2023年2月10日

晃洋書房

 

風紋さんのご紹介です。

 

近世に泰平の世が実現すると、人々が教養を身に付け、庶民層が経済成長を遂げ、貨幣経済が全国各地に浸透し、交通インフラが整備され、旅行業も発展していきます。

 

多くの日本人が安心して旅立てる時代が到来し、近世後期には、伊勢神宮をはじめ諸国の神社仏閣をめぐる旅が大流行したそうです。

 

そのブームは男性だけのものではありませんでした。

 

本書は、江戸時代、旅をした女性たちの日記や記録をひもとき、その様子を詳細に見せてくれます。

 

メンバー構成、旅の服装、ルート、おやど、グルメ、などなど……

 

交通インフラが整備されていたとはいえ、全行程徒歩の旅です。

 

一日あたりの歩行距離は、少ないときでも10キロ程度、多いときには50キロにも及び、往復の総歩行距離が3,000キロに迫る人もいました。

 

その人の旅の日数はなんと150日以上。

 

由利郡本庄(現在の秋田県由利本荘市)の裕福な町人女性・今野於以登さんです。

 

文久二年(1862年)8月22日から12月24日にかけて、友人の船問屋の奥さんと一緒に、荷物持ちの男性2人を連れて、旅に出ます。

 

由利郡本庄から日本海側を通って、金沢から京都・岡山・船で四国に渡り、金毘羅詣でをして、伊勢神宮へ。

 

その後も、名古屋、箱根、鎌倉・江の島、江戸から日光、山形とほぼ本州一周の旅です。

 

途中、お土産も爆買いです。

 

於以登さんは道中の支出の内訳も細かく書き残しているので何を買ったか知ることができます。

箸、箱、徳利、お守りや菓子、薬など、いろんな物を買ってます。

 

「血脈」というのを何度も買っていて、何だろうと思ったら、仏弟子としての縁が結ばれる系図のことなんだそうです。

 

ほかにも、旅先で芝居を見たり、伊勢音頭にハマったり、温泉につかったり……

 

旅に出たのは、おもに四、五十代の女性たちだったといいますから、そのパワーに驚きます。

 

読んで楽しめ、旅に出たくなり、元気ももらえます。

 

風紋さん、ご紹介ありがとうございました。

 

 

 

皆さん、おつき合いありがとうございます。