装幀家の菊地信義さんが手がけた、講談社文芸文庫のデザインをまとめたものです。
講談社文芸文庫、非常に高いです。
文庫本の常識を外れてます。
本書の解説によると、講談社文芸文庫は、「安価ということをまず捨て、特殊インキを用いた印刷にタイトルを箔押しする、格調高い装幀とした」とあります。
「その結果、文庫でありながら高価という存在そのものに矛盾を抱えた商品となった」ともありますが、それは「他の文庫レーベルと徹底的に差異を付けるための戦略」でもありました。
紹介されている本は
「レーベル全体を通して、一人のデザイナーがカバーの全てを担当する」「イラストや写真は用いない」というこの文庫は、「文庫の常識をことごとく覆し」、「35年にわたり、書店員や読者に支持されてきた」そうです。
目録を見ると、たしかに全部そろえたくなるようなラインナップです。
生涯に1万5,000冊以上の装幀を手がけ、日本のブックデザイン史を塗りかえたという菊地信義さん。
巻末の年譜によると、中上健次『水の女』を皮切りに、作品社のほとんどの単行本、谷川俊太郎『コカ・コーラレッスン』(思想社)、山口百恵『蒼い時』(集英社)などの装幀を担当。
『詳説世界史』など、山川出版のほとんどの本を装幀しているそうです。
2000年代に入ってからも
などを手がけています。
菊地さんは小説を装幀するときは、内容を読んで考えます。
『AMEBIC』では、「皮のすりむけた肌を表現したオレンジ色一色。太い帯は、包帯」を表現しているとのことです。(『みんなの生きるをデザインしよう』菊地信義より)
やっぱり本というのは、
どこか品があって、格があって落ち着いて、
そこに相対して心を澄ましてくれるような印象が、
まず第一になければいけないと思うんです。
お読みいただきありがとうございます。