜息をつく。
「…ま、軍は貴女が居なくても、全然普通に動いていますから、もうしばらくはこのままでもいいんじゃないですか」
え?
連れ戻されるだろうと思っていたので、予想外の言葉に顔を上げた。
彼はニッコリ笑って
「多分、お茶の入れ方も、パウンドケーキも、僕の方が上手ですよ」
「えっと。。。それって、もう軍に戻らなくてもいいってこと?」
紫の瞳がまん丸になっている。
「正確には、まだ、戻らなくてもいい。ですね。
状況が緩やかですから、しばらく自分も、ゆっくりさせてもらいますよ。
さしあたっては、一人でお住まいの貴婦人の執事…のようなものを、やってみようかと思うのですが
ご婦人、何処かよい就職先はありませんかね」
![紫の貴婦人5](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/15/56/j/o0400030015379613265.jpg?caw=800)
紫の帽子に
紫のドレスを着て
今日も
紫の椅子に座ってお茶を飲む。
彼女の正体は実はバレバレ
でも、
彼女がとても穏やかだったので、
周囲も
ここに居ることを咎めなかった。
誰も
紫の貴婦人
紫のドレスを着て、
出逢ったその人は驚いたようにこちらを見た。
![紫の貴婦人1](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/c0/41/j/o0400030015379613232.jpg?caw=800)
「まあ!人なんて久しぶりだわ!」
日傘から覗いた瞳も
結い上げた髪も紫色
「ようこそ。私の庭へ」
ドレスの端をついと摘んで、貴婦人は軽く会釈をした。
![紫の貴婦人2](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/82/1f/j/o0400030015379613239.jpg?caw=800)
「さあ、中へ。お茶はいかが?
甘い物はお好きかしら?
ああ、今日は久しぶりのお茶会だわ」
ほとんど、押し込めるように家の中へ入れられ、
椅子に座らされる。
椅子に座って、大急ぎで出してきた水を飲み干して。
ふうっ。
と息を吐いて人心地する
貴婦人は小さな鞄を置いて、慣れない手つきでお茶を作っていた。
![紫の貴婦人3](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/fe/d4/j/o0400030015379613249.jpg?caw=800)
「確か、頂き物のクッキーがあったの。
あ、そうだ、パウンドケーキも焼いたのよ。
私が焼いたから、味の方は自信か無いのだけれども」
独り言をいいながら、
どれから手を付けて良いのやら。
ああ、二人居ればいいのに。
という風に落ち着かない。
それを見ながら、ぼそりと呟いた。
「貴女は、いつまでここにいるおつもりですか?」
途端。
貴婦人のウキウキは止まってしまった
「あら…やっぱり、知っていたんですねぇー・・・」
![紫の貴婦人4](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/04/47/j/o0400030015379613259.jpg?caw=800)
「みんな、探しておいでですよ。貴女を」
お茶を入れるのを止めてしまった貴婦人に代わって
彼は椅子から立ち上がり、温めてあるカップ二つにお茶を注ぎ込む
ふてくされた子供のように立ち尽くしている貴婦人の前に、
彼は入れたお茶を置いて、
どうぞ。
と勧めた。
「もう、帰らないといけないかしら…」
「貴女がこんなところで、一人で。
慣れないことをするのもいいですが、その姿で一人で居るのでしたら、すぐバレますよ」
しょんぼりとする貴婦人に、
彼は溜息をつく。
「…ま、軍は貴女が居なくても、全然普通に動いていますから、もうしばらくはこのままでもいいんじゃないですか」
え?
連れ戻されるだろうと思っていたので、予想外の言葉に顔を上げた。
彼はニッコリ笑って
「多分、お茶の入れ方も、パウンドケーキも、僕の方が上手ですよ」
「えっと。。。それって、もう軍に戻らなくてもいいってこと?」
紫の瞳がまん丸になっている。
「正確には、まだ、戻らなくてもいい。ですね。
状況が緩やかですから、しばらく自分も、ゆっくりさせてもらいますよ。
さしあたっては、一人でお住まいの貴婦人の執事…のようなものを、やってみようかと思うのですが
ご婦人、何処かよい就職先はありませんかね」
![紫の貴婦人5](https://stat.ameba.jp/user_images/20231221/13/r-tiaracrown/15/56/j/o0400030015379613265.jpg?caw=800)
紫の帽子に
紫のドレスを着て
今日も
紫の椅子に座ってお茶を飲む。
彼女の正体は実はバレバレ
でも、
彼女がとても穏やかだったので、
周囲も
ここに居ることを咎めなかった。
誰も
紫の貴婦人