朝日新聞出版
「刑務所で受刑者たちが食べる給食は彼ら自身が作っている」
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は考えたこともありませんでした。
管理栄養士である筆者の仕事は、毎月のメニューを考えて、週に1~2回、受刑者と一緒に炊場に立ち、彼らに料理指導をすること。
「最初にそのことを知ったときは驚愕した」と言います。
筆者が勤務するのは、初犯の受刑者が収容される刑務所。
その中でも、炊場に配置されるのは、模範的な受刑者だけだそうです。
火や包丁を使う場所だけに、そこは配慮されているようです。
受刑者の中には初めて料理するという人もたくさんいて、彼らが料理に目覚めていく過程も読みどころ。
例えば、刺青だらけの男がドーナツがうまくできたことに喜んで、「俺をミスタードーナツと呼んでくれ」などと、笑わせるとか……
「税金で贅沢させるな」
「受刑者なんてクサいメシでも食わせておけ」
そういう声があることは百も承知で、限られた予算の中で工夫してなんとかうまい飯を食わせてあげたいという気持ちはわかるなあ。
刑務所で料理を作った経験は、受刑者が出所したとき、彼らの生活に役立つでしょうか。
そう願いたいです。
人生はいつからでもやり直しができる。そんな世の中でなければ国は存続していかないのではないか。失敗を許し許される世の中でなければ再犯はますます増えていくだろう。
筆者は、「刑務所の中の出来事がもっと一般に知られてもいいのではないかと思う」と言います。
被害者が加害者を恨んだり、許せないと思ったりするのは当然のことだろう。
けれども、この本を読んでいる大多数の人は、加害者でも被害者でもない第三者ではないだろうか。
受刑者の人権
難しい問題ではありますが、「食」という生きるために不可欠な、誰にとっても大切なことを通じて、少し思いをはせることができました。
レシピも載っていましたよ
揚げれんこん
材料
・冷凍れんこん…250g
・片栗粉…………大さじ1~2
・小麦粉…………大さじ1~2
・揚げ油…………適当
調味料のバリエーション
A 塩と青のり
B 塩と黒コショウ
C 塩とカレー粉
D 胡麻和えの素
E ピーナツ和えの素
いかフライレモン風味
・冷凍イカフライ
・揚げ油
A砂糖………大さじ2
しょう油…小さじ2
水…………大さじ1
レモン汁…小さじ2
おつき合いありがとうございます。