幕府公認の遊郭、吉原
洗練された教養や芸事で客をもてなし、文化発信の中心でもあったそうです。
浮世絵などから、当時の様子を浮かび上がらせ、全貌に迫る展覧会でした。
展覧会は三部構成
第一部では、広重や歌麿の浮世絵から、日々の暮らしぶりなどが紹介されます。
映像も使った展示はわかりやすかったです。
第二部では、菱川師宣、鳥文斎栄之、酒井抱一らの描いた風俗画や美人画が展示され、江戸時代の変遷をたどります。
鳥文斎栄之はサムライ出身の絵師という変わった経歴の人で、喜多川歌麿と人気を二分したと言われるそうですが、日本であまり知られていないのは、その上質な作品がほとんど海外に流出しているからだそうで、今回も大英博物館などからの里帰り作品が展示されていました。
先日、千葉市美術館で見てすばらしかったので、なんで巡回展示しないのかなあと思っていたら、『大吉原展』で使われていて、また見られてよかったです。
鳥文斎栄之〈川一丸舟遊び〉ボストン美術館
(千葉市美術館で撮った写真/今回は展示されていません)
見どころは、明治時代、髙橋由一によって描かれた〈花魁〉でしょうか。
あの鮭の画家が描く花魁は
浮世絵のスッとした美人画と違って、写実的
※画像お借りしています
モデルになった花魁が「妾はこんな顔じゃない」と泣いて抗議したとか
写真で見ると、確かにごっついんですが、実際の絵からはきれいな人だと感じました。
明治や大正時代の写真も数点展示されていたのですが、花魁はやっぱりすっごく美人です。
第三部は、会場全体が吉原の五丁町を感じさせるつくりになっています。
3月だけ植えられたという桜や遊女のファッション、芸者たちの芸事などを知ることができました。
唯一撮影可だった第四展示室の〈江戸風俗人形〉
人形・辻村寿三郎、建物・三浦宏、小物細工・服部一郎の作品です。
ひとの道に生まれてきて、貧しくても、裕福でいても、美しく活きる姿をみせてこそ、生まれてきたことへの、感謝であり、また人間としてのあかしでもあるのです。
艶めいて、鎮魂の饗宴のさかもりは、先ず、吉原の女達から……。
(「ジュサブロー展」図録 作品解説、1992より}
藝大美術館
上野の桜はこんなもんでした。
おつき合いありがとうございます。