ー 横井小楠
略歴:日本の武士(熊本藩士)、儒学者、政治家。熊本藩において藩政改革に失敗。その後、福井藩の松平春嶽に招かれ政治顧問となり、幕政改革や公武合体を推進。明治維新後に新政府に出仕するが暗殺された。
必死の地に入るなど、できればご免こうむりたいものですが、生きているうちには何度かそういう局面に遭遇します。たとえ実際の命のやり取りはなくても、この一瞬が一生の行方を左右する、という場面があります。若い人にとっては就職試験や面接がそうでしょう。
志望する会社に採用されれば希望に満ちた未来が開けますが、落ちれば別の道を探さなくてはなりません。筆記試験も面接も志願者にとっては、必死の地です。試験前はあれこれ想像し、胸は不安でいっぱいです。それでも、いつか必ず本番の時が来ます。
試験・面接の本番では、すべての不安は捨て去り体一つで飛び込んで行くほかはありません。特に面接では、自分を実体以上に良く見せようとしない方が良いでしょう。そういう虚飾は見抜かれます。外面を良く見せて実体を隠そうとするのは、必死となっていない証拠です。そういう企みが見抜かれたら、志望者は裏表がある人間だと評価されます。
必死の地において死ぬべきは、虚飾の衣をまとった小さな我です。うまくその場を取りつくろって切り抜けよう、という姑息な自我を捨てて裸で飛び込む時に、初めて未来への突破口が開けます。