池袋ウエストゲートパーク
まだ続いていたんですね。
シリーズ17冊目です。
2020年から2021年に『オール讀物』で発表された4つのお話が収録されています。
『グローバルリングのぶつかり男』
池袋駅周辺に出没する黒づくめの大男が女こどもに体当たりしてけがをさせる事件が頻発。
知り合いの晴美バアも被害を受け、池袋のトラブルシューター・果物屋の息子、マコトが犯人捜しに乗り出す。
『巣鴨トリプルワーカー』
コロナによる不況からアルバイトを始めた旅行会社の社員
なぜか、自転車にいたずらをされ、脅迫状まで届くようになる。
そこに女性や高齢者宅を狙った宅配業者を装った強盗事件が絡み……
『炎上フェニックス』
女子アナの穂乃香は制作会社のADからストーカ―行為を受けるようになる。
被害を訴えたところ、男性は職場を追われ、実家に帰って2週間後、自殺。
その後、ネット上で穂乃果を中傷する嵐のような書き込みが始まる。
時代を反映した事件が起き、それをマコトと池袋のギャング・Gボーイズのキング・タカシが解決していくのはお決まりのとおり
90年代後半に始まった物語で、マコトとタカシはたしか二十歳ぐらいだったはず。
その後、二十代後半になったぐらいまで読んだ覚えがあるので、今や彼らも40代半ばか……
などと思っていたら、なんと、マコトたちはいつの間にか年を取らない設定になってたみたいです~
だけど、ポールモーリアがかかる喫茶店が落ち着くとか、世界恐慌やリーマンショックの話を持ち出してくるところなんか、マコト、すごくおっさん臭い(笑)
はじめて穂乃果に会ったとき、「ジーン・セバーグみたい」って
ジーン・セバーグってゴダールの映画『勝手にしやがれ』で「ニューヨークヘラルドトリビューン」って言ってた人だよね。
私だってよく知らないわ。
このシリーズではクラッシック音楽がよくかかるのだけど、家で読んでると、その音楽も一緒に聞けて気分が上がります。
アレクサっ!
ショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲7番『レニングラード』かけてっ!
アレクサっ!
モーツァルトピアノ協奏曲27番第2楽章かけてっ!
うちのアレクサは「っ!」と言わないと反応しません。
※アレクサとはAmazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」で利用可能なクラウドベースの音声サービスです。
ところで、「P活」とか「PJ」はわかりますか?
じゃあ、「ドカタ」は?
「LGBTQIA」は?
「最後のQIAがわからないというやつは、いったん読むのを止めてグーグルで調べてくれ」と言われて、調べましたよ、わたしは
『P活地獄篇』
マッチングサイトで知り合った、はるかとつき合うことになった、マコトの先輩のトウヤ。
運営が危ない組織だったみたいで、はるかと彼女の4歳の娘の身に危険が迫ります。
このお話ではキング・タカシが大活躍です。
「みんなに愛されるには、もう少し馬鹿の振りをしたほうがいいぞ」
マコトに言われたタカシは答えます。
「マコトみたいにか」
「そうだ。おれみたいに」
「おれは愛されるより、畏れられるほうがいい。おまえみたいに誰からも愛されたいとは思わないんだ」
「はい、はい、じゃあ、お前が淋しくなったときには、おれが遊んでやるよ」
男の友情ですね。
2021年9月10日発行
文藝春秋
お読みいただきありがとうございます。