1944年10月25日
フィリピンのレイテ湾サマール島沖で、関行男大尉を隊長とする、神風(しんぷう)特別攻撃隊 敷島隊の五機がアメリカ海軍の艦隊へ攻撃を敢行した
このころの旧日本海軍は、航空母艦のほとんどを失い、航空母艦を中心とした艦隊の運用は実質されていない
そのため、零戦をはじめとした航空戦力は、その大半を陸上基地へと移し、部隊の再編成を繰り返していた
1944年10月20日
第一航空艦隊司令の任に就いた大西瀧治郎中将は、日に日に悪化する戦局を立て直す時間の猶予を得るため、一時的な戦術としてかねてより思案していた『攻撃』を行うことを決定した
それが、零戦に250kgの爆弾を積んで敵艦に体当たりをする『特別攻撃』だ
四つの隊が編成され、敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊と名付けられた
各隊の名の由来は、本居宣長の和歌
敷島の 大和心を人問わば 朝日に匂う 山桜花
に由来する
そして、初の『特攻』という巡り合わせは、敷島隊にやってきた
隊長 関行男・大尉
隊員 中野磐雄・一飛曹
同 谷暢夫・一飛曹
同 永峯肇・飛行兵長
同 大黒繁男・上飛
以下は自分個人の感想
旧海軍には『指揮官先頭 率先垂範』という言葉がある
『特別攻撃』隊を編成するにあたり、関は上から『選ばれた』のだ
『海軍兵学校出の士官』が隊長を務めなければ、『指揮官先頭 率先垂範』の言葉がウソになる
名目上、特攻は志願制とされているが、司令部はどうしても海軍のエリートの中から隊長を出したかった
関は結婚もし、郷里には母もいて、家を守るのは自分だけ…
断る理由はあるが、断れない無言の圧力と、なによりも義務感が優先し隊長となった
初の『特別攻撃』は成功し、米軍側も体当たり攻撃に恐慌した
人が乗ったまま、爆弾を抱えた戦闘機が自分達の乗る艦に突っ込んでくる
常軌を逸した戦術に心が折れ、戦場から離脱する兵士が増加し、直ちに対策は取られた
レーダーで日本軍機の接近を探知すると、攻撃目標である航空母艦を守るため、まずは護衛の戦闘機が迎え、そこを掻い潜ったとしても十重二十重の艦が厚い防御網を敷き、終戦間際になると特攻で戦果を挙げるのはほぼ無くなってきていた
続