明治5年(1872年)、新橋横浜間を始めて鉄道が走った年、それまでの「書画」に代わり、「美術」という言葉が使われたのも、この年だったとか……

 

というわけで、鉄道開業150周年に当たり、東京ステーションギャラリーで、鉄道にまつわる「美術」を集め、展示したもののようです。

 

 

 

特に行く気もなかったのですが、不染鉄の《山海図絵(伊豆の追憶)》が出品されると知り、見たくなってしまいました。

 

 

縦1m86cm横2m10cmの超大作。

 

手前には太平洋。真ん中上部に富士山がばーんと描かれ、裾野にはのどかな農村が広がります。

 

富士山の後ろは、日本海の奥のほうまで霞んで見えるという何とも不思議な絵です。

 

近くで見ると、晩秋の里の景色から網の手入れをする漁師まで細々と描かれ、透明感のある海で泳ぐ魚は笑ってるかのよう。
 

「なんでこれが鉄道と関係あるの」と思いますが、絵の真ん中あたりに駅舎と汽車が楚々と描かれているんですね。

 

滋賀県にある木下美術館に行かないと見られないと思っていたので、とてもうれしい。

 

というわけで、まずは《山海図絵》を堪能して満足ですが、ほかにもいろいろありました。

 

 

勝海舟《蒸気車運転絵》

 

勝海舟が、鉄道っていったいどんなもんなんだと問い合わせを受け、書いたものらしいです。

 

 
 

 

 

 

木村荘八《新宿駅》1935年、個人蔵

 

戦争中の列車内の様子を描いた絵もあり、初めのうちはまだのんびりしてる様子なんかがわかります。

 

一転、爆撃後の東京駅とか、上野駅で眠る人々を描いたシリーズとか、暗い世相を反映した絵も展示されていました。

 

当時を知る貴重な資料にもなりますね。

 

 

 

香月泰男《煙》1969年山口県立美術館
 
 

 

 

 

 

パラモデル《極楽百景 第八景-新世界 パーク温泉 斬新な入浴-》
2007年、和歌山県立近代美術館

 

※画像はお借りしております。

 

 

 

会場は当日券で入場でき、大変な混雑。

久しぶりにこんなに混む美術展に行きました。

1月9日までです。

 

 
 

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