製品回収(リコール)は巨額な経済的損失となる場合があります。もし対応を誤るとブランド・イメージを大きく毀損し、経営破綻に結びつく危険性もあります。
1. 誤った対応・考え方
(1)当社の品質管理は優れており、リコールが起る可能性はほとんどない。
(2)仮に起ったとしても完成品メーカーからの損害賠償請求は考えられない。またはサプライヤーの責任であり、当社に責任はない。
(3)リコールを発表すると社会的信用を失うので、出来る限り表沙汰にしたくない。
こうした対応・考え方のため、実際に破綻の危機に瀕した大手企業があることは、広く知られています。
2. なぜリコールを実施するのか
消費者に安全な製品を供給することは、企業の基本的な責務です。故意・過失により事故発生を隠匿したり、虚偽の情報を公開することは、消費者を危険に晒す行為であり、社会的に許されません。
不適切な対応により重大な人的被害を惹き起こした場合には、行政処分の対象となり、損害賠償責任や刑事責任を負うことも考えられます。
3. リコールには、どのような費用がかかるのか (例)
原因究明費用 |
修理部品・代替品の製作費用 |
情報提供費用(社告など) |
情報収集費用(フリーダイヤル等)
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回収・交換・代替品等の費用 |
臨時対応のための人件費 |
弁護士費用 |
販売停止期間中の経費 |
外部コンサルや支援サービスの費用 |
昨今のリスク・ファイナンス手法の進歩により、リコール関連コストの多くが保険の活用によってヘッジ可能となってきました。
以上