uたた寝さんのご紹介で、読んでみました。
小川未明「時計のない村」から感じるもの|私は読まずにいられない~読書よもやま回想録~
天佑社
まずこの復刻版がすごくいい。
発行は大正10年です。
話は飛びまして、先日の敬老の日の報道で知ったのですが、まだ明治生まれの方がご存命なんですってね。
国内最高齢の女性は明治40年生まれ、今年116歳の誕生日を迎えたそうです。
それはともかく、『時計のない村』
時計なんかなくても、太陽の上りぐあいで時を知り、平和に暮らしていた村の話です。
あるとき、村の金持ちが町で時計を買ってきて、村人たちにありがたがられるのを見るや、もうひとりの金持ちも時計を手に入れます。
その2つの時計、時間が微妙に違っていたから、あら大変、村人たちはそれぞれの時計を正しいと主張して真っ二つに。
今迄、平和であつた村が、時計のために、二つに分かれてしまひました。時計は神様のやうになつてしまつたのです。
何かを正しいと信じることによって、争いが起きる。
人間ってばかだなあと思わされます。
◇◇◇
もう一冊ご紹介いただいたのは森鴎外の『魚玄機』
森鴎外の小説「魚玄機」から感じるもの|私は読まずにいられない~読書よもやま回想録~
昭和42年2月28日
KADOKAWA
唐代、長安の倡家に生まれた魚玄機は、詩作の才能に恵まれ、見た目も麗しかった。
その女性が、いろいろあって、人を殺めちゃうというお話です。
史実として残っているほんのわずかなことを膨らませて、お芝居のようなお話にしてしまっているのが、森鴎外のすごいところ。
性や嫉妬の感情といったどろどろしたものを淡々と描いて、後味も悪くないです。
唐代って1000年以上前のことでしょうか。
人って、やっぱり中身はあんまり変わってないんですね。
どちらも短いながら、心に残る味わい深い作品でした。
uたた寝さん、ご紹介ありがとうございました。
おつき合いありがとうございます。