4~5年前から中国では省ごとに「自律公約」が導入されてきました。これは際限のない保険料下げ競争に歯止めをかけ、保険会社の経営を健全化するための制度です。各省の保険協会的団体が定めており、違反すると罰せられる場合があります。
自律公約が定められる背景には、以下のような中国特有とも言える損害保険事情がありました。
1. 保険引き受け当初はあまり事故が起きないので、競合他社よりもレートをダンピングして出来るだけ保険料を集める。
2. 次第に保険事故が増えてくるが、保険金支払いが一元でも少なくなるよう最大限の努力をする。損害査定担当者は、支払い保険金が少ないことで評価され、高額のインセンティブ ボーナスをもらえる。
3. あまりにも保険事故が多い顧客については、アッサリと保険引き受けを打ち切る。もしくは翌年の保険料を大幅に引き上げる。「採算が合わない顧客でもあまりレートを上げ下げせず、長く付き合おう」という日本的な発想はない。
このように保険契約者が安定的に保険金を受け取れない実情があったため、最低保険料率を定めることとなりました。
日系損保と中華系損保との考え方の違いは、中華系損保は採算性を非常に重視していることです。入りと払いは絶対に合ってなくてはいけませんし、自社の利益や社員の給料を削ってまで保険金を支払おうという発想はないようです。
いかにも合理的な考え方ですね。中華系損保と付き合う場合には、このあたりの考え方の違いをよく理解しておく必要があります。