9月に読んだ本を読書メータでまとめてもらいました。
今月もよろしくお願いします。
曽根中生自伝 人は名のみの罪の深さよ
曽根中生さんが自伝を書かれていたとは。改めて読むとたくさんの映画を撮っていらっしゃる。その作品インタビューがおもしろい。たとば、『天使のはらわた 赤い教室』では、菊田一夫を意識していたとか、近松も西鶴も常に頭の中にあるとか。
借金のため行方が分からなくなっていたときは、大分県でヒラメの養殖をやっていたらしい。さらにごみ処理機の特許を取ってしまったという話もめちゃくちゃおもしろい。この人は天才か。自伝を書いた直後、亡くなったという。
「映画を撮り終わった後っていうのは常に嫌悪感、自己嫌悪ですからね」
読了日:09月30日
老人ホームに入所することになった大叔父の指名で高萩まで送り届けることになった私。大叔父は川端康成からもらった手紙を後生大事に持っているという。その秘密を道中、「私」に打ち明けたいのか。電車で隣に座った関西弁の「男」も加わり、大叔父の人生の謎解きが始まる。その様相は本をめぐるミステリーのようでもあり……おもしろかった。
読了日:09月25日
一億総中流の構成員サラリーマン。読売新聞が「みんながサラリーマン」といった1960年代前半の就業者に占める割合は15%、1980年代でも23%だったという。戦後日本における成人男性の表象「サラリーマン」。『社長シリーズ』や『ニッポン無責任時代』『プレジデント』などのビジネス誌から、その実体?を探る過程がおもしろかった。『課長島耕作』は源氏鶏太のサラリーマンものを受け継いでいたんですか。気がつきませんでした。
読了日:09月24日
表題にもなっている『すべての月、すべての年』がよかった。そして、『哀しみ』で再び登場するセサル。男性をとりこにする『メリーナ』にはおどろいた。弁護士のジョンとカルロッタが交互に語る『笑ってみせてよ』。ハッピーエンドなのかそうでないのか。自分自身の経験をベースにしながらも突き放した目線が文章を湿っぽくしないのだろう。リズムが好き。
読了日:09月24日
華道から着つけまで、なるほど花嫁修業だが、やきもの、骨董、盆栽まで習うとは、どこへ嫁ぐつもりか。特別編として「現代詩」を谷川俊太郎さんに教えてもらう。「現代詩」は教えるものではないという谷川さんだが、そこは詩作についての深い教えがあり、興味深かった。もっとも、「現代詩」なんかやったらお嫁に行けなくなるのではないか。しかし、阿川さん、修行の成果かいつの間にか結婚してらしたんですね。
読了日:09月17日
千利休という人はおもしろい人だ。創作だろうが、そんなこともあったのかもしれないと思えてくる。
読了日:09月17日 著者:山本 兼一
思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ
教室で座って先生のお話を静かに聴く子がいい子。今でもそんな教育が行われているのでしょうか。読み聞かせのときに親子で対話をする。そんな簡単なことで、子どもの読解力、観察力、共感力が養える。そして自分で考えて伝える力も。「うちの子はじっとお話を聞けなくて……」というお子さんにも役立つ方法だと思います。
読了日:09月17日
稲垣さん、いつの間にピアノやってたの?それでもって、難しそうな曲をめっちゃ練習してうまくなってるみたいじゃないですか。習い事というのは師が大事ですね。ピアニストのイケメン先生の的確なご指導の数々はピアノをやらない人にも参考になりそうです。
読了日:09月13日
開高健の本棚作家の本棚は楽しい。『名著ゼミナール今夜も眠れない』からの30選がたまらない。『ジャッカルの日』『元首の謀叛』『スパイになりたかったスパイ』『秘密諜報員アルフォンスを探せ』『アシェンデン英国秘密諜報員の手記Ⅰ、Ⅱ』『反乱するメキシコ』など。開高さんのコメントがおもしろいのです。
読了日:09月12日
伝説のストリッパー・一条さゆり。引退後は猥褻物陳列で岡山刑務所に収監され、晩年は釜ヶ崎で日雇い労働をして暮らした。引退公演の様子が描かれる。客を喜ばせることに徹した演出は文字で追ってもすばらしい。
前座時代、世話になったという中田カウスのインタビューも興味深かった。
読了日:09月08日
世界NO.1執事が教える“信頼の法則” 「信じていい人」「いけない人」の見分け方
富豪だけを相手にした執事サービス業を営む筆者が顧客に人を取り次ぐかどうかを判断する基準。○最初の3分間に自己紹介と商品説明を終える○信頼できるかどうかは顔で判断する○美しい女性からの面談はお断りするなど、興味深い。
「面談前、面談後も観察する」は参考になった。門前から防犯カメラで会話を録音、面談相手を尾行して、会話を聞くこともあるという。そこまでやってもだまされるときはだまされるらしい。
読了日:09月08日
これでもかと言葉をそぎ落とした短い行脚の十四行詩。
▼どの一生も/言葉に/尽くせない/一輪の/花と/同じく(どの一生も)▼
老いや死も想起されるが、それはやっぱり宇宙の匂いがする。
読了日:09月07日
その落語家、住所不定。 タンスはアマゾン、家のない生き方 (光文社新書)
家はない。持ち物は最低限で身軽だ。下着は安いものを大量に仕入れ、アマゾンで売りに出す。それを適宜自分で買うという方法で、アマゾンをタンス代わりにしている。当然、洗濯はせず脱いだら捨てる。これにはちょっと抵抗があるけど、従来の考え方に縛られない自由な発想はおもしろい。
読了日:09月06日
都知事選に出馬した夫を支える料亭の女将・福沢かづ。清廉潔白な革新党の夫を当選させるべく、保守党仕込みの選挙活動に励む。最後は金の力がモノを言う。実際のモデルがいるせいで平板な話になったのだろうか。服や着物の描写はすばらしい。ランニングをしている中学生の顔の描写の部分は好みだ。かづの元夫が現れる場面もよかった。
読了日:09月06日
浅沼稲次郎社会党委員長刺殺事件に刺激を受け、右翼活動に身を投じる。左翼の学生運動に対する反発、母親が信者だった「生長の家」の影響もあった。70年代、左翼はつぶされ、右翼も力を失う。多くの学生は運動を去ったが、著者は三島由紀夫割腹事件を機に活動を再開。引き戻した力は「うしろめたさ」だったという。
右も左もない。愛国心や愛を強制すると危ないなどの主張は活動家の経験があってこそ。野村秋介さんについてはもう少し知りたいと思った。「失敗は恐れる必要がない」。『古事記』『日本書紀』から学んだ教訓だという。
読了日:09月03日
私の知らない昭和。高度成長期の裏側というか。沖縄のキビ畑でアメリカ兵に追われる。炭坑で働く人やデモ隊の女学生に対する機動隊の暴行。生々しいけどさらっと。釣り糸を垂れ、地方に出かけてほっとする。『旅の宿』『洛陽』『襟裳岬』がつくられた背景はもちろん語られるんだけど、それ以上にほかの話がおもしろい。著者生誕80年の今年、出身地の島根県にある山陽中央新社から復刻新版が発行されている。
読了日:09月02日
映画を観てからの読書。しっかりと書かれたミステリーだが、大泉洋に〈あて書き〉されているせいか、軽い会話文とユーモアがあってとっつきやすい。「所詮、人間なんか真っ白にも真っ黒にもなられへん。みんなグレーや。いい人とか、悪い人とかいうんは、とどのつまりグレーの濃淡の話や」エピローグの謎解きが映像化を意識しているみたいで楽しかった。泣かせどころもあり、せっかくなので泣きました。
読了日:09月01日
お読みいただきありがとうございました。