2020年4月25日

芸術新聞社

 

 

百冊以上は、家に置かないの。あたらしく気に入った本、手元に置きたくなった一冊ができたら、百冊のなかの一冊を、人にあげてしまうの。だから、いつも百冊。

 

 

大の読書家でありながら、余計なものを家に置かなかった樹木希林さんが残した100冊の蔵書。

 

 

生前、親交のあった椎根和さんが、その中の98冊を読み、エピソードを交え紹介するものです。

 

 

梅原猛の授業 仏教 (朝日文庫)

仏教の大意 (角川ソフィア文庫)

禅とジブリ

 

病を得てから、仏教関係の本が多くなっているでしょうか。

死を意識していたことがうかがわれます。

 

 

娘の内田也哉子さんが文章を書くということを知らなかったのですが、『新装版 ペーパームービー』『会見記』などがおもしろそうです。

 

毎月250万のお手当てを渡していたという夫、内田裕也の『音楽をどう生きるか―内田裕也対談集 (1974年)』『俺はロッキンローラー (廣済堂文庫)』などもありました。

 

100冊の中で一番多かったのは、長谷川四郎の本。

 

文学作品はあまりなくて、三島由紀夫の『豊饒の海 第二巻 奔馬 (ほんば) (新潮文庫)』が目を引きます。

 

私が持っているのは『柔らかな犀の角 (文春文庫)』山﨑努

 

読んだことがあるのは、『鶴川日記 (PHP文芸文庫)』白洲正子、『きもの自在 (ちくま文庫)』鶴見和子、『銀行王 安田善次郎―陰徳を積む―(新潮文庫)』、『([と]1-2)あん (ポプラ文庫)』ぐらいでしょうか。

 

つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり (中公文庫)』樋田慶子

新装 愛のヨガ』ルドルフ・V・アーバンは読んでみたいなあ。

 

 

希林さんの雑記帳も写真つきで紹介。

本の抜き書きや希林さんの雑感などが直筆で書かれています。

 

これは希林さんは公開したかったのだろうか。

故人の意思に反しているとしたらちょっと悪趣味だなと思いながら読んでいたら、あとがきによると、この雑記帳は「読むだけですよ」と、本木雅弘さんに言われて借りたものを、無理やり掲載したようです。

 

悪趣味といいつつ、その雑記帳から抜粋。

 

 

おばあちゃんの目

 

「何でも粗末にしよったら命が見えんくなるっちこと.命が見えんっちことは本当のことがみえんくなるっちことよ.何でも粗末にしよったら自分も粗末になるっちことよ」

 

 

生前、久世光彦さんの不倫を暴露して、一時絶交状態だったという希林さん。

「しょうがないわねえ」とか言いそうです。

 

 

 

 

 

 

おつき合いありがとうございます。