いつの間にか9月です。
ということで、飽きもせず
「こんな本読みました」です。
今回は「僕」の、そして「鼠」の虚無感がひしひしと迫りました。若くしてふと生きる目的がないことに気づいてしまったむなしさ。まあ、それだけ、この人たちの暮ら向きがよくなったということなのかとも思います。
あなたのスマホがとにかく危ない~元捜査一課が教える SNS、デジタル犯罪から身を守る方法 (単行本)
東京都だけでも、スマホ・携帯電話の紛失届は年間25万件以上。なくしたまま戻らないものは10万件もあるという(2018年)。元埼玉県警の警部補である著者が実際の事件を例に警鐘を鳴らす。父親が入学式の写真をFacebookにアップしたことにより、ストーカー被害を受けた娘のケースなど、被害者のリテラシーの低さに驚くが、デジタルネイティブよりも、40代、50代のほうが甘いのだろう。パスワードをかけただけでは安心できないそうですよ。
「暑い年には秋になって大風が吹く」砂に埋もれる被災地を台風が襲う。酒匂川は大口堤で決壊し、上流の駿東郡では焼け砂を川に流しているとの噂がまことしやかにささやかれる。韓使の接待には大金を費やしながら、困窮する被災民のを助けようとしない幕府。ついに動く関東郡代伊奈忠順だが、それは自らの破滅を意味していた。「小さなことを掘り返していたら、政治」は動かぬという老中に「小さいことさえ処理できない幕府がなんで天下の政治をぬかりなくやって行けるか」と心中つぶやく忠順。資料を丹念に追い創作された、読み応えある作品だった。
戦艦大和の出撃から公害問題まで、その場の「空気」が全体を支配し、誰も逆らえないような状況が生まれる。この空気によって「超法規的」とも言える措置が取られるわけだが、今もまさにこの状況は続いているのではないか。もしかして、「空気支配」は今のほうがひどいのかも。組織の隠蔽体質も、この本で説明できますね。
情報の多い現代、毎日発行される新刊も膨大な数に上る。その全てを読むことなんてとてもできないから、お気に入りの本をじっくり読む「スロー・リーディング」。いいですね。読むときにちょっと気をつけるだけで、「理解がグンと増す秘訣をまとめた」ということですが、やっぱり棒線と印は必須みたいです。「違和感に注目」して読む『こころ』、「条件を変えて読み直す」『高瀬舟』など、例題もあって実践的な内容です。未読の『金閣寺』が読みたくなりました。「著者は誰だってスローリーディングしてもらいたいと思っている」そりゃそうだ。こんなブログだって読んでもらいたいもんね。
おもしろかった~。ひょんなことから、息子が通う小学区のPTA会長になってしまった筆者は1962年生まれの政治学者。一回り年下の働くママたちの負担を軽くしようと、改革に奮闘する。本来ボランティア活動であるはずのPTA組織が、戦後、専業主婦たちに支えられ、とてつもなく面倒くさいことになっているのに驚いた。現状に合わなくても前年度の形を踏襲するうちに、何のための組織かわからなくなっている。こういう例はほかにもありそうだ。小さな場から始める政治。コロナによってわかった「なくてもよかったんだ」などもあり、スリリングな展開。
「100分de名著」のプロデューサー、秋満吉彦さんによる名著案内。A(大事)、B(気になる)、Q(お手上げ)を囲み、本を汚して読むというのはなかなかできない。「企画や商品開発に詰まったら?」「職場の人間関係がうまくいかないときは?」などのテーマで書かれたコラムも実際的。著者がNHKという職場で直面する様々な問題に『星の王子さま』『モモ』といった名著が光を投げかけてくれた経験を読めたのもよかった。本は読む時期、自分の置かれた状況次第でいかようにでも読める。だから、ほかの人の感想も読んで楽しい。
「老化を防止」する「脳トレ」ではなく、脳を強化するアプローチ。8つの「脳番地」を鍛えるトレーニングを紹介。「身近な人の長所を3つ挙げる」「足・腰のツボをマッサージする」といった思考系脳番地トレーニング、「出かける前に「何があっても怒らない」と唱える「感情系」トレーニングなど、簡単でやってみたくなるトレーニングがたくさんある。「10年前に読んだ本をもう一度読む」は、理解系脳番地を鍛えるらしい。書店に行き、「普段絶対に読まない本のタイトルを黙読してみる」もやってみたい。
誕生石の「ルーツは旧約聖書の時代にさかのぼるともいわれる」「直接結びつきそうな風習は、十八世紀ごろのヨーロッパで経済的に大きな力を持っていたユダヤ人コミュニティーで、婚約した女性に生まれた月にちなんだ宝石の婚約指輪を贈っていたことにある」そうだ。各月の宝石の深~いお話。例えばアメジスト。高貴な色とされる紫の宝石は稀少だが、なぜこの色が出るのかなかなかわからなかったとか。「ほとんど偶然に、微量の二価鉄を含む石英が自然界レベルで放射線を浴びると、紫色を発することがわかった」という。こういう話が満載。
「思考のフレーム」を磨き、「問いをたて」「俯瞰力を鍛える」のに最適なパッケージとしての本。著者が読書によってどのように思考を鍛えてきたか具体的にわかる内容で、とてもおもしろかった。センスのないタイトルが残念。『父は、中学生の私に「ニーチェを読んでいない奴とはしゃべれない」と言った』ではどうだろう。長すぎる(笑)?
身勝手な世界に生きるまじめすぎる人たち 罪悪感を手放して毎日をラクにする方法
「失敗をしてはいけない」「人を悲しませてはいけない」自分に課した厳し過ぎる「人生のルール」のせいで罪悪感を抱きながら生きている人がいるという。一方、他の人を悪者にし、自分自身の責任に向き合わない「犠牲者」としての生き方を選ぶ人も。一見真逆の態度のようだが表裏一体の面もありそうだ。身近な人を思い浮かべながら読んだが、私にも両方の面がありそう。「自分自身を許し、これからの可能性に意識を向ける」参考になった。
今回は発見が多かった。まず、この年の夏が暑かったと描写されていること。気温が37度だって?戦争の影が色濃く残る話だったんだということ。鼠のお父さんが何で金持ちになったのか、鼠は古墳で何を感じたのか。「みんなが一体となって宇宙を流れていく」「汝らは地の塩なり」シンプルな物語にたくさんのテーマが盛り込まれている。だから彼は小説を書き続けているのだろう。
猿のような醜い足にコンプレックスを抱く銀平。女性の後をつける癖もある。こう書くと感情移入しにくい主人公のようだが、つけた女に受け入れられる魅力もあり、憎めなさも感じる。次々と現れる美しい女性と明かされる彼の過去。最後に出てくる醜い女が現実ということか。「みずうみ」は能の橋掛かりのようにも思える。
父親は石田純一。母親がそれ以上にすごかった。小学校での性的被害、いじめ、屋久島での自給自足のような暮らしなどなと、子どものころからの濃ゆい経験、そして俳優デビュー。その後のいろいろなど。ライターがインタビューをまとめたような作りが残念。
希林のコトダマ 樹木希林のコトバと心をみがいた98冊の保存本
芸能界きっての読書家、樹木希林が残した100冊の中の98冊を「Hanako」「Olive」などの創刊編集長だった椎根和が読み、解説したもの。入れかえ、入れかえながら厳選して残された100冊は樹木希林の名言の数々の源泉であろう。雑記帳の写真も掲載されるが、故人はそれを望んだのか。そこまでする必要があったのか、疑問に感じた。
プロヴァンス生まれの美術史家・ソフィー・リチャードによる日本の美術館の紹介。日本を訪れる外国人向けに出版されたようだが、日本に住む私でも行ったことのない魅力的な場所が紹介されていて参考になる。「この国には信じられないほど多くの美術館があること、その一方で、日本語のできない者が美術館情報を見つけるのは容易でないことがわかりました」この状況は改善されたのだろうか。
古くから日本に自生し、縄文時代から栽培されてきた「大麻」。その用途は広く、蚊帳、神社の鈴縄ともなり、その実は七味唐辛子にも使われているという。日本では大麻を吸引する習慣はなかったが、戦後、GHQの指導で栽培が禁止された。本書では、大麻の害についての論議がされないまま法により規制され、逸脱行為があった場合にマスコミによるバッシング等により、被疑者が社会的に抹殺されることも問題視しているようだ。私もこの問題については関心がなかったが、十分議論されずに施行されている法律はほかにもありそうだ。
お化け屋敷になぜ人は並ぶのか 「恐怖」で集客するビジネスの企画発想 (角川oneテーマ21)
「麿赤児のパノラマ怪奇館」「楳図かずおのおばけ屋敷~安土家の祟り」、靴を脱いで体験する「足刈りの家」など、これまでとはちょっと違うお化け屋敷をプロデュースしてヒットさせている五味弘文さん。恐怖を生み出す「緊張」と「緩和」には、落語からもヒントを得ているらしい。何でも自分で決められる現代は、何でも自分で決めなくてはならない時代でもある。自由であるがゆえに窮屈であるというストレスからの解放、「コントロールできない喜び」を味わえるのも「お化け屋敷」ならではという。「夏は夜」。ちょっと涼しくなる?
宝永4(1707)年の富士山大噴火。16日間降った砂により周辺農地は壊滅的な影響を受ける。幕府は当地を亡所(年貢を取らない代わりに住民の世話もしない)とするが、どこにでも行けと言われても行く当てのない農民は飢えに苦しみ多数の死者が出る。民の救済よりも政争に明け暮れる重臣たち。民を救おうと奔走する関東群代伊奈半左衛門忠順の孤軍奮闘っぷりにしびれる。
これはいいですよ。意外に使えていない足指。気がついたときにくるくる回すだけで、足指が目を覚まします。少しやっただけでしっかり踏ん張れる感じになりました。習慣にしたいです。
おつき合いありがとうございます。