COLLAGE 

 

#2  新幹線

 

2015年3月僕は大阪に戻ることにした。

 

東京には10年住んだが、良くも悪くもずっと大阪を引きずっていたように思う。

「Romancrewの活動を大阪の人たちはどんなふうに見ているのだろう?」

そんなことがずっと気になっていた。

 

振り返ると、そんなんじゃ売れないよな、とも思うし、それがいまに繋がっているとも思える。

 

それでも東京で出会った方々は僕たちにとても温かく接してくださったし、とくに東京を離れる前の数年間は当時住んでいた西小山の地元の方やお店の方との交流も生まれ、なんとなく地に足がついてきた感じにしていただき、そして僕は東京が大好きになった。

 

大阪へ戻る直前の2015年2月には渋谷のclub bar FAMILYで友人たちが僕を送り出すパーティーを一緒に企画してくれた。

 

そのパーティーでは愛媛からDJ TOKNOWが、そして脱退した将絢も来てくれてRomancrewの過去曲も含めてライブをした。

そんなことからも分かるように僕たちは互いのことを尊敬し合う関係のままだった。

 

それから数日後、僕は大阪へ向かう新幹線に乗って東京を後にした。

その新幹線が途中、新横浜で停車した時、サイプレス上野がホームで待っていてくれて缶ビールを手渡してくれた。

 

僕はまるで過去へと巻き戻されるように流れる窓の外を眺めながら、皆に感謝の気持ちでいっぱいになると同時に、「夢」に敗れたことを確信した。