「べらぼう」見てません。

蔦重よく知りません。

 

ブームに乗った展覧会というのもあざといような感じがして行く気もなかったのですが、近世以降の日本美術をコレクションの柱の一つとする同館なら当然の企画かもしれません。

 

 

行ってよかったです。

 

 

プロローグ「浮世をえがいた絵」のはじまり

 

浮世とは、常世(死後の世界)に対する「憂き世」(現生)をあらわす言葉

庶民の生活や風俗をえがくものを「浮世絵」というようになったという説明文にまずハッとします。

 

そうか

この世は所詮、浮世なのだな

 

 

房総出身の浮世絵の祖・菱川師宣の絵がふんだんに展示されます。

 

余談ですが、菱川師宣、最初にモロカワヒシノブって覚えちゃって、いまだにどうもちゃんと言えない(笑)

 
第1章「蔦屋重三郎という人物」と題して、蔦重の幅広い人脈が紹介されます。
第2章では「蔦屋」の原点となった「吉原と遊女」
 
田中益信の《吉原仲の町》が豪華です。
 
鳥居清長の『間違狐之女郎買』というのは冊子本なんですが、狐のふりをして女郎屋のツケを踏み倒そうとした男が狐に仕返しされるというおもしろいお話。
 
マンガなんですね。
 
第4章 「蔦屋の偉業 歌麿、写楽、長喜のプロデュース」
 
撮影可だった数点から
 

北尾政演《吉原傾城新美人合自筆鏡》
 
 

喜多川歌麿《潮干のつと》
 
 

喜多川歌麿《当時三美人 富本豊ひな 難波屋きた 高しまひさ》
 
 
第5章「蔦屋が活躍した時代 浮世絵の豊穣期」
エピローグ「蔦屋の没後 Ukiyo-eへの変貌」
では、歌麿、北斎、広重のほか、渓斎英泉や鳥文斎栄之などの絵がたくさん展示されていました。
 
 

 
 
特別展示されていた喜多川歌麿の《祭りのあと》という絵には心ひかれました。
墨一色で描かれた絵で、祭りのあと、酔った男に肩を貸して家路に向かう?娘が描かれています。

 

男の足の先まで思い切りよくも的確に描かれ、画家の力量に圧倒されます。

 

 
階を変えて、別室では開館30周年記念の「日本美術とあゆむ」が見られます。
 

橋口五葉《化粧の女》大正期
 
さらに階を下ること、5階では「千葉市美術館コレクション選」という部屋がありまして「コレクションはここからはじまった 死絵と追善のかたち―林美一コレクションを中心に」という展示がされていました。
 
「死絵」って、私は知らなかったんですが、歌舞伎役者など人気が高い人物の死に際して発行された浮世絵で、故人の肖像や没年月日、法名、墓所、辞世の句や親しい人による追悼などが記されていたそうです。
 
速報性も重視され、なかには死去の翌日に発行されるものもあったとか。
 
ちょっとびっくりしたのが、こちらの絵
 
《八代目市川団十郎の死絵(屏風の前・書置三通・自害前》

自死した八代目市川団十郎をそのまんま浮世絵にして刷っちゃうんだ!
 
江戸時代の人の死生観って、現代人とはかなり違うんだろうな。
 

 
団十郎の死絵はたくさん描かれているそうです。

 
 

 
 

《三代目尾上菊五郎の死絵》
下のキャプションによると、娘婿の四代目尾上梅幸(後の四代目菊五郎)が菊を1輪手向け、その死を弔っている様子が描かれているようです。
 

《四代目尾上菊五郎と女房お蝶の死絵》
菊五郎が亡くなった同日、追うようにお蝶も亡くなったため、役者と女房が同時に描かれています。
死絵としては珍しそうです。
 
愛かな
 
さあ、こちらは同館が力を入れるもう一つのコレクションから
 
河口龍夫《関係―蓮の時・葉緑素》

壁から突き出てるのはハスの茎なんですね。
花が咲き終わった後の。
コーティングされていますが、中にはまだ種があるということで
 
「死」と「再生」をあらわしているのでしょうか。
 

わたしが写真を撮ろうとしたら監視員さんがどいてくれた。


夏の暑さが戻った日に死と生についてちょっと考えたりしながら・・・

 

さらに1階に降りると地下には居酒屋があるらしい。
おりてみます。

 
美術館らしいのかそうでないのかよくわからない空間。

 
ちゃっかり飲んできました。

 

半分セルフという感じで、お酒もおつまみも安くて美味でした。

 

蔦重は明日まで。

死絵は3日までです。

 

おつき合いありがとうございます。