ボリウッド映画で観たバク転を自分もやってみたいと思った18歳のマニーシュ・チャウハン。
バク転ができると、それだけでは飽き足らなくなり、独学でダンスの練習を重ねた。
やがて、テレビのダンス番組に出演し、あるダンススクールを紹介される。
そこで出会ったのが、ダンス教師、イェフダ・マオールだった。
※ボリウッド インド映画の制作中心地として知られるムンバイを指す俗称
イェフダは、テルアビブのダンスカンパニーでプリンシパルダンサーとして活躍し、引退後はヌレエフやマカロワといった、偉大なダンサーたちを指導した経験を持っていた。
イェフダはマニーシュの才能にほれ込み指導を始め、マニーシュもその指導に応え、めきめきと上達する。
しかし、インドではダンスは金持ちの娯楽。
マニーシュの父も裕福ではなく、タクシーの運転手をして、2人の子どもを大学に通わせていた。
貯蓄はない。
子どもの教育に使い果たし、老いたら子どもに面倒を見てもらうスタイルだ。
ダンスでは食べていけない。
悩むマニーシュを笑顔で励ますのは、祖母だ。
自分の好きなことをやりなさい。
お父さんには息子に決めさせるよう言っておく、と。
マニーシュには才能があったが、いかんせんダンスを始めたのが遅すぎた。
クラシックバレエのカンパニーへの入団は無理だ。
コンテンポラリーに転向するも、なかなか収入を得る道につながらない。
そこへ、ダンサーにつきものの怪我が彼を苦しめる。
さらに、コロナによるロックダウン。
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カメラは長きにわたり師弟の関係を丁寧にたどりながらも、家族へのインタビュー、インドの街の様子などを配し、ドキュメンタリーなのに起伏に富んだつくりです。
ダンサー出身の監督のクラシック、コンテンポラリー、ストリートダンス、インドの伝統舞踊といったあらゆるダンスに対するリスペクトが感じられます。
ラストはインド映画っぽくて楽しい。
夢をあきらめない。
すばらしい映画でした。
おつき合いありがとうございます。