「ハ会」 第2回終わりました。 | R-STORE BLOG

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昨日、日本の将来の住宅のあり方を考えるシンポジウム「ハ会」が終わりました。

テーマは「新築バンザイ!?」で、これからの新築住宅はどうあるべきだろう?と。各々が激論を交わしました。(その様子はこちら⇒ http://www.hakai.jp ライブラリーからUstreamで動画をご覧いただけます)

私もパネラーの一人として、議論に参加させていただきました。

日本の空家率が上昇傾向にあり、2040年には空家率が40%に達する試算があることは、前回書きましたが、それを回避するために、どういった方策があるのか?答えは簡単です。

「新築ではなく、既にあるストックの住宅を有効に活用する」

中古住宅が流通すれば、おのずと新築は必要なくなりますよね。この状況へどう導くか。

大きく分けて2つの意見がありました。

1.新築の総量を規制する。 つまり現在100万戸/年つくられているものを50万にする。といったことです。これは政策でやります。日銀が短期金利の誘導目標を発表するように、政府が新築の適正量を毎年発表します。そしてそこに誘導するように、税制や金融を絡めて総量をコントロールしていきます。

これに対し、経済活動は自由なんだから抑制は過激すぎるという立場もありました。中古流通が活性化しないのは、中古住宅の質が不透明だからだ、という考え方です。この立場で考えると、提案はこうなります。

2.新築の質を向上させる。新築の質を向上させること=未来の中古の質を向上させることです。中古の質が向上すれば、おのずと中古が選ばれるであろう。だから政策的に抑制しなくても、自然とあるべき姿へ収束していく。



皆さんは、どう思われますか?



私は2の考えは楽観的すぎる、と思っています。理由は3つ。

・「地方は待ったなし」 すでに地方には空家率が30%を超えていると思われる市街地が見受けられます。30%を超えると都市のインフラが機能しなくなることが知られています。すでに空家率を原因とした市街地の崩壊は始まっている。

・「質も毎年向上する」 一見正しいのですが、実はトリックがあります。それは今年の最高の品質は、来年も最高品質ではないということです。より「質」の良いものを求めるのは人間の性であり、抑えようがありません。「質」を求めて、どんどん新しいものを買うのが自然です。供給抑制を伴わない質の向上は、むしろ新築需要を刺激すると考えます。

・「新築を優遇するインフラの上に現在の社会はある」 新築住宅を購入すると、固定資産税と都市計画税が最低3年間1/2になります。中古を買っても1円も負けてくれません。実はこの制度は昭和38年にできたのです。昭和38年といえば、まさしく高度経済成長期。優良な住宅が圧倒的に不足し、「どんどん建てる」ことが正しかった時代の税制なのです。この税制が今も生き残っていて、これが新築を支えています。



だから、黙っていると新築は減りません。「新築の量を規制する」という、かなり強引な強硬な手段に出なければ、もう不味いのです。既に時間は無くなりつつあります。

実は既に新築は不要であると、供給側は気づいています。しかし、建てることをやめることは、彼らの死を意味し、その既得権益を守るために、すでに不要な税制を温存し、新築を大量に供給することで新築の価格を抑制すると同時に、中古への需要を抹殺し、新築を購入させる。そのサイクルを必至で守っているわけです。「耐震性」「消費者の選択」「優良なストック」といった誰も反対できない、甘い言葉を使って。



しかし、これにだまされてはいけない。原状を続けるならば、未来は無いことは、もう明白になっているのです。



ぜひ、皆さんも空家率40%の世界を想像し、何が必要かを考えてみてください。



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