小学校1年生の時、大阪から夜逃げして東京の大泉学園へ移り住んだという筆者。
2階建ての瀟洒な家で、毎朝、母がコーヒーを豆からひいて淹れてくれた暮らしから1年もしないうち、東長崎のアパートへ。
両親の持ち金が尽きたらしいです。
その後も、あちこちを転々として、今は鎌倉に住むという筆者の東京歩きです。
2019年12月の「お茶の水」から2021年11月の「皇居」まで、「新宿」や「渋谷」、「トキワ荘マンガミュージアム」などを巡ります。
私が真っ先に読んだのは「上野動物園」の回です。
最近行ってないなあ~
今年はパンダ来日50周年だそうですね。
動物園に行くのが大好きだという高橋さん。
サル山の山は実際のニホンザル生息地の岩山をモデルとして最高の左官技術で建設されたとか、うんちくもたっぷりです。
明治神宮に参拝したのは大みそか。
外国人になったつもりで『地球の歩き方 東京』(学研プラス)を片手に訪れます。
神宮の森で「武蔵野の面影を残す」という看板を見て、国木田独歩の『武蔵野』を思い起こす高橋さん。
三鷹の森ジブリ美術館の章では、宮崎駿さんに会ったときのことが回想されます。
宮崎「タカハシさんは、アニメで一番大切なものはなんだと思いますか?」
高橋「物語でもないし、映像……ですか?」
宮崎「『音』なんですよ」
『ハウルの動く城』では音を採録しにヨーロッパへ行ったこと、『コクリコ坂から』では、昭和の音を求めて日本中を探し回ったこと、『絵』は作ることができるけど、『音』は作れない、というお話が印象的でした。
帰り際、わたしは、こういった。
「ありがとうございました。いま、わたしの手元には、五歳と七歳の男の子がいて、宮﨑さんのアニメに夢中です」
すると、宮﨑さんは、ニッコリ笑われて、こうおっしゃった。
「アニメは、まだ見せないほうがいいですよ。早すぎます。まずは本を読ませてください」
お読みいただきありがとうございます。