わたしは地球人Az-rider
冬の間は(しかたなく)車に乗りこの地域を調査している
今回訪れたのは長野市
今はすっかりクリスマスの様相だ
駅前ロータリーも一新、駅ビルミドリと通りを挟んだ向かいにある商業施設とも連絡通路で繋がれた
長野駅の新幹線ホームも「長野新幹線終着駅」から「北陸新幹線の駅」になった
今回、長野に来た目的は上京する友人の見送りだ
東京へ栄転、長野を離れていく
金沢からのかがやきがホームに入線する
友人の見送りよりも、降りて来た女性と女性を迎えた男性に自分は気を惹かれた
お互いを目の前に、彼女の唇が
「ただいま」
と動き、
「おかえり」
と、彼も応える
彼は涙が溢れないように上を向き、彼女は掌で顔を覆いうつむいた…
ドラマのようにハグするでもなく、交わした言葉はたったひとこと…
だが、そのひとことには、万感の思いがこもっているのが容易に想像がつく…
山下達郎の“クリスマスイブ”が自分の心の中に流れてきた
詞の中の彼女は来なかったが、このふたりは会えた…
発車ベル、「信濃の国」に促され、彼が彼女のバッグを持ち、ふたり寄り添い改札への階段を上って行く
いったい、どんな時間があのふたりの間に流れていたのだろう…
どんな想いでお互いを支え合ってきたのだろう…
友人との別れよりも、見ず知らずの男女の再会に惹かれてしまった…
この再会に立ちあえたことに嬉しさを感じる
別れはやはり寂しいものだ
人は寂しくなるよりも、嬉しさを感じる方が良いに決まっている…
自販機で買った温かい缶コーヒーで掌を温めながらおもった
ただ、この一件で当分の間友人は、会うたびに責めてくるだろう…
自業自得とはこのことだ
このロクでもない素晴らしき世界
缶コーヒーPOSS



