11月もあっという間にもう10日。
今さらですが、10月に読んだ本の読書メーターのまとめです。
読んだ本の数18冊
斎藤さんの心に残るたくさんの本たちを、再読し、丁寧に解説してくれる。本のタイトルにもなっている最終章にはジーンときた。自分なりの読書というものを考えさせてくれた一冊だった。しかし、読みたい本は増えます(笑)
読了日:10月31日 著者:斎藤真理子
「人間は好き嫌いで働くものだ。論法で働くものじゃない」ずいぶん昔に読んだはずだが、結構覚えていてうれしかった。ラストの記憶があいまいだったのは、赤シャツと野だの懲らしめ方がちょっと物足りなかったからか。まあ、このくらいだから後味がいいのでしょう。今回は「清」の人のよさが身にしみた。
読了日:10月30日 著者:夏目漱石
嘉永元年というから江戸末期。芝の染井町、糸屋近江屋の娘おせきが、あしたは十三夜という明るい夜、子供の群れに影を踏まれた。それからおせきは月夜ばかりか、昼日中でも、影ができるのを恐れるようになり……あっと驚く結末だった。
読了日:10月28日 著者岡本綺堂
この名作をなぜ今まで読んでいなかった?と思うほどおもしろかった。LINEどころか電話すらない時代、人がふらっと訪ねてきて、話をして帰る、そんなかかわりがちょっとうらやましい。「文明が進むに従って殺伐の気がなくなる、個人と個人の交際がおだやかになるなどと普通いうが大間違いさ。こんなに自覚心が強くって、どうしておだやかになれるものか。なるほどちょっと見ると極しずかで無事なようだが、御互いの間は非常に苦しいのさ」
読了日:10月26日 著者:夏目漱石
アーティゾン美術館で開催されている山口晃さんの展覧会を観て借りてみた。トーハクは展示品を見て回るだけでも大変なのに、建物自体もおもしろそう。久しぶりに行ってみたいと思った。
読了日:10月25日
映画『春画先生』が物足りない内容だったので、図書館でこちらを借りてみた。『春画先生』の中で言っていた、「性器に目を奪われず、背景や表情を読み取ることによって深く味わう」というのが参考になる。本書では解説が、絵そのものではなくコトに及んだ状況を妄想しているのもおもしろい。歌川広重、月岡芳年、葛飾北斎、応為の肉筆画も載っていて楽しめた。
読了日:10月22日
所有とは何か、それが人にとって意味するものは何か、歴史をひもときながら論じる内容は多岐にわたっている。読みやすくわかりやすい内容だったが、特に心に残ることはなかった。
読了日:10月20日 著者:ブルース・フッド
島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密 Shimada Junko Style4
チャーミングでかっこいい順子さん。食事もおしゃれもありあわせのものを工夫して。東京、モンマルトル、ブーロンマーロット、それぞれの暮らしとインテリアがため息もの。「シワは作ろうと思ってもできるものじゃないのよ。だから自信を持って、シワが美しく見えるような装いをすればいいの」……ですよね!
読了日:10月18日
スターリンがかなりの読書家だったということはわかった。蔵書に残された書込みを手がかりにスターリンの内面に新たな光を与えようというものだろうが、そもそもスターリンをよく知らないので、どの辺が意外な一面なのかは、私にはわからなかった。図書館で借りた本にも書き込みをする、返却しないなどというのは、本好きの風上にも置けません(笑)ろくでなしですね。
読了日:10月14日 著者:ジェフリー・ロバーツ
こちらも最近、二葉亭四迷『浮雲』を読んだばかりだったので、その間取りが思ったとおりだったのが楽しかった。階段の勾配が急だったに違いないなど、芸が細かい。三浦綾子『氷点』はかなり前に読んだのだが、辻口病院長邸はなんとなく思い浮かんだ。そうか、陽子は離れで寝起きしていたのだった。夏目漱石は建築に造詣が深かったらしく、間取りの描写は正確で、そのまま作図しても住宅として破綻をきたさないそうだ。
読了日:10月13日 著者:小幡陽次郎、横島誠司
小説を読みながら、間取りの説明があれば、なんとなく頭の中に思い浮かべる。こんな本はとても楽しい。『羊をめぐる冒険』は最近読んだばかりだったので、「鼠」の別荘も取り上げられていてうれしい。
読了日:10月13日 著者:小幡陽次郎、横島誠司
ロシアによる侵攻が始まるまで、ウクライナのことなんて何も知らなかった。「ぎりぎりまで我慢する」「人前で面子を失うのを避け」「本心を明かさない」という傾向があって、日本人と似ているというウクライナ人。「おわりに」の中で触れられている日本の「平和」と「戦争」に対する姿勢については考えさせられた。「侵略された場合にどうするのか、議論されてもいいのではないか」というのはそのとおりだろう。
読了日:10月12日 著者:オリガ・ホメンコ
今からおよそ2500年から3000年ほど前まで、1万年にわたって続いた縄文時代。稲作は大阪平野でとまり、その後、青森から南下して関東で始まるまでに800年。この島の豊かな自然が稲作なしでの定住を可能にしたのだろう。経済を回していたのは「お土産」のような贈与だったという想像もおもしろい。出土している他殺体とみられる遺骨は全国で20体。戦争とは無縁な平和な世界。虫歯も見つかっていて、栄養状態も悪くなかったとか。農業の後継者がいないって?なんとかなるさあ(笑)
読了日:10月04日 著者:笛木あみ
日本の近代小説の始まりと言わる本書だが、あらすじすら知らなかった。戯作ふうに書かれた文章が気持ちよい。二葉亭はロシア文学にも通じていたらしく、プライドが高く、役所を首になった文三は、どこか「罪罰」のラスコーリニコフを想わせる。文三が世話になっている叔母のお政の江戸弁も小気味よく、この人もドストエフスキーの小説に出てきそう。従妹のお勢は文三に気があるのか、文三の友だちのお調子者の本田に乗りかえるのか思わせぶりな態度。文三もああだこうだと悩むばかり。ラストは物足りないが、古さは感じなかった。
読了日:10月04日 著者:二葉亭四迷
70年代、バラエティー番組で看護婦さんに扮した細身で長身の彼女の姿が記憶にある。それから、いつの間にか、アンニュイな雰囲気でおしゃれなCMに出演し、結婚、出産のため引退。期待どおりに年を重ね、久しぶりに雑誌の表紙を飾ったのは2016年のことだった。第一京浜ギリギリまでがまだ海で、「海辺で育ったという感じ」だという小林麻美。時代の変化も感じられ、どこか懐かしい読後感だった。
読了日:10月03日 著者:延江浩
パリ読書センターが企画する「読書アクション」、高校生が選ぶ「ゴンクール賞」、老いをテーマにした「クロノス賞」町の書店が立ち上げた「アンコリュプティブル賞」などの読書プロジェクトの現場を実際に訪れ、運営者、参加者へのインタビューなども含む内容はとても興味深かった。移民の多いフランスで外国出身の子どもたちにも読書の楽しみを味わってもらうため奮闘する先生や司書さんたち。子どもたちと触れ合い、読書の意欲を高める著者など、胸が熱くなる内容だった。お勧めしたい。
読了日:10月03日 著者:辻由美
裏切者の代名詞とも言えるイスカリオテのユダをそのイメージとは全く異なる姿で描く『ユダの福音書』。ユダがイエスのためにした行為は正しく、ユダこそが、イエスを真に理解する弟子であったという。グノーシス派の教えについてもかいま見ることになったが、大変興味深かった。「正統派」が断罪し、消えていった書物はもっとあるだろう。実際にイエスが何を教えたかなんて、今や誰にもわからないのだ。
読了日:10月03日 著者:
お一人さま逃亡温泉 〜身も心も浄化する旅! (ビジュアルガイドシリーズ)
「がんばらない」「無理をして行かない」「お財布にも無理をさせない」「観光地は避ける。これ以上、人に疲れてどうする」「温泉選びは泉質を重視」という五つの心得にほっとする。ひなび度満点の33の温泉は、秘湯という感じではないが、知らないところが多かった。21年発行だが、既に廃業しているところもあり残念。
読了日:10月02日 著者:加藤亜由子
おつき合いありがとうございます。