2024年10月30日発行
文藝春秋
認知症を発症したのお母さんと、それまで家のことは一切お母さんに任せていたお父さん。
娘の信友直子さんは広島県の実家を離れ、東京でテレビディレクターをしていました。
実家に帰るたび直子さんが撮影していたご両親の記録映像は、2018年『ぼけますから、よろしくお願いします。』というタイトルでドキュメンタリー映画となります。
その後、直子さんは脳梗塞を発症したお母さんを撮り続け、2022年には続編が公開されます。
そこには、手押し車を押して1時間近くかけ、毎日病院を訪れ、お母さんを励ますお父さんの姿がありました。
そのかいあって、リハビリに励むお母さんでしたが、コロナ禍となり、面会もままならない状況に。
お母さんにとってもお父さんにとっても、会えないことはつらいことだったと思います。
そして、お母さんはついに・・・
本書では、お母さん亡き後、淡々と独り暮らしを続けるお父さんの姿が描かれます。
しかし、お父さんだって本当はさみしい。
ふとしたときに父のそんな思いに気づく娘。
104歳の長寿でも決してスーパーおじいちゃんじゃない、等身大の「老い」の姿にこれからの自分を重ねると、なんとなくホッとするのはなぜでしょう。
おっ母、わしと一緒になってくれてありがとうね。あんたが嫁に来てくれて、わしはほんまに幸せな、ええ人生じゃった
お母さんの臨終のとき、お父さんが口にした言葉です。
わしもすぐ行くけん、あんたは先に行って待っとってね。~中略~あの世でもまた一緒になって、仲良う暮らそうや
人はみんな死ぬんだけど、こんな最期を迎えられたら幸せですね。
そうじゃなくても、ま、いっか
おつき合いありがとうございます。