映画『国宝』を観ました。

前評判を読んだり聞いたりして、あまり期待せずに行きましたけど、思ったとおり。

 

もちろん、主役の2人はいいんですよ。

頑張ったのがよくわかるし、とてもきれい。

子役さんもよかったです。

 

それにしても、なんともすっきりしない3時間。

原作を読もうと思いましたら、なんとアマゾンのオーディブルで、尾上菊之助(八代目菊五郎)が朗読しているではないですか。

 

聞いてみました。

 

原作、いいです。

 

映画では納得できなかったストーリーに自然についていけました。

 

原作は文庫本上下巻で800ページを超える大作。

朗読の再生時間も20時間を超えます。

 

この物語を3時間に圧縮するのは難儀だったことでしょう。

 

はじめ脚本がよくないのかとも思いましたが、高畑充希なんかは原作のキャラクターをうまく表現していたように感じます。

 

歌舞伎役者・花井半次郎のおかみさんは藤原紀香あたりにやらせたら、言いたいことをズケズケ言うけど、お人好しで世話好きという感じが出たのではないかな。

 

口は悪いけど面倒見のいい人の演技って難しいんでしょうかね。

ゴジラのときの安藤サクラを思い出しました。

 

反対に光友の社員を演じた三浦貴大にはもう少し抜け目のなさが欲しかった。

人のよさが出てしまっていましたね。

 

原作は、後半ダレてくると、主人公の周りの人がやたら災難に遭ったりして、読者の興味を引っ張っる努力があからさま(笑)

そこまでしなくてもと思ったけど、やっぱりドラマに不幸は必須なんですかね。

 

それでも、ラストは圧巻でした。

 

この原作のラストこそ、映像で見たかったなあ。

 

 

ともあれ、映画を観て痛切に感じたのは、歌舞伎役者というのが実に稀有な存在だということです。

映画では才能に恵まれた喜久雄と梨園に生まれた俊介とが互いに芸を磨き合っていくさまが描かれますが、血筋もあるのでしょうが、子どものころからの環境、これ大事だと思います。

 

物心つく前から周りの人の所作を見て、そのまねをして育つ。

舞台に立つようになれば幼いときから厳しいけいこ。

 

身体も心もやわらかいうちに叩き込まれた芸は、大人になってから始めた人にはまず身につかないでしょう。

 

これこそ一度失ってしまったら容易に取り戻せない、大切な国の宝だと思います。

 

 

歌舞伎座では、6月も5月に続き「八代目菊五郎・六代目菊之助」の襲名披露公演

 

義妹が母を連れて行ってくれまして、写真を送ってくれました。

 

 

菊五郎・菊之助の「菊」で富士山をかたどっているようです。

 

ティファニー提供

 

 

『曾根崎心中』は文楽で観るほうが好き。

 

 

 

 

 

 

おつき合いありがとうございます。