COLLAGE
#4 VINYL7 RECORDS
2019年9月に僕はとあるご縁によって転職することを決めた。
ミュージアムの仕事の中でも、とくにクリエイターやデザイナーと仕事をする時間が好きだった。少しでも「制作」に触れていたいという気持ちがあったのかもしれない。
次の仕事はこれまで経験した新規事業開発を軸にクリエイターやデザイナーのハブになることを求められる業務内容だった。諸々の条件もピタリと合い、ミュージアムも軌道に乗り出していたことから卒業することに決めた。
ミュージアムの同僚たちはありがたいことに、本当に温かく送り出してくれて円満に新天地のドアを開くことができた。
それが現在の仕事でもあるわけだが、この職場でも人に恵まれてたのしく日々を過ごすことが出来ている。
いまの仕事は文化遺産を実写VRで撮影するカメラマンや、現存しない江戸時代の橋を復元したりするCGクリエイター、ゲーム制作会社やメタバースプラットフォームを構築する技術者たちと各プロジェクトごとにチームフォーメーションを設定し完了まで導くプロジェクトマネジメントを担当している。
ミュージアム内でも新たな事業立ち上げとともに色々なプロジェクトやイベントが開催されるごとに、各部署及びパートナー会社と大小様々なチームを結成し実施してきた。この時のノウハウがもちろん軸となっているが、思い返せば複数人で楽曲制作をしてきたRomancrewの経験が僕のベースになっているように思う。
いまの会社は副業が認められており、副業申請をして音楽の活動ができている。
入社後しばらくしてから子供も小学生になったり、現在の業務はBtoB(企業間取引)がメインであるためカレンダー通りの休みということもあって、少し時間にゆとりが出てきた。
すると次第に積極的に音楽を聴いたり、大阪の友人たちと会う時間も増えていった。
2021年4月にMatsumoto Hisataakaa君(以下、ヒサタカ君)の曲がYouTubeにアップされているのを見つけた。やっぱり僕はこのテイストが大好きだなと感じ繰り返し聴いた。
そういえば大阪に戻ってきてからヒサタカ君のレコード店VINYL7 RECORDSに行けていないなと思い、休みの日に行ってみることにした。
ヒサタカ君とは共通の近しい先輩であるKING3LDKさんを通して、僕は勝手に親近感を持っていたのだが、ヒサタカ君からすると「お、こいついきなりどうした」という感じだろうと思っていたので、京都の長屋でオーラを纏い佇むように見えたVINYL7の扉を恐る恐る開けた。
するとヒサタカ君はとても温かく優しく迎えてくれた。
店内で2時間ほどコーヒーを飲みながら話に花が咲いた。
ヒサタカ君が「落ち着いてきたんならまたラップやってみーへんの?ビート渡すからさ。」と言ってくださった。
僕は正直、約6年のブランクを経てラップすることなど出来るのだろうか、と思った。
しかしカッコいいと思いリピートしていた曲を作ったトラックメイカーから、活動もしていないこんな僕に曲をくださるという機会がどれほど貴重かということも分かっていた。
数枚の7インチを買って店を出た数日後、ヒサタカ君から1曲のビートが届いた。