落ち込んで心が塞ぎ込むと、昔のロクでもないことを思い出すものだ
いつも夫婦ゲンカばかりしていた
1年365日、毎日毎日なにをネタにしてケンカしているのか不思議だった…
そのくせ世間体を気にして離婚はしない
八つ当たりは自分にされるのが決まっていた
父親は職人
手に職を持ち、請われれば他県へ何ヶ月も出張っていく
職人だから朝が早く、睡眠をとても大切にしていた
小学3年のある夜、自分は母親に問い詰められ(なんで問い詰められのか原因は思い出せない)、思わず泣き出した
早く寝た父親が、睡眠を邪魔されるのをひどく嫌っているのはわかっているのに声をあげて泣いてしまった…
半分キレた父親は自分の頭を畳に抑えつけ、台所から持ってきた包丁を自分の目の前の畳に突き刺し、
「静かにしろ!」
自分は失禁した
そのあと、母親は汚したスボンと畳のことで嫌味を言い続けた…原因を作ったのにもかかわらず…
母親は自分本位の人間だった
友達をウチに連れてきた時、自分が他所の家でされたことを母親もしてくれる(お菓子や飲み物を出してくれる)と思っていたが…
「これから昼寝するから静かにして」
とても惨めな気持ちになった
そのくせ、他所の親バカ子供自慢を間に受け、
「どこそこの○○ちゃんはあんなに良い子なのに…それに比べてあんたときたら…」
言われた言葉はトゲどころではなく槍そのものだった
中3になって周囲は全員が高校進学
自分も高校に進学するのは当たり前と思っていた
が、
父親は進学が許せなかった
「俺なんてな、中学もロクに行かずに働いていたんだ、高校進学だ?ふざけんな!」
世間体を気にすることが幸いして高校には行けたが、高2の冬、ポツリと自分の言った
「大学か…」
の言葉に、父親はまた半ギレになって言った
「大学?今まで育ててやった恩と金を返してからホザけ!」
なぜか母親も参戦する
相当ムシのいどころが悪かったのか、
「お前なんか産むんじゃなかった」
自分はなにを言っているのか理解できなかった
『夫婦の間に子供は望まれて産まれてくる』
『赤ちゃんは夫婦を選んでやってくる』
高校生にしてそんなモノは幻想だと悟ってしまった
自分は快楽の末に『できてしまった』望まれない存在だったのだ
愛情なんてない
両親に殺されず、よく自分も親を手にかけなかったと思うことがある
不幸中の幸いと思っている
日曜の早朝
地方のラジオ局は早朝の番組枠を宗教団体に充てている
幸○の科学とか、創価○会の機関紙である某新聞とか…
よく親のありがたさを説く内容がある
が、自分にはまるで響いてこないし、心に刺さりもしない…
ただただ白々しく思える