2024年7月25日

晶文社

 

雑誌「ニューヨーカー」の編集部で職を得ていた筆者は、最愛の兄を26歳で亡くしたとき、そこを去り、メトロポリタン美術館の警備員として働き始めました。

 

筆者が言うには、「思いつく限りで最も美しい場所」へ避難したのです。

 

 

悲しみとは何よりもまず、リズムを失うことだ。誰かを失う。すると人生にぽっかりと穴が開き、しばらくその穴の中で身を縮める。

 

 

彼がメトロポリタン美術館の警備員として働く中で出会う、個性豊かな同僚たち、ユニークな客のことなどが、展示室の紹介とともに語られます。

 

 

芸術作品に出会ったときはまず、何もしてはいけない。ただ見るだけにして、自分の目に、そこにあるすべてを吸収する機会を与える。

 

 

警備員として、一日に何時間も同じ作品の前に立つ彼の深い思索をたどることは、館内をガイドつきでツアーしているかのようです。

 

私たちは所有を求める。ポケットの中に入れて持ち帰ることを望む。だが、ポケットに入れて持ち帰れる真に美しいものなどなく、私たちが見たり経験したりするもののほんのごく一部しか所有できないとしたら?

 

 

静謐な空気に包まれる独特な読書体験です。

 
 

朝の河口湖からのぞむ富士山

 

 

 

 

 

 

おつき合いありがとうございます。