愛情と憎悪、建前と本音、嫉妬と憐れみ、理性と感情
交わした温もりは色褪せて、別れを選んでも尚、喪失を望まない
彼女、全く冷めた言葉で普通の関係に戻る事を受け入れた自分、安堵を持った彼女、全く覚めた言葉で普通の関係に戻る事を受け入れた自分、安堵を持った彼女。それでも戻れないならいっそ全てを断ち切って傷つけてしまいたい、彼女を。そして自らも・・・。
そんな本音とそれを咎める道徳心。
彼女は言った「出会えて本当に良かったと想ってる、貴重な時間を過せた事、いろんなものをくれたこと、尊敬できる人だった。
今離れ離れになって新しい人が出来た。今はその人がいる事が全てなの。こうやって想いを伝える事でまた傷つけるかもしれないけれど、幸せな恋愛をして欲しいと想ってる事、私に対する想いが本当に嬉しかったこと、喪いたくない事、これからも応援している事、そして、もし貴方が幸せになれたら、また普通の友達に戻れるなら連絡を待っている事・・・。伝えたかった。勝手かもしれないけれど、綺麗事じゃなくて、そう思っているから。
彼は言った「OK。また笑って逢おう。そこまで大切な人がいるなら応援するよ。君は僕にとって完璧だった。でもそれは自分の理想的な女性像投影していたのだと思う。色々な共通項があって、目的も共有できて、家族のような親近感を恋愛感情と錯覚したんだろう。全部無かったことにしよう、ハイ、SMILE★」
彼女は言った「ありがとう、ほっとしたよ、本当に幸せを心から願うし、応援する、仕事も恋愛も頑張ろうね。」
彼女は本当に逢いたいと言った。何時までも消えない感情が頭を侵食する。それだけに、尚更に想いを断ち切れない。何ともやるせない気持ちになる。しかし最後にこう思った。結局さよならと言えば傷も癒えるのだろう、お互いに。でも本当は・・・今君に触れられたら二度と離したくなくなる。1秒でも経てばそれは過去の足跡として、心象に刻まれる。近い未来には、喜怒哀楽なんて単純な感情ではなく複雑な経験として。それも流動的に記憶の低変を彷徨い続けるだろう。ならば無駄な抵抗はやめて明日へ向かおう。過去として切り取り封印してしまおう。だって永遠なんて無いのだから。自分自身を見失いそうになるが現実世界を生きなければならないのだから。
しかし、あの時、もし「行かないで、一緒にいよう、何を捨ててでも。どんなに今が苦しくても、君がいてくれたら・・」そんなことを言ったら、彼女は留まってくれろうか?
一つ確かなのは、今でも君を、愛したことは、確かに幸せだった。
了