2023年9月15日
岩波書店
左川ちか
1911年、北海道生まれ
父親はなく、17歳のとき異父兄を頼って上京
「上京後は百田宗次の知遇を得、詩訳、詩作、編集などの仕事を通じて、(中略)モダニズム詩人たちにひろくうけいれられた。」(解説より)という。
1936年、24歳の若さで病死。
生前に出版されたのは、ジェームス・ジョイスの訳詩集『室楽』一冊だけで、準備されていた個人詩集は、死に間に合わず、遺稿として出版されたらしい。
最近までまったく知らない人でしたが、22年に出版された『左川ちか全集』を手にとってから好きになって、岩波文庫から出るのを知って楽しみにしていました。
花
夢は切断された果実である
野原にはとび色の梨がころがつてゐる
パセリは皿の上に咲いてゐる
レグホンは時々指が六本に見える
卵をわると月が出る
おつき合いありがとうございます。