11月に読んだ本のまとめです。

 

読んだ本の数:18
読んだページ数:4294


それから (新潮文庫)

それから (新潮文庫)

好きな女に好きだと言わないと後々こういうことになるよという意味で『三四郎』の『それから』なのか。では、好きだと言っていたら、平岡が自殺したりして……。だと『こころ』じゃないか?しかし、平岡の仕事が順調で、三千代の病気もなければ、代助はどうしただろう。幸せな三千代を見ているだけで満足したのだろうか。覚悟を決めたら腹のすわる女は明治の女だからというわけでもなく、漱石のロマンだろう。『三四郎』とはうって変わって激しい展開でした。
読了日:11月29日 著者:夏目漱石

 


漱石と歩く、明治の東京 (祥伝社黄金文庫)

漱石と歩く、明治の東京 (祥伝社黄金文庫)

漱石の作品に出てくる土地や漱石ゆかりの地を歩く。小石川・白山、浅草・両国、千駄木・本郷などのコースが設定されていて、当時の様子もわかるように解説。一つの作品でどの道のりをたどったかを追いたかったので、そこは物足りなかった。
読了日:11月29日 著者:広岡祐

 


モネのあしあと 私の印象派鑑賞術 (幻冬舎新書)

モネのあしあと 私の印象派鑑賞術 (幻冬舎新書)

実はモネは好きじゃなくて、上野で開催中のモネ展に行き、その思いを強くしていた。しかし、その後、別の美術館で、たった1枚の「睡蓮」を見て、はじめて「モネ」が見えた!5章「マハによるモネのあしあと案内①フランス編」がよかった。
読了日:11月29日 著者:原田マハ

 


北斎 富嶽三十六景 (岩波文庫)

北斎 富嶽三十六景 (岩波文庫)

三十六景なのに46枚あるとか、『諸人登山』は山頂を舞台にした作品だとか、知らないことだらけでした。どの地点から描かれたかがわかる地図も参考になります。『三十六景』を特徴づける藍色・プルシアン・ブル―の使用、『三十六景」以降の『富嶽百景』、没年に描かれた肉筆画『富士越龍図』なども紹介され、興味深いです。「富士山は亡くなる直前まで向かい合った重要な画題であり、また、生涯を通じて越えようとした偉大なる存在だったのである」日野原さんの解説は素人にもわかりやすい。
読了日:11月26日 著者:日野原健司

 


失われた川を歩く 東京「暗渠」散歩 改訂版

失われた川を歩く 東京「暗渠」散歩 改訂版

(1)東京に暗渠化の波が最初に訪れたのは、大正末期から昭和初期。人口増加と、震災後の市街地拡大による河川の汚染、悪臭や洪水対策として。郊外の耕地整理、宅地整理によって。(2)60年代、「36答申」によって打ち出された暗渠化・下水道転用によって。80年代に入ると、河川は埋め立ないという方針に変わったが、その後も名もなき小さな川は暗渠化されているそうだ。「蓋をはがし」ても川は蘇らない。かつての川をたどることによって、記憶の中によみがえらせるしかないのだろう。
読了日:11月25日 著者:本田創

 


海渡る北斎 「波の伊八」と19世紀末のインフルエンサー林忠正

海渡る北斎 「波の伊八」と19世紀末のインフルエンサー林忠正

1999年ライフ誌による「この1000年間で最も重要な100人」の中に選ばれた唯一の日本人北斎。印象派の画家たちに与えた影響が評価されたようだ。「神奈川沖浪裏」にインスピレーションを与えた(かもしれない)彫り物師・波の伊八と優れた版画を西欧の優良な顧客に紹介し、価値を高めた林忠正に焦点を当て、彼らの偉業を紹介する。北斎が波の伊八の掘った「波」を見たという確証はないが、伊八の作品との類似は明らか。北斎抜きでも、その作品はすばらしい。
読了日:11月25日 著者:神山典士

 


【AERA Art Collection】「モネ 連作の情景」完全ガイドブック

【AERA Art Collection】「モネ 連作の情景」完全ガイドブック

モネ展、行く前に読みたかった(笑)。大変参考になりました。
読了日:11月23日 

 


母がゼロになるまで: 介護ではなく手助けをした2年間のはなし

母がゼロになるまで: 介護ではなく手助けをした2年間のはなし

読む前から想像がつく内容で、読み進めるのがつらかった。読み終われば、絶望的な話でもなく、あきらめに似たさわやな読後感を得た。今の時代のシステムに馴染まない人は存在するだろう。家族だけでも、行政だけでも、その人たちを支えるには無理がある。馴染んでるように見える人だって精いっぱいかもしれない。だから、「小さな喫茶店」のようなゆるいつながりは不可欠だと思う。向かいの奥さんや、宅配弁当のバンさんの気遣いに救われる思いがした。
読了日:11月19日 著者:リー・アンダーツ

 


三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

いや~切ないですね。ストレイシープはやはり美禰子自身ともとれるし、当時の人々ともとれる。それはまた、日本に生まれた現代人にも無関係ではないような……
読了日:11月17日 著者:夏目漱石

 


カーテンコール

カーテンコール

久しぶりの筒井康隆さんはやっぱりおもしろかったです。「時をかける少女」や小松左京、平井和正、半村良が次々現れる『プレイバック』にはうれしくなります、からの『カーテンコール』の混沌にはしびれた(笑)
読了日:11月17日 著者:筒井康隆

 


自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書)

自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書)

「別班」のような組織はあるだろうとは思うが、あくまで存在を隠す姿勢は恐ろしい。
読了日:11月17日 著者:石井暁

 


倫敦塔・幻影の盾 (新潮文庫)

倫敦塔・幻影の盾 (新潮文庫)

「事実らしく書き流してあるが、実の所過半想像的な文字」との断りがある『倫敦塔』、大詰めにきて「ここ迄書いて来たらもういやになった」という『趣味の遺伝』まで、多彩な漱石の短編集を堪能した。友人に怖い話をされて、いいなずけの身の上を心配する『琴のそら音』がほほえましい。
読了日:11月11日 著者:夏目漱石

 


春画にハマりまして。

春画にハマりまして。

ブロ友さんのご紹介で。葛飾北斎「蛸と海女」をきっかけに春画に目覚め、実際に春画を蒐集し、春画の楽しさを発信する春画-ルさん。グッズや秘薬まで自作してしまう探求心は「普通のOL」ではもはやない。いかがわしさをむしろ笑ってしまう、ディープな世界を楽しめました。
読了日:11月10日 著者:春画―ル

 


能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ (ブルーバックス)

能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ (ブルーバックス)

ヒトの遺伝子は30億の塩基対からなり、0.1%の違いが300万か所の個人差を生む。身体的特徴のみならず、知能、成績、性格までかなりの部分が遺伝であるというのは多くの人がうすうす気づいているところであろう。喫煙、ギャンブル、反社なども遺伝するという。身もふたもない内容だが、人を変えようという努力は不毛であり、自分自身を人と比べるのもばかばかしいと改めて感じる。行動遺伝学という言葉自体知らなかったが、全体的に興味深かった。
読了日:11月10日 著者:安藤寿康

 


桂よ。 わが愛・その死

桂よ。 わが愛・その死

森村桂さんの著作の中にたびたび出てくるM・一郎さんが書いたこんな本があるとは知らなかった。出会いから、最後の日々まで、担当医師に「森村さんは病気ではなく性格だから治らない」とまで言われても寄り添い続けた一郎さん。これも愛だというなら、愛はなかなか厳しい。
読了日:11月09日 著者:三宅一郎

 


新訳 老人と海

新訳 老人と海

日本語では「少年」と訳され、子どものような印象を受けるマノリンを二十代ぐらいの「若者」と捉え直した新訳。子どもでは変だと思っていたので、この解釈のほうがなじむ。訳者は「老人」の口調も50代でも60代でもおかしくないように訳したというが、やはりそこは「老人」。こちらのほうは何とかならなかったのか。こうなったら英語で読むしかない?
読了日:11月07日 著者:アーネスト・ヘミングウェイ

 


ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 )

ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 )

破壊されたとばかり思われ、誰も探していなかったヒトラーお気に入りのブロンズ像。3メートルを超える一対の馬がたどってきた数奇な運命が明かされる。アルテュールの危険に満ちた調査も相まって、緊張感たっぷりの内容。ラストの大捕物まで息をつかせぬ展開でした。
読了日:11月07日 著者:アルテュール・ブラント

 


文豪ナビ 夏目漱石 (新潮文庫)

文豪ナビ 夏目漱石 (新潮文庫)

「『こころ』を読もうとしているあなたに」という北村薫さんの文章の中で紹介されていた教師の話が興味深かった。「上」の20で出されるお菓子と「中」の9で死にかけた「私」の父親が「どうせ死ぬのだから、旨いもので食って死ななくちゃ」と言って食べるものは何でしょう?という問題だが、こういう細かいところまで行き届いて書かれているのが漱石なのだ。ナビの最初のほうでは漱石を読む順番として、『吾猫』は最後のほうに挙げられていた。この順番もなるほどと思った。
読了日:11月06日 著者:

 

おつき合いありがとうございました。