「相貌心理学」

耳慣れない言葉ですが、フランスでは道を歩く人に聞いても「ああ、知ってるよ」と答えるぐらいポピュラーなんだそうです。

 

相貌心理学は、1937年、フランスの精神科医でもあり臨床心理学者でもあったルイ・コルマンによって、顔と性格の相互関係を研究対象としてつくり上げられました。

 

フランスでは心理学の一分野として広く知られ、教育・ビジネスなど、多方面で活用されているそうです。

 

要は、人の性格や特性は顔で判断でき、精度は99%なのだとか。

 

本書を読んだだけでは、その判断基準や根拠まではわからなかったのですが、なんとな~く自分の適性や他の人とのかかわり方に気づきが得られました。

 

第3章で扱われてる《顔の3つのゾーン》について、少しだけ紹介します。

 

顔のどこが大きく広がっているかを観察することによって、その人の原動力、モチベーション=何によって満足感を得られるかということがわかるそうです。

 

 

知的優位

額の一番上から目の下までが広い人

・知識と美的センスが満足の源

・アートの鑑賞などを好む

・創造力が豊か、知的想像力を刺激するものに満足感を得る

・ときに妄想、空想に走る

・理論、理屈が得意、理想主義

 

 

感情優位

頬骨がしっかり張っている六角形

・コミュニケーションと感情の共有が満足の源

・気持の共有分かち合いが行動の原動力

・活動範囲を積極的に広げる

・存在価値を認められたい

・自分はみんなのことが大好き、だからみんなも私のことを好きになってという承認欲求

・感情で物事を判断するので客観性に欠ける

・何事も好き嫌いで選ぶ傾向がある

 

 

利益優位

あごや口まわりにインパクトがある

・物欲食欲など、本能に基づく活動が満足の源

・物質的価値や現実的な利益優先

・目標や数字が行動の原動力

・お金の扱いも上手

・物質主義、現実主義

 

 

これらのタイプごとに〈車を売るときのアプローチ〉の仕方が紹介されていて、おもしろいです。

 

知的優先

・少し上を意識させる

・「ああしろ、こうしろ」と言われることが大嫌いで、自分の目で見た情報を好むので、カタログなどがあればそれを見てもらう

・質問には的確に答え、知ったかぶりはNG

 

感情優先

・車そのものよりも相手と感情を分かち合うことを優先する

・共感して「この人はわたしのことを分かってくれている」と思ってもらうことが大事

・「わたしもこの車が一番好きなんです」と、好みを共有する

 

利益優先

・コミュニケーションで前置きを長くしない

・自分の手で触れることを好むので、試乗してとにかく触ってもらう

・お値打ち感や特典を強調する

 

これを〈知的優位〉の人にやると逆効果で、「何か下心があるんじゃないか」と疑われたり、「お得だから買うんじゃないわよ」と、プライドを傷つけたりしてしまうそうです。

 

ホント、人によって受け取り方って、全然違うんですね。

 

〈相貌心理学〉は採用や顧客対応の場面で既に活用されているそうです。

 

わたしは今後も車を売る予定はないのですが、企業が心理学をベースにサービスを提供してくるなら、自分はどこを刺激されると財布を開くのか、知っておくのは大切だと思います。

 

 

ほかにも、目の大きさや目じりが下がっているかどうか、鼻の穴や耳が正面から見えるか見えないかによっても、人の特性がわかるみたいです。

 

読み終わると、やたら人の顔が見たくなるんですが、道行く人は皆さんマスクをしてるので、よくわからなくてちょっと残念です(笑)

 

 

2020年5月22日
河出書房新社
 

 

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。